ブラームス 交響曲第3番 ヘ長調, 作品90

00:00 I. Allegro con brio - Un poco sostenuto
12:51 II. Andante
21:35 III. Poco allegretto
28:08 IV. Allegro - Un poco sostenuto

再生時間 37'' 47'

ブラームスの交響曲第3番ヘ長調, 作品90は、彼の4つの交響曲の中でも特に注目される作品です。1883年に完成したこの交響曲は、ブラームスの熟練した作曲技法と深い感情が凝縮されており、彼のキャリアの円熟期に創られたものです。この作品は、ブラームスの親友であり批評家であったエドゥアルト・ハンスリックにも高く評価され、彼はこの交響曲を「理想的でありながらも情熱的な」と称賛しました。

### 作曲の背景と動機
ブラームスは交響曲第2番から約6年後に、この交響曲第3番に取り組みました。彼は当時、ウィーンに拠点を置き、音楽活動の中心としてヨーロッパ中で活躍していました。この交響曲は、ブラームスが50歳の時に完成させたもので、作曲の成熟度が最も高まった時期とされています。また、この作品は彼がベートーヴェンの後継者としての自覚を持ちながらも、彼自身の音楽スタイルを確立する中で創り上げたものです。

### 曲の構成
交響曲第3番は、以下の4つの楽章で構成されています。

1. **第1楽章**:アレグロ・コン・ブリオ(ヘ長調)
- 典型的なソナタ形式で書かれていますが、冒頭から特徴的な「F-A♭-F」のモチーフ(「自由だが喜びをもって」のドイツ語頭文字)が繰り返され、全楽章を通じて統一感を持たせています。冒頭から力強く劇的な音楽が展開し、ブラームスの持つ力強さと深みが感じられます。

2. **第2楽章**:アンダンテ(ハ長調)
- 穏やかで内省的な性格の楽章で、木管楽器による優美な旋律が特徴的です。第1楽章の緊張感から一転し、平和な雰囲気が漂います。簡潔な旋律と豊かな和声が交差し、聴衆に安らぎをもたらします。

3. **第3楽章**:ポコ・アレグレット(ハ短調)
- 交響曲の中でも特に有名な楽章で、哀愁を帯びた旋律が特徴です。チェロの旋律が印象的で、この楽章の旋律は後に映画やテレビで引用されるなど、多くの人に愛されるメロディーとなりました。ブラームス特有のロマンティックな感情が感じられる部分です。

4. **第4楽章**:アレグロ(ヘ短調 - ヘ長調)
- 緊張感と解放感が交互に現れるドラマティックな楽章で、途中で再び「F-A♭-F」のモチーフが登場し、全体のテーマが回帰します。最終的にはヘ長調で安定し、静かに終わる点が他のブラームスの交響曲と異なり、特有の詩的な余韻を残します。

### 音楽的特徴
交響曲第3番は、全体を通じて「F-A♭-F」のモチーフが使用されており、このモチーフは「自由だが喜びをもって」というブラームスの人生観を象徴しています。また、構成の堅固さと豊かな和声が、ブラームスの作曲技法の高さを示しています。この交響曲は情緒的でありながらも構造的に厳密であり、クラシックとロマンティックの融合を実現しています。

### 影響と評価
初演後、交響曲第3番はすぐに高い評価を受け、ブラームスの作品の中でも屈指の人気を誇るようになりました。特に第3楽章の旋律は一般の聴衆にも広く受け入れられ、ブラームスの交響曲としても知名度が高い楽章となりました。また、ブラームスの後の作曲家たちにも影響を与え、彼の音楽が持つ「構造美」と「情緒」が多くの音楽家に受け継がれました。

### まとめ
ブラームスの交響曲第3番は、彼の成熟した作曲技法と豊かな感情表現が見事に融合した作品です。この交響曲は、ブラームスの他の交響曲と並び、ロマン派交響曲の名作として高く評価されています。

1952年9月29日と10月1日に録音されたアルトゥーロ・トスカニーニ指揮、フィルハーモニア管弦楽団によるブラームスの交響曲第3番ヘ長調、作品90の演奏は、トスカニーニの特有の解釈とフィルハーモニア管弦楽団の高い技術が融合した録音として知られています。この録音に参加した主要な演奏者たちの特徴を以下に解説します。


### 指揮者:アルトゥーロ・トスカニーニ
トスカニーニは、20世紀の指揮者の中で特に厳格で精密な演奏スタイルで知られ、特にドイツ・ロマン派の作品に対する情熱的でありながらも構造を重視したアプローチが特徴的です。彼は音楽のスコアに忠実であることを信条とし、緻密なアンサンブルと抑制された表現力によって音楽を描くことを目指しました。

### オーケストラ:フィルハーモニア管弦楽団
フィルハーモニア管弦楽団は、1945年に設立され、瞬く間にヨーロッパ屈指のオーケストラとして評価されるようになりました。この時期のフィルハーモニア管弦楽団には、非常に高い技術を持つ演奏家たちが揃い、トスカニーニの細部にわたる要求に応えることができました。

#### 主要セクションの演奏者:
- **弦楽器セクション**: 当時のフィルハーモニアの弦楽セクションは、統一感のある豊かな響きと、各奏者の高い個人技が際立っていました。第1ヴァイオリンからチェロまでがトスカニーニの要求する緻密なアンサンブルを忠実に再現しています。
- **木管楽器セクション**: 特にホルンやクラリネットのソロ部分での表現力豊かな演奏が特徴で、ブラームスが意図した内省的で温かみのある響きを効果的に表現しています。
- **金管楽器セクション**: トスカニーニの指揮によって、金管楽器の音色は控えめながらも鮮やかで、交響曲の重厚な雰囲気を支える役割を果たしています。

この録音は、トスカニーニがロマン派音楽に対して持つ独自の哲学を体現しており、彼の指揮法とフィルハーモニア管弦楽団の高い演奏技術が見事に融合したものといえます。この結果、ブラームスの交響曲第3番の持つ内省的で人間味あふれる性格が、力強くも緻密に描き出されました。


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