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大阪大学大学院 ロンダリング合格体験記

修士の時に阪大の院にロンダリングして、さらに受験した理学研究科化学専攻の中で上位2割(5段階評価の順位の一番上)に入れたので、今更ながら合格体験記書いてみようと思います。


きっかけは大学受験の阪大落ち→浪人京大落ち

院試はうまく行きましたが、大学受験は大失敗でした。
現役で正直東大に行きたかったのですが、かなり合格が厳しいという状況だったので受かりそうと思った阪大に変えたのですが、あえなく不合格。
一浪ではA判定(ギリだったが)が何回か出ていた京大工学部(工業化学科、今の理工化学科)を受けましたが、数学で大失敗してまたも不合格。
結果的に大阪府大(今の大阪公立大)の工学域の化学系に進学します。

このロンダリングで現役時に不合格だった阪大理学部化学科に行くことができたので、個人的には今はそこまでコンプレックスには思っていません。

大学1年からTOEIC対策、院試の過去問チェック

大阪府大に決まった時は絶望だったので、部活やサークルには入らず勉強に集中して絶対4年後に良い大学院に入る気で入学しました。

まず力を入れたのはTOEIC。入学前からTOEIC用の文法書(出る1000)をやり込み、大学1年の4月のIPテストで580点。そこから勉強を重ねて、9月に受けた公開テストで650点を取得。
まだまだ高くない点数でしたが、12月のIPテストで720点となり、大台の700点に到達。ここから遊んだりブランク期間はあったものの(笑)、大学2年の1月に765点を取得し、理系の大学院を受けるには十分な点数を取ることができました。(結局大学3年で775点をとり、これを受験に使いました)

また専門の化学に関しても、大学1年次から京大院の過去問を見てどんな内容が出題されるか分析し、このレベルが解けるようになることを見据えて大学の予習に取り組むなど、それなりにロンダリングには燃えていました。

何事にも、先にゴールを確認して、何をすれば目標を達成できるのか明確化することが大事に思います。今回のケースでは過去問を見ることでした。
最終的に阪大を受けたので、この時見ていた京大は受験しませんでしたが、おおむね大学院入試はこんな問題が出るんだなということを把握できただけでも収穫でした。大学の授業もここが目標になったことで、ぼーっと受けるだけみたいなことにならなかったのも良かったと思います。
(まあ全ての授業で集中してたかというと・・・でしたが。)

大学2年から研究室を探し始める

だんだんこの時期から専門の授業が多くなり、どんな研究をやっていこうかという青写真がはっきりしてきます。

自分は化学が専門なのに数学が一番得意で、これを活かせる研究室を探した結果、理論化学や計算化学の研究がしたいという結論に至りました。

数式を一つ一つ追うのが本当に好きで、正直この時も偏微分方程式の授業が一番楽しかったのを覚えています。
この授業の前にあった高分子化学の授業が死ぬほど眠かったのに、偏微分方程式になった途端、あんなに眠かったのが嘘かのように夢中になって式を追う自分に気づいた時に、やっぱり数学がやりたいと思うようになりましたね。
元々高校生の段階で、数学科や物理学科などガチの数学猛者には勝てないと感じていたので、数学猛者の少ない化学を専門にして数学が得意なのを活かせるようにしようという狙いで化学を専攻した背景がありました。
なのでこの選択は
(正直、このエピソードがなくても同じ進路だった気はしますが・・・。)

大学3年冬休みから院試対策スタート

院試対策を本格的に始めたのは3年の冬。遅いのか早いのかわかりませんが、化学の場合は大学の授業をしっかり理解することが第一に思います。
あとは3年後期とかで別の専攻の授業で復習になりそうな授業をあえて取るとか、一応院試対策に無駄がないような時間割になるように多少意識しました (自分の場合だと、応用化学ではなく化学工学の方の熱力学や有機化学の授業をあえてとって復習に使うとか)。

大学の授業はいろいろな分野の知識を入れるチャンスなので、院試対策に限らずリベラルアーツを楽しみながら、徐々にブーストをかけていく感じで良い気がします。(試験の難易度にもよりますが)

大学3年終わり-大学4年初めで研究室を決断

研究室は最終的に3年の終わりまで悩みました。
正直、最終決定は研究室見学してからになるのかなと思います。
自分の場合は春休みと6月に2回訪問して、その研究室の居心地と雰囲気が合ってたのでそこで決定しました。
ただ4年の4月に入ってからは研究が始まって院試対策にあまり時間を割けなくなるケースもあるため、隙間時間が貴重になってくるかも。
早い段階で志望校が決定できていれば過去問分析も十分な時間が取れますので、可能なら4年生が始まる前に志望研究室を確定させておきたい所です。

大学4年の院試直前でスパート・・・かけなくても序盤の貯金が功を奏す!

後述しますが、大学院選びは試験が外部生でも受けられる問題内容か、つまりどの大学でも習う一般的な内容が出題されているかが重要な要素です。
裏を返すと、このような大学院を受ければ大学1-3年できちんと授業で勉強できていれば直前の院試対策で焦らずにすみます

自分の場合は、大学1年で化学熱力学をほぼ完璧にマスターしていたのが功を奏しました。このおかげで苦手だった有機化学や、大学であまり習っていなかった錯体分野に力を入れることができました。
有機化学も大学1年から3年まで授業や演習を通してある程度基礎を固めていた上、受験した院であまり難しい問題が出ない性質上そこまで困らなかった印象(忘れているだけかもしれないが)。

過去問も3年の冬の対策開始時から取り組んだことで10年分目を通すことができ、十分な対策ができました。

細かい大学院ロンダリングのコツ

院試問題は外部生でも対策しやすい問題かチェック

ここが一番重要です!!
内部生だけが解けるような問題ばかり出ているケースはそもそも外部生を入れる土俵が整っていないし、周りに外部生の仲間が少なかったりするので入ってからもやや心細いかもです(気にしないならアレですが)。
逆に割とどの大学でもやるような一般的な内容を聞いている場合はチャンスです!よく過去問を観察してみましょう。

TOEICは700点以上を目標に、あくまで専門の勉強を優先する

理系の院に受かるだけならTOEICは700点で十分。東大はTOEFLが必要なのであと一踏ん張りですが、TOEICで良いならある程度の点数をとってあとは専門の勉強に集中した方が良いと思います。
(正直、理系院生英語できない人多めです笑)
なお、個人的には院での論文紹介や執筆での読み書きのことを考えると、TOEICは土台として最低700点ないときつい気がします。
阪大時代に優秀だなと思う人は皆700点後半で、自分も大学3年時点で775点を取っていました。
逆に今の研究室で顕著ですが、特に600点前半以下だと論文読むのに文章をDeepLに丸投げ翻訳しないと読めなかったりとか、結構ヤバ目な印象。
やはり700点というのは一つの基準のような気がします。

(修士就職)研究or就活どちらに集中するかを明確化

これによってどんな研究室が良いか変わります。
研究に集中するなら、比較的学生が成果を出していたり、忙しい方が経験値が貯まりやすいかもしれません。
逆に就活集中なら裁量権の高い(研究をやらない期間があっても許される)研究室の方が良いですね。
まあ前者の方が就活の時に研究エピソードを話しやすそうにも見えますが、修士の就活はそこまで業績が重要な印象が低めなので、個人的には研究と就活の時間をしっかり分離できる後者の研究室をすすめます。

(博士限定)研究費の多い研究室が正義

ここも重要です。博士課程行って研究ガチりたいなら、先生の科研費をよく見てください。特に教授。
科研費は主に基盤研究という研究費を取ることが多く、S ~ Cでランク付けされます。上のランクほど研究費が多いです。
教授レベルは基本A,Bですので、以下の基準を参考にしてください。

  • 基盤S: 神。文句なし。ついていこう

  • 基盤A: 問題なし。

  • 基盤B: ちょっと怪しいけどまあいいか。研究内容がよっぽど合うならGo

  • 基盤C: 限りなく怪しい

  • なし: 近寄らない方が良い

なお他の科研費区分や資金源で割と莫大なお金が入っている場合は別です。
日本の研究.com (https://research-er.jp/search/researchers)だったり、KAKEN(https://nrid.nii.ac.jp/ja/index/)をよく観察してみましょう。

(博士限定)学生が!!論文投稿しているかチェック

これ、結構盲点です。
日本の研究室って結構学生が論文投稿あんまりできていない所って多いんですよね。出していても低IFばかりとか。
それなりのIFとか海外の雑誌に学生が投稿してたりする研究室はレベル高い可能性があります。(少なくとも研究活発だと思う)
まあ修士卒で就職する場合はあまり気にしなくて良い気がします。

(東大限定)TOEFLが必要なので早めに準備

該当者は少ないかもですが、やはり日本最高学府に行きたいという人はそれなりにいるでしょう。しかし壁となるのがTOEFLです。
僕は大学4年になった時に東大も検討しましたが、コロナ禍でTOEFL が対面(TOEFL-ITP)で受けられなくなり、スピーキングとライティングのあるTOEFL-iBTしか許されない状況になったため断念しました。
(どう考えても間に合わないと思った)

本番TOEFL-ITPを受けられてスピーキングとライティングを回避できればまだ耐えますが、それでも試験内容がTOEIC等とはだいぶアカデミック寄りで難し目ですので、相応の対策が必要。
iBTでスピーキングとライティングをやるなら尚更です。
(日本人はスピーキング苦手目ですので、それなりに特訓が必要なケースが多いと想定されます)

ロンダリングは環境をレベルアップする重要なチャンス。ぜひ積極的に使ってほしい。

まとめになりますが、自分は本当にロンダリングしてよかったです。
結果的に大学4年にいた研究室に博士で戻ってくるという予想外の展開に見舞われましたが、それでも阪大に行って得られたものは大きかったです。

人が成長するチャンスは、一枚上のレベル感の人と出会った時です。
レベルが高すぎてもダメ。一枚上という、凄さを感じつつも届きそうなレベル感が一番成長できると、自分は人生経験上確信しています。

もしこの記事を見てロンダリングをしようと思っている人がいたら、是非納得のできる進路に進んでほしいなと切に願います。

長くなりましたが最後まで読んでくださりありがとうございました。








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