見出し画像

学校看護師やってみた 赤裸々体験談

看護師のみなさん、*学校看護師(ナースストリートサイト参照)って名前は聞いたことある方も多いと思いますが、実際の業務内容や雰囲気、待遇など実際は謎に包まれていますよね。周りに学校看護師の経験者もあまりいませんよね。

病院ではなく学校で働く看護師って何をしているのでしょうか。

経験年数を積んだ看護師なら、病院や施設、診療所では転職先の業務内容は割とイメージがつくと思います。しかし学校看護師となるとそうはいかないかもしれません。
仕事内容は各小中学校どこに勤めるかで大きく違います。
それはその学校にどのような障がいをお持ちで、どのような医療行為が必要な子供が在籍しているかによるからです。
(募集要項に業務内容が記載されていたり、*ナースセンター(ナースストリートサイト参照)に問い合わせることで詳細な医療行為を確認できるかもしれません)


私は市の会計年度任用職員として4月より採用され、病気療養のため更新しなかったため翌3月で退職しました。よってキャリアはたったの1年です。

それでも学校看護師のやりがい、特殊性を同僚とやり取りし、学校で働く看護師の重要性や課題を感じました。

また他の学校で働く看護師たちと情報交換を得る研修にも参加でき、
学校看護師がもっと普及して働きやすい職場の一つとして認知されれば良いなと思います。

それは*医療的ケア(下記リンク参照)が必要な児童が普通学校で過ごす貴重な経験を手助けする仕事に関われますから。

ここでは体験も交えて学校看護師として働いた実際を書いています。
学校看護師をやってみようと思う看護師が一人でも増えるようにと願っています。

https://www.mext.go.jp/content/20200610-mxt_tokubetu02-000007673_01.pdf


学校看護師って実際どうなの?

学校看護師とは、医療的ケアが必要な児童に対して在校中適宜ケアを行う看護師です。必ず医師の指示書と手順書が存在し、それを基に医療的ケアを行います。
ケア内容は多岐にわたり、配属された学校の医療ケア児の状態によって違います。喀痰吸引や呼吸器管理、経腸栄養や気切部やPEGの皮膚状態の観察、導尿やインスリン注射などの医療ケアの他、移乗介助や口腔ケア、食事介助、衣服着脱介助等、児童の学校での生活に合わせてケアは生じます。

私が担当した児童は移動に車いすが必要で、医療的ケアは導尿でした。私は幸いもともと勤務していた先輩看護師が常勤でしたので、必要な手順や動きは全て教えてもらえました。何でも話せる気さくな方で、そこは本当に恵まれました。
決められた時間での医療ケアは問題なく行えたものの、時間内に体操着や発汗時の着替えを介助することは大変でした。また、プール授業の介助、避難訓練時は児童をおぶって階段を降りる等、体力勝負の面はあります。
このように、学校行事や授業スケジュールに沿って、できるだけ時間が遅れないように行動することが必要でした。児童が安全に学校生活を送れるよう配慮することは神経をつかいました。

学校看護師をやろうと思った理由 

私が学校看護師を経験することになったのは、自らの意思というよりも「お願いされた」という表現が良いかもしれません。求人はナースセンター
で見つけました。電話でどんな業務内容なのかと確認したところ「一度、見学だけでもして欲しい」と言われて見学だけなら…と軽い気持ちで近所の小学校に出向いたところ、*特別支援学級の先生やコーディネーター、市の担当者がずらりと勢揃いでした。
医師からの指示書や手順書、日々の医療的ケア記録を確認し、ケアの場所、物品、学校全体の見学をして再度集合したあとに契約書の提示があり、そこで断ってもよかったのですが、週2~3回勤務でも可能との条件に惹かれ、サインしてきました。契約を交わしたのが3月末なので、市や学校はよほど焦っていたのでしょうね。4月から新年度始まりますしね。人気がない、のでしょうか。認知度が不足している、のでしょうか。
(余談ですが…)看護師が不在のまま学校がスタートした場合は、医療ケアは親が行う必要があります。
*地域によっては、学校看護師の欠員がある学校に他の学校看護師が出勤できる体制を構築したり、地域内の小中学校の全てを勤務先とする巡回型を採用しているところもあります。


学校看護師はどんな人にオススメ?


①子供が好きな人・成長発達に喜びを感じられる人
当然ですが勤務は日々子どもたちとの触れ合いです。お子さんがいる看護師さんなら想像は容易いと思いますが、時間割はあってないようなものです。毎日変更があります。学年ごとに都度イベントがあり、役割があり、そのための準備があります。私が勤務した小学校は、医療的ケアの他に特別支援学級の生徒が通常学級で学ぶ際の支援も業務内容に入っていたので、声かけをしたり準備を手伝います。特別支援学級の生徒なので感情表現がうまくできない生徒がほとんどです。声かけや対応に苦慮したことも少なくありません。それでも根気強く関わることで子どもの対応や行動が変わったり、見たことのない表情に出会うと、子どもの成長を感じました。

②夜勤や残業をしたくない人
職場は医療機関ではないので、夜勤や拘束勤務はありません。
児童が下校したあとに契約時間になれば退勤できるところがほとんどです。
児童の登校から下校までが勤務時間と考えますので、夕方にはきっちり退勤できることが多いです。

ちなみに…
私たち夫婦には子どもがいません。
採用されるにあたり、個人的にそこが一番不安でした。小児科は看護実習が最後、訪問看護時代に難病の医療ケア児を数名担当しただけの経験値でしたが、結論から言うとそんな私でもできました。
前述しましたが、私の場合は医療ケアよりも特別支援学級の勉強支援、見守り、対応、移乗や移動、着替え介助の方がずっと大変だったからです。

学校(教員)の雰囲気は?

私の勤めた小学校の教員の皆さんは、概ね優しい方が多かった印象ですが、同時にその中身は「興味、関心がない」ということなのかな、という思いも抱きました。
学校看護師は医療的ケアの必要な児童のケア、支援が主な役割です。他の児童の健康予防やけが、病気相談は養護教員が担当しています。
養護教員は職員として会議に参加していますが、学校看護師は教員でないこと、採用形態が違うこと等で課題や情報共有の時間を得ることが難しい印象がありました。
学校看護師がどのような医療的ケアを行い、どのような視点で担当児童の発達過程や将来を見据えているのか。これを知る機会がないことが、教員の無関心につながっていると思います。特別支援学級の担当教員に相談したくとも、分単位で本当に忙しく動いている教員をつかまえて相談することが難しいのが現状でした。
ただでさえ少人数の学校看護師のため、周囲の無関心は孤独をうみます。障がいのある医療的ケアの必要な児童のためにも、きちんと学校看護師が周知されて体制が整えられることを望みます。

実際に学校看護師として働いてみた感想

訪問看護を経験していたとはいえ、学校で医療的ケアをするということには不安がありましたが、先輩看護師の指導のもとそこはクリアできました。
私にとって大変だったことは、特別支援学級の児童との触れ合いとその対応でした。*ADHD、LD、自閉症等の児童の対応を人生で初めてすることになり、さすがに自己学習はかかせませんでした。多動の児童に振り回されたり、暴言に傷つき涙したり、四苦八苦でした。
それでも、学びは多かったです。こういった勤務につかなければ、学校看護師の難しさややりがい、課題が見えてこなかったからです。学校看護師は絶対に必要な職種ですが、それにはまだまだ体制面、待遇面を改善しないといけないと思いました。つくづく、看護職はどこでも力を発揮できると実感した1年でした。











この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?