メンタルヘルス・マネジメント検定【Ⅰ種】論述問題 実施回別の出題章


1.はじめに

 前回は実施回毎の論述式問題の概要を見てきた。今回は問題がどの章から出題されているかを見ていく。

2.実施回別の出題章

 表のとおり、第23回から昨年実施の第35回までの出題章をまとめた。
(表を参照)

実施回別に出題された章のまとめ

表を見てわかる通り、第1章からはほぼ毎回出題されている。出題されていないのは第27回のみである。次に多いのは第7章である。第7章についてはここ数年出題されていることがわかる。第1章からの出題が多い理由としては以下のことが考えられる。
・「企業経営におけるメンタルヘルス対策の意義と重要性」というタイトルからわかる通り、企業におけるメンタルヘルス対策の必要性を説いている。
・Ⅰ種の出題範囲の概要を俯瞰して説明している章である。


 上記2点の理由から、第1章は約100ページにおよびテキスト全体の4分の1のページ数を割いている。ページ数が多いため必然的に出題回数も多くなっていると考えられる。また前述したように、第1章は意義と重要性、そして全体の概要を俯瞰している。そのため出題回数が多いという理由以外でも試験対策上必ず理解しておくことは重要である。
(つまり第1章を理解しておけば、論述試験の合格点に達するかどうかは別として、ある程度の解答を埋めることができるはずである。)
 また、第23回、第25回では第1章からの出題のみである。
この2回につては当時のテキスト第4版からの出題である。この第1章からの出題については後述する。
 次に第7章は「相談体制の確立」というタイトルになっている。ただし実際の7章の内容は単に「相談体制の確立」といった内容だけではなく、それ以外にも現場でメンタルヘルスの問題をかかえた(または問題が発生しそうな)労働者と相対するスタッフの実践的な内容が書かれている。また章の後半には「緊急事態への対応」として、いくつかの事例が生々しく紹介されており、テキストの中では最も現場寄りの内容となっている。試験問題作成委員が実践を重視している表れであると私は考える。
(テストの出題回数が多いという以外にも、実際にメンタルヘルスに携わるスタッフとしては理解し実践できるようにしておくべきであろう。)
 その他の章については、まんべんなく出題されている回もあれば第23回、第25回のように全く出題されていない回もある。やはり試験対策上合格をするためにはおろそかにすることはできない。一通り理解しておく必要はある。

3.第23回、第25回について

 上述したようにこの2回は第1章からの出題だけである。しかも、第1章から広く出題されているかと言えばそうではない。テキストで言えばわずか数ページ分の内容からの集中しての出題である。
各試験の論点は以下の通りである。

・第23回 ストレスチェック
・第25回 パワーハラスメント
     (ただし設問4はポジティブヘルス)

 見ての通り第1章の中でもピンポイント的に出題されている。これには理由がありそれぞれ試験実施の前後に、それぞれの論点に関する大きな動きがあったからである。

・第23回(2017年) ストレスチェック
 → 2014年の労働安全衛生法の改正により、2015年に「ストレスチェック制度」が導入された。

・第25回(2018年)パワーハラスメント
 → 2012年の提言、2015年の「パワーハラスメント対策導入マニュアル」の公表、さらには2019年の「労働施策総合推進法」改正(ただし試験時点では未実施)という流れがあった。

以上の点を踏まえると、法令や制度などの新設や改正、変更などを押させておく必要がある。

4.おわりに

以上見てきた通り、論述試験の出題内容はテキスト全体からの出題もあれば、ピンポイント的にかなり偏った出題もある。そのため、まずは一通りまんべんなく学習しておく必要がある。その際に第1章は全体をよく理解するためにもよく学習しておく必要がある。次に出題回数の多い、第1章、第7章を再度見直しておく。最後に試験近く(1ケ月前程度)になったら、法改正などについて洗い出しておき出題されても解答困らないように対策しておくべきである。
※2024年の試験でも、公式テキストのページに改正情報が載せてあるので押さえておく必要がある。また選択式でも出題の可能性もある。

                     以上


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