メンタルヘルス・マネジメント検定【Ⅰ種】論述問題過去問の概要と傾向

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 2024.10.21 誤字および脱字の訂正

メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種


1.はじめに

メンタルヘルス・マネジメント検定のⅠ種には論述問題がある。論述問題は1時間という短い時間のなかで、問題を読み文章を構成し記述しなければならない。このため論述試験に合格するには、あやふやな知識だけでは解答することができない。また単に知識を問う問題ばかりではなく、事例を読み解き問題点や対応方法などを答えさせるものもあり、実践的なスキルが要求される。そのため、闇雲に知識を覚えるだけでは合格は難しいであろう。また覚えるにも膨大な学習時間が必要になる。そこで試験に効率的に合格するにはⅠ種の論述試験の傾向を把握する必要があるが、それには過去問を研究するのが最適である。ここではこれまで行われてきた過去問についてみていくことにする。
なお過去問自体は著作権等の理由から載せることができないので、論点や出題形式がわかる程度の概要を記載する。実際の過去問や解説は過去問題集として出版されているのでそちらを参照願いたい。


2.論述問題の出題形式

メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種の論述問題は、以下のとおりである。
・問題数 第1問の中に設問が3問程度。第2問がある場合もある。
・基本的に文章で論述する。文字数が指定されている場合が多い。
・指定されたキーワード(3つ程度)を用いて解答する問題がある。
・第1問は、1ページ程度の<事例>が紹介されており、その事例に関する問題が出題される。


3.論述問題の傾向

以下は私が感じたことなので参考にしてほしい。
・大きな法改正や制度の変更などがあった場合、出題される確率が高い。→ 公式テキストの正誤表や法改正についてのお知らせを公式テキストのページで必ず確認しておくこと。なお2024年試験では、「法改正についてのお知らせ」が出ているので、その中から出題される可能性がある(法律系の資格では、法改正が狙われるというのは定石である)。
・テキストの図表から出題される傾向がある。また本文の中で箇条書きになっているものや、○○の何項目などといった、複数の項目が列挙されているものが出題頻度が高い。


4.過去問

以下に2023年(令和5年)実施の第35回試験から 7年分の過去問の概要を載せておく。
※2020年(令和2年)第29回の試験以前はテキスト第4版に準拠している。

◆2023年(令和5年)第35回

【第1問】<事例問題>

[設問1] P.92 ③アプセンティーズムとプレゼンティーズム
アプセンティーズム・プレゼンティーズムの意味 (120字)

[設問2] P.343 d)部下からの相談対応
「労働者の心の健康保持の増進のための指針(厚生労働省)」より
部下からの相談対応
労働者の特徴と管理監督者が必要な対応(300字)

[設問3] P.311 a)情報の収集と評価 図表9
「心の問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き(厚生労働省)」より
第3ステップ 「情報の収集と評価」の内容(250字)

【第2問】
<事例>メンタルヘルスケアに関する方針
[設問1] P.226 b)4つのケアを実行する体制
メンタルヘルスケア推進体制 7つの関係者の役割(うち指定された3つの関係者の役割)

[設問2] P.229 ①心の健康づくりの目標
「心の健康づくり計画」の目標について3つのキーワード(キーワードは問題中に記載)を用いて記述(250字)

◆2022年(令和4年)第33回


【第1問】<事例問題>

[設問1] P.204 図表4
「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(厚生労働省)」より
「自宅等でテレワークを行う際のメンタルヘルス対策の留意点」

[設問2] P141 図表6、図表7
ストレスの発生プロセスと対応するコーピングの種類
図の空欄を埋める問題 10問

[設問3] P.325
・希死念慮に至った状況とストレス反応(180字)
・「職場における自殺の予防と対応(厚生労働省)」より
 <事例>の中で「自殺の危険があって注意すべき点(自殺予防の十箇条)」に該当する箇所

【第2問】
「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン(厚生労働省)」より

[設問1] P.76 ⑨治療と仕事の両立支援
治療と仕事の両立図るための取り組みに関して(150字)

[設問2] ③両立支援の留意事項
治療と仕事の両立支援の留意事項8項目の概要(1項あたり40字)


◆2021年(令和3年)第31回


【第1問】<事例問題>

[設問1] P.135 図表4
「NIOSH(米国労働安全衛生研究所)職業性ストレスモデル」より
<事例>のストレス状況を、モデルに従い整理し5つの要素の説明と事象を記述

[設問2] P.70 c)面接指導の実施
情報通信機器を用いて面接指導する場合の機器が満たすべき3つの要素(各70字)

[設問3] P295、P303 図表5
(1)P307 ②プライバシーへの配慮と従業員への周知
国際EAP協会によるEAPの定義と3つの得意分野(350字)
(2)
事業場外資源と連携する際の契約に盛り込むべきプライバシー保護規定(200字)


 >以下テキスト第4版当時の問題<

  ※テキストのページは第5版。ただし5版のテキストの記載内容では解答できない問題もあるので、参考として記載している。


◆2020年(令和2年)第29回


【第1問】<事例問題>

[設問1] P.37 a)女性労働者の活躍推進
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(情勢活躍推進法)」より
3つの基本原則(250字)

[設問2] P.46 d)パワーハラスメント
労働施策総合推進法改正によるパワーハラスメント防止処置より
(1)パワーハラスメントに該当する3つの要素と職場におけるパワーハラスメントの定義
(2)<事例>中のパワーハラスメントに該当する上司の言動4つと「代表的な言動の類型」

[設問3] P.377 2)職場環境改善のためのヒント集の特徴
「職場環境のためのヒント集(メンタルヘルスアクションチェックリスト)」の特徴(400字)


◆2019年(令和1年)第27回


【第1問】<事例問題>

[設問1] P.268 ②定期健康診断の結果
イネイブラーの説明(140字)

[設問2] P.268 ②定期健康診断の結果
課長がイネイブラーである可能性の言動を4つ

[設問3] P.190 ②誰が何に困っているのか―事例性― 
P.328 ③対応や予防<事例2>
事例性と疾病性の意味、事例性の問題点(300文)

【第2問】
[設問1] P.357②キャリア発達支援プログラム開発のための注意事項 
キャリア発達支援ブログラム開発の注意事項(400字)


◆2018年(平成30年)第25回


【第1問】<事例問題>

[設問1] P.46 d)パワーハラスメント
「職場のいじめ、嫌がらせ問題に関する円卓会議(厚生労働省)」でしめしたパワーハラスメントの定義(100字)

[設問2] P.46 d)パワーハラスメント
パワーハラスメントの6類型を全て記述

[設問3] P.46 d)パワーハラスメント
「パワーハラスメント対策導入マニュアル(厚生労働省)」
7つの取組の実施手順を順番に列挙

[設問4] P.96 ③ポジティブ・ヘルス P.97 ④ワーク・エンゲイジメント
ポジティブヘルスの意義を3つのキーワード(キーワードは問題中に記載)を使って説明(700字)


◆2017年(平成29年)第23回


【第1問】<事例問題>

[設問1] P.80 b)ストレスチェックの実施体制の整備
ストレスチェックの実施者になることができる国家資格を4つ

[設問2] P.83 ④留意事項
ストレスチェック制度に照らして誤っている対応を4か所(各60字)と、そのように判断する理由を「ストレスチェク指針」基づいて記述(各80字)

[設問3] P.84 c)不利益な取扱いの禁止
ストレスチェック及び面接指導結果による労働者の不利益な取扱い防止について、
(1)法で禁止される不利益な取扱いの内容(150字)
(2)ア 受験しない労働者への不利益な取扱いの内容(180字)
(2)イ 面接指導結果による労働者への不利益な取扱いの内容(180字)


                   ー 以上 ー


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