第7話 そうだ、やめよ
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第7話 そうだ、やめよ
スタジオ代・機材費・ライブチケットノルマ。無名バンドは音楽での収入は皆無。いくらバイトをしても金がない、とにかく金がなかった
そんなとき友達に稼げるバイトをしないかと誘われる。そして紹介されたのがT先輩、スロットのみの収入で生活しているスロプロだった(第1話参照)
T先輩は会ったその日に僕の心を鷲掴みにした。奢りでキャバクラに連れて行ってくれて、女をはべらせながらこう言ったんだ
「スロットは楽して稼げる。いい女を好きなだけ抱ける。欲しいものは全部買える。好きなときに起きればいい。」
ロイニー少年にとってあまりにも魅力的な甘い言葉だった。さっそく次の日バイトをやめた。そしてT先輩の代打ちをすることになる
4号期後期、北斗・吉宗・南国育ち・番長・秘宝伝・アラエボ・鬼武者・銭形・ボンパワなど5号機、6号機でも後継機が出るような人気機種に恵まれていた
119%越える台もまだ多く、過激なイベントも許されていた。誕生日に好きな台の設定6を打てる、来店ポイントを貯めたら好きな台の設定6を打てる、BIG早がけで設定6を打てる…こんなイベントがざらにあるような時代だった
T先輩は設定狙いがメイン。設定狙いでツモれなかったり、手が空いたときにエナをする流れ。今の俺の立ち回りスタイルはたぶんここから来ている
代打ちの待遇もめちゃめちゃ良かった。基本日当25000円とかだったかな。万枚出せばお祝儀、負けた日は申し訳なさそうに14000円渡された記憶がある。今のご時世、この条件なら僕は尻尾を振って打ち子になりそして親の足の指の隙間まで嘗める
それから一年弱、T先輩の代打ちをしながら店選び・立ち回り全てを学び、吸収した。そしていつのまにか100万円を貯めれた。どうしても100万円の束をじっくり見たくて銀行から全額一度下ろしてニンマリしてまた全額預金した
ん?これ自分が親になったらめちゃ稼げるじゃん
…そうだ、やめよ
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