ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 Op.100(Brahms:Violin Sonata No.2 in A Major, Op.100)

00:00 I. Allegro amabile
08:28 II. Andante tranquillo - Vivace
14:41 III. Allegro grazioso quasi andante

公開者情報 Boston: Isabella Stewart Gardner Museum
演奏者 Nicola Benedetti, violin
Katya Apekisheva, piano
著作権 Creative Commons Attribution Non-commercial No Derivatives 3.0

ブラームスのヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 Op.100は、彼の3つのヴァイオリン・ソナタの中で2番目に書かれました。この作品は1886年に作曲され、ブラームス自身が非常に気に入っていた曲の一つであることが知られています。

このソナタは以下の3つの楽章から成り立っています:

1. **Allegro amabile**: 優美な旋律が特徴的な楽章で、その名前の通り「愛らしく」(amabile)な雰囲気を持つ。この楽章では、ヴァイオリンとピアノが互いに対話するかのようにテーマを交換しながら進行します。

2. **Andante tranquillo – Vivace – Andante – Vivace di più – Andante vivace**: リズミカルな中間部(Vivace)を挟んで静かなAndanteの部分が繰り返される構造になっています。この楽章は変則的なロンド形式を取っており、情熱的で舞踏的な要素が含まれています。

3. **Allegretto grazioso (quasi Andante)**: この楽章は舞曲のような軽やかなムードを持ち、終始明るく楽しい雰囲気が続きます。

全体的に、このヴァイオリン・ソナタは深い情熱やドラマチックさよりも、優美さや明るさが強調されている作品となっています。ブラームスのヴァイオリン・ソナタの中では最も人気があり、演奏会のプログラムに取り上げられることが多いです。

この作品は、ブラームスが自身の生涯の中で恋愛の対象としてみた数少ない女性の一人、クララ・シューマンに捧げられていると言われることもあります。ブラームスとクララ・シューマンの間の関係は、音楽の歴史上でも特筆すべきものとして知られています。

- **創作の背景**: ブラームスはこのソナタを夏の間にスイスの湖畔で過ごしながら書きました。彼はしばしば夏のリゾートで静かに過ごしながら新しい作品を書くことが多かったのですが、この環境がソナタの明るく穏やかな性格に影響を与えたのかもしれません。

- **愛称**: この作品は「太陽のソナタ」とも呼ばれることがあります。これは作品の全体的な雰囲気が明るく、太陽のように暖かいからです。

- **構造の独特さ**: ブラームスは伝統的なソナタ形式や楽章の区切りに縛られることなく、自由な形式やテクスチャーを用いて作品を作ることが多かった。このソナタもその傾向が見られます。特に2楽章の変わった形式や、3楽章が独自のリズムとメロディで始まることなどが挙げられます。

- **音楽的な特徴**: ピアノとヴァイオリンの間の対話は非常に密接で、2つの楽器が絶えずテーマや動機を交換しています。ブラームスはピアノとヴァイオリンの両方に非常に繊細なパートを書いており、この作品を演奏するには両方の楽器の奏者に高い技術と感受性が求められます。

- **受容**: ブラームスのヴァイオリン・ソナタは当初から非常に好評を博しました。第2番のソナタも、その優れたメロディと均整の取れた構造によって、ヴァイオリン・ソナタのレパートリーの中でも特に人気のある作品となっています。

総じて、このソナタはブラームスの成熟期のスタイルと技巧を反映しており、彼の音楽的な思考や情熱を深く理解するための鍵となる作品の一つと考えられています。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヴァイオリンソナタ第2番 イ長調 作品100は、ヨハネス・ブラームスが1886年に作曲した室内楽作品。他作品に比べて明朗な響きで典雅な構成になっている。

概要
ヴァイオリンソナタ第1番の完成から7年を経た1886年の夏に、避暑地のトゥーン湖畔(スイス)で作曲・完成された。この時期のブラームスは多くの友人たちと親交を結び、同時にピアノ三重奏曲第3番やチェロソナタ第2番など多くの作品を生み出すなど、充実した生活を送っていた。そうした日々から生まれたのがヴァイオリンソナタ第2番である。 この後に第3番が書かれているが、第2番とは対照的に暗い雰囲気が醸し出されている作品である。

初演は1886年の12月2日にウィーンでヨーゼフ・ヘルメスベルガーのヴァイオリン、ブラームス自身のピアノによって行われた 。

構成
全3楽章で、演奏時間は約23分。

第1楽章
Allegro amabile 
4分の3拍子。イ長調。ソナタ形式。冒頭からピアノの主和音が流れ、ヴァイオリンがオブリガートを務める。主にピアノが主題を弾き、ヴァイオリンには補佐役を担わせていながら音色の美しさを印象づけている。第1主題が重厚なイ長調(C#-G#-A)の和声であり、ピアニスティックな表現であるが、第2主題は属調であるホ長調の主和音G#-H-Eが素材となっている。いずれも優雅でロマン派作家としての特徴が現れている。第1楽章の冒頭の主題について、ブラームスの生前よりリヒャルト・ワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の懸賞の歌との類似性が指摘されていたが、ブラームスは「馬鹿にはそう見えるんだろう」とコメントしている。

第2楽章 アンダンテ・トランクィロ - ヴィヴァーチェ
Andante tranquillo - Vivace
4分の2拍子。ヘ長調。ロンド形式。冒頭ではピアノ右手とヴァイオリンとが対位法的に主題を表す。この穏やかな曲想はその後2回再現されるときにはニ長調で現れる。vivaceでは4分の3拍子。ニ短調。同様に対位法的処理がされている。前楽章・後楽章とも落ち着いた歌唱風なのでこの楽章はやや律動的に処理している。

第3楽章 アレグレット・グラツィオーソ
Allegretto grazioso (quasi Andante)
2分の2拍子。イ長調。ロンド形式。三連符と8分音符、6連符の減七の和音を組み合わせてリズムが単調にならない配慮をしている。コーダはヴァイオリンの重音で締めくくっている。

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