ビゼー:「カルメン」第1組曲

00:00 1.Les Toreadors 終曲(闘牛士) (第1幕への前奏曲の前半部分)
02:10 2.Prelude 前奏曲
03:46 3.Aragonaise アラゴネーズ (第1幕への前奏曲の後半部分、第4幕への間奏曲)
06:06 4.Intermezzo 間奏曲 (第3幕への間奏曲)
09:05 5.Les Dragons d'Alcala アルカラの竜騎兵 (第2幕への間奏曲)

マルケヴィッチ指揮 ラムルー管弦楽団 1959年12月録音

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

『カルメン』(Carmen)は、ジョルジュ・ビゼーが作曲したフランス語によるオペラである。

概説

ジョルジュ・ビゼー
オペラ『カルメン』は、プロスペル・メリメの小説『カルメン』を元にしたもので、アンリ・メイヤックとリュドヴィク・アレヴィがリブレットを作った。音楽(歌)の間を台詞でつないでいくオペラ・コミック様式で書かれている。全4幕。

1875年3月3日、パリのオペラ=コミック座で初演されたが不評であった[1]。しかしその後の客入りと評判は決して悪くなく、ビゼーのもとには『カルメン』のウィーン公演と、そのために台詞をレチタティーヴォに改めたグランド・オペラ版への改作が依頼された。この契約を受けたビゼーだったが、持病の慢性扁桃炎による体調不良から静養中の6月4日、心臓発作を起こして急死してしまう。そこで友人である作曲家エルネスト・ギローが改作を担当してウィーン上演にこぎつけ、それ以降フランス・オペラの代表作として世界的な人気作品となった。リブレットはフランス語で書かれているが、物語の舞台はスペインである。そのため日本では役名の「José」をスペイン語読みで「ホセ」と書きあらわすが、実際はフランス語読みで「ジョゼ」と発音して歌われる。音楽もハバネラやセギディーリャなどスペインの民族音楽を取り入れて作曲されている。

近年では、音楽学者フリッツ・エーザーがビゼーのオリジナルであるオペラ・コミック様式に復元するとして、1964年に出版された「アルコア版」による上演も行われる。現行の主要な版は原典版のほか、オペラ・コミック版、グランド・オペラ版、メトロポリタン歌劇場版がある。ギロー版はフランス語ネイティブ以外のキャストでも台詞に訛りがつくのを避けられることもあり、現在でも使用されている。

日本でも浅草オペラの演目として上演されていたが、戦後は藤原歌劇団によって数多く上演され、二期会でも川崎静子が大きな当たり役とし、今日もなお日本国内でもっともポピュラーなオペラとして親しまれている。世界的にも一、二を争う人気のオペラであり、特に親しみやすいメロディが豊富なことが特徴である。声楽抜きでオーケストラのみによる組曲もコンサートや録音で頻繁に演奏され、そうした点でもまれなオペラである。

登場人物
カルメン(メゾソプラノまたはソプラノ)- タバコ工場で働くジプシーの女
ドン・ホセ(テノール)- 衛兵の伍長
ミカエラ(ソプラノ)- ホセの許婚
エスカミーリョ(バリトン)- 闘牛士
スニガ(バス)- 衛兵隊長、ドン・ホセの上官
モラレス(バリトンまたはテノール)- 士官
ダンカイロ(バリトンまたはテノール) - 密輸商人
フラスキータ(ソプラノ)- カルメンの友人
メルセデス(メゾソプラノ、ただしソプラノとする楽譜もある)- カルメンの友人
レメンダード(テノール)- ダンカイロの仲間
以降は版によって増減される。

リリャス・パスティア(台詞役)- 居酒屋の主人
山のガイド(台詞役)
中尉(バス)
アンドレス(テノール)
オレンジ売りの女(メゾソプラノ)
ジプシー男(バリトン)
合唱
楽器編成
フルート2(2本ともピッコロ持ち替え)、オーボエ2(2番はコーラングレ持ち替え)、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、コルネット2、トロンボーン3、ティンパニ、トライアングル、タンブリン、大太鼓、シンバル、小太鼓、ハープ、弦五部(14型)

なお、オーケストラ内のコルネットは舞台上のバンダとしても使用される(第2幕・第4幕)。
上演時間
約2時間40分(カットなしで各55分、45分、40分、20分)

あらすじ

セビリアの旧タバコ工場、現在は大学になっている。
第1幕
セビリアの煙草工場でジプシーの女工カルメンはけんか騒ぎを起こし、牢に送られることになった。しかし護送を命じられた竜騎兵伍長のドン・ホセは、カルメンに誘惑されて彼女を逃がす。パスティアの酒場で落ち合おうと言い残してカルメンは去る。

第2幕
カルメンの色香に迷ったドン・ホセは、婚約者ミカエラを振り切ってカルメンの元に行き、上司とのいさかいのため密輸をするジプシーの群れに身を投じる。しかし、そのときすでにカルメンの心は闘牛士エスカミーリョに移っていた。

第3幕
冒頭で、ジプシーの女たちがカードで占いをする。カルメンが占いをすると、不吉な占いが出て結末を暗示する。密輸の見張りをするドン・ホセを、婚約者ミカエラが説得しに来る。闘牛士エスカミーリョもやってきて、ドン・ホセと決闘になる。騒ぎが収まったあと、思い直すように勧めるミカエラを無視するドン・ホセに、ミカエラは切ない気持ちを一人独白する。カルメンの心をつなぎとめようとするドン・ホセだが、カルメンの心は完全に離れていた。ミカエラから母の危篤を聞き、ドン・ホセはカルメンに心を残しつつ、盗賊団を去る。

第4幕
闘牛場の前に、エスカミーリョとその恋人になっているカルメンが現れる。エスカミーリョが闘牛場に入ったあと、一人でいるカルメンの前にドン・ホセが現れ、復縁を迫る。復縁しなければ殺すと脅すドン・ホセに対して、カルメンはそれならば殺すがいいと言い放ち、逆上したドン・ホセがカルメンを刺し殺す。

一般的には上述の全4幕とされるが、3幕4場とすることもある。この場合は山中の密輸団のシーンが第3幕第1場、最後の闘牛場のシーンが第3幕第2場となる。
主要曲

第1幕への前奏曲(闘牛士)
2:06
闘牛士の歌「諸君の乾杯を喜んで受けよう」
4:31
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第1幕への前奏曲
ハバネラ「恋は野の鳥」
セギディーリャ
第2幕への間奏曲「アルカラの竜騎兵」
ジプシーの歌
闘牛士の歌「諸君の乾杯を喜んで受けよう」
花の歌
第3幕への間奏曲
カルタの歌
ミカエラのアリア
第4幕への間奏曲「アラゴネーズ」
など

抜粋・編曲作品

カルメンの石板画
第1幕への前奏曲が独立した管弦楽曲として演奏される機会が多いほか、それを含む前奏曲、間奏曲、アリアなどを抜粋編曲した組曲や独奏曲も演奏される。

ホフマン版組曲
一般的に『カルメン』組曲として知られているのは、ギローの手による編曲でシューダンス社から刊行された、またオーストリアの音楽学者フリッツ・ホフマンがギローの補作をもとにほぼ同じ選曲をしてブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から刊行された「第1組曲」と「第2組曲」である。

第1組曲
前奏曲と間奏曲を中心に構成される。
前奏曲〜アラゴネーズ(第1幕への前奏曲の後半部分、第4幕への間奏曲)
間奏曲(第3幕への間奏曲)
セギディーリャ
アルカラの竜騎兵(第2幕への間奏曲)
終曲(闘牛士)(第1幕への前奏曲の前半部分)
第2組曲
アリアや合唱入りの曲をオーケストラ用に編曲した6曲で構成される。
密輸入者の行進
ハバネラ
夜想曲(ミカエラのアリア)
闘牛士の歌
衛兵の交代(子どもたちの合唱)
ジプシーの踊り
ビゼー自身によるものでないこともあり、指揮者によっては演奏順を変えたり、第1・第2組曲を1つの組曲として演奏したり、2つの組曲から適宜選曲してオリジナルの組曲を編むことも自由に行われている。入手しやすいCDで上述の曲順通りに演奏しているものは、シャルル・デュトワ指揮・モントリオール交響楽団だけである。レナード・バーンスタイン指揮・ニューヨーク・フィルハーモニックの演奏は上述の全曲を収録しながら、第1組曲にて一部の曲順を入れ替えている(第1組曲を締めくくるはずの「闘牛士」=第1幕への前奏曲の前半部分を、組曲の冒頭へ持ってきている。そのためバーンスタイン盤の第1組曲は「アルカラの竜騎兵」にて締めくくられる)。
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