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第25話 ロイニー、クビになる

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第25話 ロイニー、クビになる


「ヒキ」という言葉が大嫌いだ

だかしかし「確率のブレ」を「引き」と大別して良いのであれば「ヒキ」という不公平なものは確実に存在する


そう、世界はいつだって不公平だ



当時通っていた店の特定日は各機種(4台以上設置)に設定6が投入されていた

俺は設定6投入パターンをほぼ完全に把握していたのだが、抽選人数も多く狙い台が取れないことが多かったため相方とノリ打ちをしていた


朝の抽選が終わると相方が俺の車に乗り込んで来る。車の中でお互いの番号を確認し、それに合わせた狙い台を相方に伝えてるのがいつもの流れだった


一桁の抽選券を持った相方はこう言った


相方「ちょっと今日から一人でやろうかな」


薄々と感づいていた…今月に入ってから俺はバイオ5・攻殻機動隊・慶次・番長2の設定6で4連敗。それも全てビタヅモでボコボコに負けていた


設定6を確信し相方に報告すると笑顔になり、時間が経つにつれて相方の笑顔が曇っていく


ただただ申し訳なかった、だがこればっかりはどうにもならない


そもそも出せるものなら俺だって出したい!



俺の狙い台の精度がいくら高くても、相方は俺のヒキの弱さに我慢が出来なくなったようだ


ノリ打ちは双方納得して初めて成立するもの、相方に断られた俺はただ頷くことしか出来ない


引きつった笑顔で早番で取れる狙い台を教えようとしたが、さすがにバツが悪いと思ったのか相方はそそくさと車から降りていった



今日も俺はクソ番、再整列が始まって後ろを見ると誰もいない


台数の少ないハイスペ機種は当然座れない…入場してみると目ぼしい狙いは全て取られていた


18台設置の北斗救世主はちらほら空いている。そりゃそうだ…1/18の設定6、普通に考えて分が悪すぎる。二台に絞っていた狙い台がまだ空いていたので北斗を確保する

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店内を一周回ると(元)相方は4台設置のカイジ3に座っていた。「今日入るのはそこじゃない…」喉元を通った言葉を慌てて飲み込む。もうノリじゃないんだ、余計なことは言わないでおこう



一通り朝の状況を確認し北斗を打ち始めると一発目のARTで+60Gの上乗せ、すなわち6確。安心感よりも先に(元)相方への申し訳なさが頭をよぎる


そこからは席を離れることもなくとにかくブン回す。昼過ぎ頃だっただろうか、気配を感じ振り返ると元相方が立っていた


(元)相方「…ツモった感じ?」


俺「う、うん、6確も出てくれたし後は出玉が出てくれれば良いんだけど…そっちは?」


(元)相方「左が当たりっぽいわ、天井取りきったらやめる」


彼の後ろ姿は少し悲しそうに見えた。まぁそりゃそうだ、今日は左が鉄板の場所だったのに…申し訳ないけど俺はとにかく回そう



それからしばらくすると(元)相方がニコニコしながらジュースを差し入れに来た

俺「ありがとう。カイジもうやめたの?」

(元)相方「いや、天井ATから倍プッシュ引いて2560ゲーム乗った(笑)」

俺「お、おう…」

(元)相方「まぁそっちも頑張ってね(笑)」

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彼は少し長めのウイニングランのついでに差し入れのジュースを持ってきてくれたらしい


この日は閉店近くまでブン回した結果、辛うじて差枚1000枚ほどプラス。出玉を流してもらっていると、中央通路に置かれたとてつもない別積みが目に入る


そう、(元)相方のカイジはその後も一撃で伸び続け20000枚近く出ていた

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専業は確率のブレを楽しみつつ形のない期待値の海を泳ぐ、そして俺はいつも足掻きながら溺れる


そう、世界はいつだって不公平だ


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