第4話 ロイニー、越える
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第4話 ロイニー、越える
ある日のスタジオ終わり、いつものようにたむろしてるとバンド仲間のNが諭吉でパンパンの財布を自慢げに見せびらかせてきた
ロイニー「ふぁっ…これいくらあんの?」
N「20万!スロットだよ、スロット」
ロイニー「スロットってそんな簡単に稼げるの?」
N「モーニング(※)取れば誰でも勝てるぞ」
ロイニー「俺も連れてって!」
(※モーニング:店が意図的にボーナスを仕込む開店サービス)
次の日、「シティホール(仮)」に早朝からNと並んでいた。F1のテーマ曲が爆音で流れ、店員のマイクパフォーマンスと共に開店。今でもあの音楽を聴くと胸が高鳴る
人生初めてのスロット。Nに指示されて座ったのは「ゴーゴークリエイター」という台
なにも分からぬまま打ち始めすぐ当たる…
そしてまた当たる…
ひたすら当たり続ける
当時はあまり理解していなかったが明らかに裏モノのモーニングだった
「なんだこれ!」Nとはしゃぎながら溢れ出てくるメダルをドル箱につめる
後ろからなにやら冷たい視線を感じた気がしたが、今はそれどころじゃない
N「よしっ連チャン抜けたしやめよう。」
一時間そこそこで二人合わせて8000枚ぐらい流す
N「な?簡単だろ?」
ロイニー「スロットってめちゃ簡単じゃん」
興奮冷めぬまま勝利の余韻に浸っていると“明らかに明らかな見た目”の男が近付いてきた
男「兄ちゃんたち、いっぱい出してたなぁ(笑)」
N「余裕すよ、ゴークリのリセットさえ取れれば誰でも勝てますって(笑)」
Nは饒舌に語る。Nはまだ気付いていない。話しかけてきたのは後ろから視線を感じていた先にいた男…明らかにヤクザだった
ヤクザ「兄ちゃんたち、ちょっと話出来るか?」
N「…え?」
ヤクザ「あれ俺らの台なんだよな」
どうやらこのヤクザは毎日開店と同時にやって来てはゴーゴークリエイターのモーニングを打っていたらしい
【暗黙のルール】で店側は裏モノにリセットを毎日仕込み、【暗黙のルール】で他の客は先に並んでても誰もその台を決して取らなかったのだ
今では考えられないが当時はこんなことが当たり前だった
男「今日のとこは目つぶるけど兄ちゃんたち気付けなあかんで?」
N「はい…」
ロイニー「はい…」
(良かった…危なかった。でもたくさん勝った!)
翌朝、ゴークリのモーニングを打つために意気揚々と先頭を陣取るバカが二人がいた…(続く)
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