5 敗北と「超越した蘇命融合」

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天保がカードを冷えた瞬間、顔に不敵な笑みが広がった。その態度には自信が宿っていて、フィールドの緊張感がさらに高まりました。

「終わりだな、勇希君。この引きで、君に残された可能性はゼロだ!」

「……何をするつもりだ?」

勇希が注意の目を向けると、天保は手札のカードをゆっくりと見せた。

「私の切り札――『超越した蘇命融合』を発動!」

超越した蘇命融合の効果発動

天保がカードをデュエルディスクにセットすると、フィールドに眩しい光が広がり、空間が歪むような感覚が広がります。その光景に、勇希は思わず息を呑んだ。

「『超越した蘇命融合』の効果で、墓地にいる『超越竜サルヴァニオス』と『超越竜アルティメットグラディオス』を融合――新たなモンスターを召喚する!」

墓地に眠っていた2 最強の怪物が青白い光に包まれ、融合の渦へと吸い込まれていく。そして、その中心から新たな姿が現れた。

「来い!『恐竜竜皇・アルティメットタイラント』!」

現れたのは、攻撃力4000を誇る巨体を持つモンスター。 恐竜と竜の力を融合させたその姿は、圧倒的な威圧感を漂わせていた。

「このモンスターの効果で、、このカードは1ターンに2回攻撃が可能だ!」

「……そんな化け物が……。」

勇希は思わず声を漏らしたが、天保のターンはまだ終わらない。

二頭を持つキング・レックスの召喚

「さらに、私の手札から『二頭を持つキング・レックス』を召喚!」

その攻撃力は1600と控えめながら、フィールドに立つだけで天保の勢いをさらに加速させていた。

「どうだい、この布陣!これで君は完全に詰んだ!」

バトルフェイズ――決着一撃

「バトルフェイズだ!」

天保が大声で宣言するやがて、「恐竜竜皇・アルティメットタイラント」がその巨体を揺らして前進する。その攻撃が、フィールドに無防備な勇希へと迫った。

「まずは、『アルティメットタイラント』でダイレクトアタック――『タイラントクラッシュ』!」

攻撃力4000の一撃が勇希を直撃し、デュエルディスクがライフポイントの激減を告げる。

「ぐっ……!」

勇希は衝撃に耐えるが、継続攻撃が止まることはない。

「さらに『アルティメットタイラント』の2回目の攻撃――タイラントクラッシュ!」

再び出戻される攻撃で、勇希のライフポイントは0になった。

「最後の一回だ――『二頭を持つキング・レックス』でダイレクトアタック!」

2つの頭が咆哮を上げながら突進した。

敗北の静寂

「これが俺の力だ!どうだ、これが現実ってやつさ!」

天保が勝ったように笑い声を挙げた。その声が空間に響く中、勇希はただ静かにフィールドを見つめていた。

「……負けた。」

しかし、その瞳にはどこか静かな光が宿っていた。

観客席の鈴

観客席で見守る鈴の目は、涙が滲んでいた。

「勇希……。」

その声は、時々、彼に対する信頼の思いが込められていました。

再び誓う勇希

「天保、お前が強いのは知ってるよ。」

勇希は静かに上向きに、天保を見据えた。

「それでも。次は。」

その言葉に、天保は少しだけ驚いた顔を見せたが、すぐに笑い声を上げた。

「次があるなら、楽しみにしてるぜ。」

敗北の残り韻
デュエルディスクがライフポイントゼロを示す赤い光を瞬時にさせ、勇希の敗北を告げる静かに響いていた。

天保は勝ち誇ったように笑みを落とし、デュエルディスクを片付けながら肩をすくめて言った。

「いやぁ、素人にしちゃいい勝負だったよ、勇希君。まさかここまで俺を追い詰めるとはな。」

その言葉には戦場めいた響きがあり、勇希の胸に小さな棘を残した。

「……素人、か。」

勇希はそう呟きながら、デュエルディスクを外し、静かに目を伏せた。

鈴、駆け寄る

「勇希!」

観客席から鈴が走り寄ってきた。 その目には心配の色が宿っている。

「大丈夫……?怪我はない?」

「……平気だよ、鈴。俺がただ、弱かっただけだ。」

勇希は無理に笑おうとしたが、その声にはどこか力がなかった。その様子に、鈴の表情が曇る。

鈴の怒り――天保への侮辱

「弱い?そんなことない!」

鈴は無意識に声を張り上げた。その勢いに、勇希だけでなく、少し離れたところにいる天保ずっとが目を向ける。

「鈴ちゃん、落ち着って。」

天保が軽く手を挙げて笑うが、鈴はその笑みを見てさらに眉をひそめた。

「落ち着ない!天保、あんた本当に最低だね。」

「……えっ?」

その言葉に天保が一瞬驚いた表情を見せる。

「勇希を侮辱するなんて許せない! 彼はたった3年のブランクがあったのに、ここまで戦えたんだよ。 あなたみたいに偉そうにしてる人が、簡単に彼を『素人』なんて呼ぶ資格なんてない!」

鈴の声には明らかな怒りが込められていた。その勢いに、天保は思わず言葉を詰まらせた。

天保の弁解

「いやいや、鈴ちゃん、怒らなくてもいいだろ?」

天保は決めたいを立ち止まりながら手を振る。

「俺だって別に悪気あったわけじゃないさ。ただ、褒めてやったつもりなんだけどな。素人にしてはいい線行ってたって。」

「そんなの、褒め言葉でも何でもない!」

鈴がさらに怒りを込めて言い放つ。その勢いに、天保は少しだけ後ずさりした。

「……分かった、わかったよ。俺が悪かったって。鈴ちゃん怒られて怖いなぁ。」

天保は肩をすくめながら言いましたが、その顔には一時の色が浮かんでいた。

勇希の心の中で

鈴と天保の話を聞きながら、勇希は静かにその場に立っていました。

(俺は……ただ負けた。今のことなのに。)

胸の奥で、自分の弱さへの悔しさが渦巻く。 でも、それと同時に、鈴が自分のために怒ってくれたことに、少しだけ救われた気持ちもあった。

「ありがとう、鈴。」

小さな声でそう呟くと、鈴が振り返って笑みを浮かべた。

「勇希は強かったよ、昔のまま。」

その言葉に、勇希はただ静かに聞こえました。

天保の締めくくり

「まぁ、次は俺だって全力で相手するさ。楽しみにしてるぜ、勇希君。」

天保が笑いながら手を振り、ホールを後にする。その背中を見送りながら、勇希は拳をぎゅっと握り締めた。

(次は、必ず……勝つ。)

その心に芽生えた小さな炎が、消えることはなかった。

天保の勝利と鈴の怒りがぶつかり合う中、OCGルームの扉が突然勢いよく開いた。

「何の騒ぎだ!」

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