47動物 コピペwiki 次世代バトル漫画賞 17448文字
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モルモット
グレイラット
発生
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受精卵や無性生殖におけるなんらかの細胞塊が成体に到達する過程のことを発生'(はっせい、development)と呼ぶ[59]。有性生殖では、一倍体である精子と卵(未受精卵)が受精する事で、二倍体の受精卵が形成され、発生が開始する[57]。精子由来のミトコンドリアは酵素により分解されるので[60]、ミトコンドリアなどの細胞小器官や母性因子と呼ばれるmRNA、機能タンパク質は卵細胞のみから受精卵に伝わり[61]、子の表現型は母親の影響を受ける母性効果 (materal effect) が現れる[62]。胚発生以前から卵には極性(軸性、polarity)があり、卵前核に近い方の極を動物極(どうぶつきょく、animal pole)、そうでない極を植物極(しょくぶつきょく、vegetal pole)と呼ぶ[63]。前者は幼生の中でも運動や感覚に関する部分、後者は消化器系となり、これらがかつてそれぞれ動物的機能と植物的機能と呼ばれていたためこれらの名がある[63]。
発生が進行すると、胚のそれぞれの部分は特定の組織になるが、その決められた先を予定運命(よていうんめい、presumptive fate)と呼ぶ[64]。ある動物において、初期の発生(2細胞期や4細胞期)では等しい分化能力(全能性)を持ち、すべての組織や器官を形成し得る[38][65]。ウニの2細胞期の各割球を分けると、それぞれ受精卵と同様に発生が進行する[65]。逆に、4細胞期の環形動物や軟体動物の割球は完全な胚にならない[65]。発生運命が不可逆的に決まることを決定(けってい、determination)といい、前者のような状態を「未決定である」(indeterminate, adj.)、後者のような状態を「決定している」(determinate, adj.) と表現する[65][66][67]。胚発生における発生運命の限定には可逆的に限定された指定 (specification) と不可逆的な決定があり、普通は指定ののちに決定が起こる[66]。Conklin は胚発生の初期において、予定運命の決定が早い段階で起こるものをモザイク卵(モザイクらん、mosaic egg)、発生運命が未決定で、各部が影響を及ぼしあいながら順次決まっていくものを調整卵(ちょうせいらん、regulative egg)と呼んだ[67]。前者には有櫛動物、紐形動物、線形動物、環形動物、節足動物、軟体動物、尾索動物が[68]、後者には刺胞動物、紐形動物、棘皮動物、腸鰓類(半索動物)、脊椎動物などが挙げられる[69]。
卵割
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→「卵割」も参照
受精卵は卵割(らんかつ、cleavage)という体細胞分裂を繰り返す事で多細胞からなる胚を形成する[60][70][71]。一般的た体細胞分裂とは異なり、卵割の際は核は複製されるが細胞質は卵細胞のものを分割して使うという特徴がある[60]。卵割は分裂溝(ぶんれつこう、cleavage furrow)により細胞が2つの割球(かっきゅう、blastomere)と呼ばれる細胞に分割されておこる[71]。卵割という用語は受精卵の最初の数回の分割に対して使われる[72]。
卵割様式は卵黄の蓄積部位の影響を受ける[70][73]。棘皮動物・毛顎動物のように卵黄が等しく分布する等黄卵 (homolecithal egg[注釈 9])の場合は、ウニのように等割(とうかつ、equal cleavage)を行うか、環形動物や多くの軟体動物のように不等割(ふとうかつ、unequal cleavage)となる[70][73]。これらは卵割面が割球同士を完全に仕切るため全割と呼ばれる[71]。それに対し、端黄卵(たんおうらん、telolecithal egg)では分裂溝が卵黄の少ない動物極から現れるため、ハート形分裂(クラゲ型分裂;刺胞動物)の時期を経る[70][73]。クラゲ型分裂がより極端になると、頭足類(軟体動物)のように最初の分裂溝が植物極に達しないまま次の分裂溝が動物極に現れる盤割(ばんかつ、discoidal cleavage)を行う[70]。節足動物やイソギンチャク(のように多量の卵が中央にたまっている心黄卵[注釈 10] (centrolecithal egg)では、表割(ひょうかつ、superficial cleavage)が行われる[70][73][71]。第3分裂(4細胞期から8細胞期)では、不等割を行うものでは動物極側のものは小さく、植物極側のものは大きいため、それぞれ小割球(しょうかっきゅう、micromere)と大割球(だいかっきゅう、macromere)と呼ばれる[72][74]。
また、卵割では分裂ごとに紡錘体のとる位置や方向が定まっているためそれぞれの分裂方向が一定しており、大きく分けて放射卵割(ほうしゃらんかつ、radial cleavage)と螺旋卵割(らせんらんかつ、spiral cleavage)の2つの卵割配置 (cleavage pattern) がある[72][74]。放射卵割では、各分裂の分裂面がその前の分裂に対して直角に起こり、分裂面は卵軸に対して平行か直角に規則正しく起こる[74]。8細胞期以降は不規則な分裂が混ざってくるものが多い[74]。分類群としては、刺胞動物[72]、有櫛動物[72]、箒虫動物[72]、ウニ類(棘皮動物)[72]、毛顎動物[75]、腕足動物[75] が挙げられる。螺旋卵割では4細胞期から8細胞期(第3分裂)に紡錘体が卵軸に対し45°の角度をなして斜めに位置する[72][75]。その後の各分裂はだいたい互いに直角に行われるが、初めの分裂面が卵軸に対し傾いているため、以降の分裂面もすべて卵軸に対して角度をなして交わり[74]、螺旋状に並ぶ[72]。分類群としては、扁形動物[72][75]、環形動物[72][75]、軟体動物[72][75] に代表され、紐形動物[75]、内肛動物[75] など少なくとも8つの門が螺旋卵割を行う[75]。なお、環形動物および軟体動物の一部では極体放出および卵割と同期して植物極の細胞質が縊り出され、無核の極葉形成(きょくようけいせい、polar lobe formation)が起こる[70]。極葉は一方の割球と合併され、その細胞質は将来の中胚葉となる[70]。8細胞期で大割球から縊り出された4個一組の小割球は第一クオテット(第一四つ組、1st quartette)と呼ばれる[74]。また、4細胞期の各細胞からつながる細胞系譜を持つそれぞれの系統をクアドラント(四分区、quadrant)と呼ぶ[74]。なお、節足動物などではこのどちらにも当てはまらない[76]。
胞胚期
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卵割が進み、細胞が小さくなって胚表面が上皮的に滑らかになると卵割期から胞胚期に移行したとみなされる[71]。この時期の胚は1層の細胞層で囲まれた球形で、胞胚(ほうはい、(blastula)と呼ばれる[77]。初期胚の内部には卵割腔が形成されるが、細胞数が増加することで細胞同士が密着結合を形成すると、卵割腔内にNa+やCl-といったイオンが能動輸送され、浸透圧が上昇して内部から水が浸入し胞胚腔液で満たされる大きな胞胚腔 (blastocoel[注釈 11]) が形成される[61]。卵割腔(胞胚腔)をもつ胞胚を特に中空胞胚 (coeloblastula) と呼び、不等割を行う胚では胞胚の内部は卵黄を含んだ植物極側の大きな細胞で満たされるため中実胞胚 (stereoblastula) と呼ばれる[77]。卵黄量の多い盤割をするものでは細胞は動物極側に偏った胚盤(はいばん、blatodisc)を形成し、そのような胞胚を盤胞胚(ばんほうはい、discoblastula)と呼ぶ[77]。また表割を行う胞胚では細胞形成は胚の外周でのみ行われるため、囲胞胚(いほうはい、periblastula)と呼ばれる[77]。
なお、昆虫や両生類など多くの動物では、卵割期の細胞増殖を急激に行うために通常の細胞分裂で行われる一部の過程(G1期とG2期の過程)が省略され早い細胞分裂が続くが[76][78]、胞胚中期になるとこの省略が終わり、形態形成に必要な転写、細胞の移動や誘導が始まる中期胞胚遷移(中期胞胚転移、中期胞胚変移)が起こる[76][79]。それに対し哺乳類では分裂速度が遅く、2細胞期から既に転写が始まる[76]。
嚢胚形成
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胞胚は内胚葉が外胚葉から分画される嚢胚形成(原腸胚形成[61]、gastrulation)を経て嚢胚(原腸胚[61]、gastrula)期に至る[65][77]。嚢胚は内外二重の細胞層からなり、胚葉の区別が現れる[77]。嚢胚を形成する方法は分類群により異なり、最も一般的なものは陥入(かんにゅう、invagination、または まくれこみ emboly)である[65][77]。陥入では植物極側の細胞層が胞胚腔に向かって折れ曲がり、内胚葉となる[77]。内胚葉のつくられた盲管状の部分を原腸(げんちょう、archenteron)、その入口を原口(げんこう、blastopore)と呼ぶ[65][77]。この嚢胚形成の方法は棘皮動物などに典型的で[65]、棘皮動物では原腸の両壁には広い胞胚腔が残されているが、箒虫動物では原腸の壁に外肺葉が密着し、胞胚腔を残さない[77]。以降に示す被いかぶせや内展も陥入の変形とみられている[77]。環形動物や軟体動物では被いかぶせ(おおいかぶせ、epiboly)という方法で嚢胚形成が行われる[65][77]。胞胚における動物極側の小割球の分裂が先に進行して、卵黄に富んだ植物極側の大割球を包囲することによって嚢胚ができる[65][77]。小割球由来の外側の細胞が外胚葉層となり、内側の大割球群が内胚葉となる[77]。被いかぶせでは、胞胚腔はかなり縮小している[65]。また、内胚葉細胞塊ははじめ原腸を形成しないため、外胚葉に覆われていない部分を原口と呼んでいるが、発生の進行に伴って原腸を形成し、原口と連絡する[77]。この場合、原口から落ち込んだ外胚葉の細胞層を、口陥(こうかん、stomodaeum)と呼ぶ[77]。盤胞胚を形成する頭足類では、胚盤葉の一端がその下に折れ込んで前方に延長する内展(ないてん、involution)によって内胚葉が形成される[77]。
もう一方の嚢胚形成の方法は葉裂法(ようれつほう、delamination)と呼ばれ、主に刺胞動物にみられる[65][77]。狭義の葉裂法はカラカサクラゲ類 Geryoniidae にのみ見られ、中空胞胚において外壁を作る細胞が一様に胞胚腔に向かって分裂すると、胞胚腔内に出た細胞は規則正しく配列して内胚葉の嚢を作る[77]。ヒドラなどが行う方法は多極法(たきょくほう、multiopolar proliferation)と呼ばれ、胞胚法を形成している細胞が各所で胞胚腔内にすべり落ち、それが内胚葉の嚢を形成する[77]。それに対し、ウミコップ属 Clytia では植物極のみから細胞がすべり落ちるため、単極法(たんきょくほう、uniopolar proliferation)と呼ばれ、多極法と併せて極増法(きょくぞうほう、polarization)と呼ばれる[77]。葉裂法を行う嚢胚の多くは中実嚢胚(ちゅうじつのうはい、stereogastrula)で、発生が進行するまで原腸も原口も持たない[65][77]。
中胚葉形成
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左右相称動物では、内胚葉および外胚葉とは別に、体腔と関連して中胚葉の形成が起こる[80]。刺胞動物や有櫛動物では外肺葉から細胞が零れ落ち、外中胚葉性の間充織細胞を作る[36]。棘皮動物や箒虫動物など、内中胚葉でも間充織細胞として形成されるものはあるが、内中胚葉は普通表皮の形をとる[36]。
螺旋動物では、まず第二クオテットまたは第三クオテットから外中胚葉性の間充織細胞が形成される[77]。その後、D四分区の 4d細胞(中胚葉帯端細胞、mesoblastic teloblast)から内胚葉由来の中胚葉が生まれる[36]。第四クオテットの他の細胞(4a, 4b, 4c)は内胚葉となる[36]。かつては 4d細胞の系統にある子孫細胞は全て中胚葉になると考えられていたが、内胚葉も含んでいる[36]。4d細胞は胞胚腔内に落ちると左右に分裂し、胚の分化に伴い肛門になる部分の左右前方に位置しながら前方に細胞を送り、中胚葉帯(mesoderm band)を作る[36]。これを「端細胞による中胚葉形成法 telobblstic method」と呼ぶ[36]。環形動物などでは、この中胚葉帯内に体腔が形成され、これが裂体腔と呼ばれる[36]。
節足動物でも、中胚葉は1対の細胞帯として出現する。しかし螺旋動物のように特定の細胞ではなく、原口の周囲の細胞群に由来している[36]。
腸体腔をもつ後口動物および毛顎動物、腕足動物などでは、原腸壁の一部が胞胚腔に向かって膨出 (evagination[80]) し、そこから分離して胞胚腔内で独立した体腔嚢(たいこうのう、coelomic vesicle)を形成する[36]。こうしてできた体腔は腸体腔であり、それを囲む壁が中胚葉である[36]。脊椎動物においては、両生類(無羊膜類)では中胚葉の形成と原腸の形成が同時に起こるが、羊膜類(鳥類や哺乳類)では、中胚葉の形成が先に行われ、その後卵黄嚢と連続する内胚葉の一部が中胚葉に包み込まれるようにしてくびれ、原腸の形成が行われる[61][81]。
細胞分化と器官形成
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脊椎動物などでは、組織や器官を形成するため、胚細胞が特定の機能を持った細胞に変化する(細胞分化)[82]。この際、基本的な細胞機能の維持に必要な遺伝子(ハウスキーピング遺伝子)の機能は残しつつ、特定の機能に必要な遺伝子を新たに発現し、逆に分化後には不必要になる遺伝子をDNAメチル化により不活性化する[82]。
脊椎動物などでは原腸胚期の後、神経管が形成される神経胚期へと進む。例えばニワトリでは、外胚葉に神経板という領域ができ、それが胚の内側に丸まる事で神経管ができ、さらに直下に脊索が形成される[83]。神経管の前方には前脳、中脳、後脳という3つの膨らみが形成され、これらが将来脳になる[83]。脊索の両側の沿軸中胚葉から体節が形成され、体節と隣接した外側の中間中胚葉からは腎節が形成される[84]。体節はやがて皮節、筋節、硬節に分かれ、これらはそれぞれ皮膚の真皮層、骨格筋、椎骨などが形成され[84]、腎節からは腎臓や生殖腺が形成される[84]。中間中胚葉のさらに外側には予定心臓中胚葉という、将来心臓関連の組織になる部分があり、これは壁側中胚葉と臓側中胚葉に転移する[85]。前者からは体腔を覆う胸膜や腹膜が形成され、後者からは心筋、平滑筋、血管、血球などが形成される[86]。心臓は生命の維持に不可欠なので、発生の早い段階で中胚葉から形成される[85]。なお、予定心臓中胚葉は中胚葉の正中線を隔てた両側に2つ存在するが、これら2つは移動して胚の前方で合流して心臓を形成する[85]。脊椎動物では外胚葉と中胚葉の相互作用で四肢が形成される[87]。ヒトの手足は水鳥と違い、指の間に水かきがないが、これはアポトーシスの作用で水かき部分の細胞を「自殺」させている為である[81]。
起源と進化
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起源
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動物の起源については、単細胞生物の襟鞭毛虫が集まって多細胞化する事で海綿動物のような動物になっていったと考えられる[88]。これをガストレア説(群体繊毛虫仮説)と呼ぶ[88]。ヘッケルは動物の初期発生に基づき、襟鞭毛虫のような原生動物から、胞胚に相当する1層の細胞層を持つ中空の祖先型動物ブラステア (Blastea) が生じ、次に嚢胚に相当する二重の細胞層からなる袋状のガストレア(腸祖動物、Gastraea)が生じたと想定した[89]。
なお従来は、上述した襟鞭毛虫類から進化したとするヘッケルの説と繊毛虫類から進化したとするハッジの説(多核体繊毛虫仮説、合胞体繊毛虫仮説)が対立していたが、分子遺伝学の成果によれば、18SrDNAに基づいた解析などにより、動物は襟鞭毛虫類を姉妹群に持つ単系統な群であることが示されており、ヘッケルの説が有力とされている[88][89]。ハッジの説は生態学的な視野のもと、多核繊毛虫から無腸動物のような原始的な左右相称動物が生じたと考え、後生動物の起源を左右相称動物に求めた[89]。
この多細胞化が起こった仮説として、現在までに様々なものが提案されてきた[90]。複雑な多細胞生物の出現は、生物圏の酸化が進むまで妨げられたという説が広く受け入れられてきた[90]。ほかにも動物が多様化するきっかけとしてとして、クライオジェニアンやエディアカラ期の全球凍結の環境的制約から後生動物の祖先が解放されたこと、宇宙放射線の影響、極移動、大陸の分断、硫化水素の毒性、塩分、微量金属の栄養塩の不足、海に栄養塩をもたらす大陸風化の周期、地球温暖化、または活発になった捕食者と捕食者の軍拡競争などが考えられるが、必ずしも相互に排他的なものではない[90]。なおこれらの仮説は、多少なりとも、後生動物の多様化との因果関係につながるが、結局推定される時間的な一致に依存しており、地球規模の海の大酸化は後生動物が進化した原因ではなく、後生動物の出現による結果であると主張されている[90]。
古生物
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先カンブリア時代
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地質時代・先カンブリア時代[* 1][* 2]累代代紀基底年代
Mya[* 3]顕生代新生代66中生代251.902古生代541原生代新原生代エディアカラン635クライオジェニアン720トニアン1000中原生代ステニアン1200エクタシアン1400カリミアン1600古原生代スタテリアン1800オロシリアン2050リィアキアン2300シデリアン2500太古代[* 4]新太古代2800中太古代3200古太古代3600原太古代4000冥王代4600
30億年以上前に地球上初めての生物が誕生したと考えられており、真核生物の最古の化石(グリパニア Grypania)は21億年前の地層から発見されている[91][92]。
確実な化石記録により較正した分子時計から、クラウングループとしての後生動物は新原生代クライオジェニアン(8億3300万年前–6億5000万年前)に誕生したと推定されている[90]。
最古の化石記録に関しては議論があり、異論の余地がない確実な動物化石の証拠は顕生代に入ってからに限られている[90][93]。また左右相称動物の動物門の確固たる証拠はカンブリア紀になるまでない[94][95]。とはいえ、動物の進化は先カンブリア時代からの歴史があるという見方が一般的になってきている[90]。
動物のものかもしれない最古の化石は2012年にナミビアの7億6000万年前、クライオジェニアンの地層 (Okakuyu Formation) で発見されたオタヴィア・アンティクア Otavia antiqua)である[96][97][98]。これは0.3–5 mm(ミリメートル)程度のかりんとうのように細長い歪な卵形をしたリン酸カルシウムからなる化石で、海綿動物だと考えられている[96][97]。海綿動物だとすると表面に空いている多数の細孔から微小なプランクトンを濾過摂食したものと考えられる[96][99]。なお、オタヴィアは7億6000万年前だけでなく、6億3500万年前、5億4800万年前(エディアカラ紀)の地層からも見つかっている[96][97]。またオーストラリアの南オーストラリア州からは6億6500万年のトレゾナ層 (Trezona Formation) からも、初期の海綿動物ではないかと考えられている化石も見つかっている[100]。クライオジェニアン(約6億3500万年前)からカンブリア紀初期までの約100年にわたり連続して普通海綿の存在を示しているとされた生命存在指標(バイオマーカー)は[101]、現在では共生細菌に由来するものだろうとされている[102]。 全球凍結直後、約6億3000万年前の陡山沱の動物の胚化石(ドウシャントゥオの胚化石、Doushantuo embryos)とされていたものは[103][104]、現在では原生生物や硫黄細菌ではないかと解釈されている[105][106][107]。
分子時計によれば、続くエディアカラ紀(エディアカラン)に左右相称動物のほとんどの門が多様化したと考えられている[108][90]。また、エディアカラ紀の5億7500万年前から5億4100万年前にかけてはエディアカラ生物群と呼ばれる生物群が多く見つかっている[109][110]。エディアカラ生物群とカンブリア紀以降の動物との類縁関係は未だはっきりしていないが[91][110]、その形態からランゲオモルフ[111] Rangeomorpha、Dickinsoniomorpha、Erniettomorpha に分けられる[109]。エディアカラ生物群は新原生代クライオジェニアン紀の全球凍結(スノーボールアース、全地球凍結)の後、5億7500万年前から5億6500万年前の間に放散(Evolutionary radiation)したと考えられ、それを「アヴァロンの爆発 Avalon explosion」と呼ぶ[112][113][110]。エディアカラ生物群のうち、ディッキンソニア Dickinsonia、Andiva、ヨルギア Yorgia とランゲオモルフは左右相称動物であったとする研究もある[109] ほか、海綿動物(Eocyathispongia qiania)[114][115]、軟体動物(キンベレラ Kimberella quadrata)[116]、そして無数の刺胞動物(Haootia quadriformis)[117][118]、節足動物(パルヴァンコリナ Parvancorina)[119]とみられるものもあり、真正後生動物や左右相称動物のグレードにあると推定されている動物の痕跡も見つかっている[120][121][122][123][124]。
エディアカラ紀末期の5億4900万年前ごろには、硬組織を獲得していたクロウディナ Cloudina と呼ばれる化石が発見されており、現生の動物との類縁関係が分からず、古杯動物と呼ばれる[125]。この少し前の約5億6000万年前から約5億5000億年前のエディアカラ生物群の中にも硬組織を持つコロナコリナ Coronacollina acula が見つかっている[126]。
古生代
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地質時代 - 顕生代[* 1][* 2]累代代紀基底年代
Mya[* 3]顕生代新生代第四紀2.58新第三紀23.03古第三紀66中生代白亜紀145ジュラ紀201.3三畳紀251.902古生代ペルム紀298.9石炭紀358.9デボン紀419.2シルル紀443.8オルドビス紀485.4カンブリア紀541原生代2500太古代[* 4]4000冥王代4600
古生代カンブリア紀初期 (Nemakyt-Daldynian)、約5億4200万年前には珪酸塩や炭酸塩、リン酸塩からなる骨片(硬組織)をもつ微小有殻化石群 (SSFs, Small Shelly Fossils) が見られる[127][128][95][129]。化石に残る硬組織を獲得し、急速に多様な動物が出現したため、「カンブリア爆発」(カンブリア大爆発)と呼ばれる[127][130][131][129]。海綿動物、軟体動物、腕足動物、節足動物、棘皮動物、環形動物、脊索動物など、現在の動物門のほとんどを占める30余りの動物門[127]が化石記録に残っている。かつては現在とは無縁で現生動物よりも多数の動物群が突然出現したと考えられていたが、カンブリア紀以前の動物化石が発見されたり、カンブリア紀の生物群と現生の動物との類縁関係が判明してきたため、現在ではカンブリア爆発は複雑な器官(眼、触手、脚)を獲得したことよる活発な行動様式の発達および硬組織の発達による左右相称動物の多様化であると捉えられている[131][132]。5億3200万年前には Aldanella yanjiahensis と呼ばれる軟体動物の化石が見つかっている[90]。約5億2100万年前(トモティアン)になると、動物は眼を獲得し、それまで意味を持たなかった硬組織が防御や捕食に有利になり、それが軍拡競争として働いて多様な姿を持つ動物群が現れたと考えられている(光スイッチ説)[131]。また分子時計の解析から遺伝子レベルの生物の爆発的多様化はこれより数億年早いと考えられる[90][131][注釈 12]。カンブリア紀からオルドビス紀初頭にみられる大不整合の研究から、カンブリア爆発の原因は海洋中の化学成分(Mg2+、Na+、K+、Ca2+、Fe2+などのイオン)が増加した影響が指摘されている[133]。カンブリア爆発は2000万年[134][135] から2500万年[136][137] 続いた。
前期オルドビス紀にはカンブリア紀までに登場した動物門が大きく適応放散し[127]、これはGOBE (The Great Ordovician Biodiversification Event) と呼ばれる[138]。
オルドビス紀末に大量絶滅(O-S境界)があったが、無顎類(顎の無い脊椎動物)は生き残り、シルル紀に多様化し、顎のある脊椎動物も登場した[127]。デボン紀には硬骨魚類が多様化し、石炭紀には両生類が繁栄、ペルム紀には爬虫類が繁栄した[127]。
シルル紀には最古の陸上動物の化石である節足動物多足類が登場し、デボン紀に節足動物が多様化、石炭紀には翅を持つ昆虫類が登場した[127]。
中生代
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ペルム紀末には地球史上最大の大量絶滅(P-T境界)が起こり、中生代三畳紀には海洋生物が大量に絶滅[127]。哺乳類が登場した[127]。
ジュラ紀には恐竜が繁栄し、鳥類も登場した[127]。また、軟体動物の殻を破るカニ類や硬骨魚類が進化し、これに対抗して厚い殻をもつ軟体動物が進化した(中生代の海洋変革)[127]。白亜紀までには現生の昆虫類のほとんどが登場[127]。
白亜紀末には巨大隕石の衝突による大量絶滅がおこる(K-Pg境界)[127]。
新生代
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新生代は哺乳類が優勢になり、鳥類、昆虫類、真骨魚類も適応放散し、現在と同様の動物相が形成された[127]。新生代の後半にあたる第四紀には人類も出現した。
化石動物についての動物門
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化石動物について、上記の分類される現存動物門のいずれにも属さないとして、新たな動物門が提唱されることがある。以下に主要なもののみ挙げる。
†三裂動物門 Trilobozoa Fedonkin, 1985
トリブラキディウムなどが属する。三放射相称の体制をもつ。
†盾状動物門 Proarticulata Fedonkin, 1985
†古虫動物門 Vetulicolia Shu et al., 2001
絶滅した動物
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→「絶滅した動物一覧」を参照
現生の動物の系統
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下位分類
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(顎口動物門)
各動物門に含まれる代表的な動物の例(和名は総称、詳細は「種名」を参照)
以下に『動物学の百科事典』(2018) で認められている分類体系における動物の門を示す。著者名は巌佐ほか (2013) による。各動物門どうしの系統関係などの詳細については異説もあるため、ここでは省略し、次節以降を参照。研究の進展により廃止された門については#かつて存在した動物門を参照。また、門の詳細に関しては各項を参照。
有櫛動物門 Ctenophora Eschscholtz, 1829[注釈 14]
珍無腸動物門 Xenacoelomorpha Philippe et al., 2011[注釈 15]
頭索動物門 Cephalochordata Lankester, 1877[注釈 16]
尾索動物門 Urochordata Lankester, 1877[注釈 16]
脊椎動物門 Vertebrata J-B. Lamarck, 1801(有頭動物 Craniata Lankester, 1877)[注釈 16]
動吻動物門 Kinorhyncha Reinhard, 1887
鰓曳動物門 Priapulida Théel, 1906
類線形動物門 Nematomorpha Vejedovsky, 1886(Gordiacea von Siebold, 1843)
節足動物門 Arthropoda Siebold & Stannius, 1845
有爪動物門 Onychophora Grube, 1853
二胚動物門 Dicyemida van Beneden, 1876(菱形動物[150] Rhombozoa van Beneden, 1882)[注釈 17]
有輪動物門 Cycliophora Funch & Kristensen, 1995
顎口動物門 Gnathostomulida Ax, 1956
微顎動物門 Micrognathozoa Kristensen & Funch, 2000
扁形動物門 Platyhelminthes Hyman, 1951(Plathelminthes Schneider, 1873)
苔虫動物門 Bryozoa (外肛動物 Ectoprocta Nitche, 1870)
内肛動物門 Entoprocta Nitche, 1869(曲形動物 Kamptozoa Cori, 1921)
紐形動物門 Nemertea Quatrefages, 1846(Rhynchocoela Schultze, 1851)
系統樹
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1990年代以前は左右相称動物は原腸が口になるか否かで前口動物、後口動物に分類され、さらに体腔が無体腔、偽体腔、真体腔のいずれであるかにより分類されていた。しかし1990年代の18S rRNA遺伝子の解析により、体腔の違いは進化とは関係ない事が判明し、上述の意味での後口動物は単系統でない事が示されたので、いくつかの動物門を新口動物から外し(後述)、前口動物に移した[155]。このような変更を施した後の前口動物が単系統であることが支持されている[146][156][157]。
下記は主に ギリベ (2016)の系統仮説に基づく系統樹に、ラーマーら (2019) による分子系統解析の結果を加えて、動物界の系統樹を門レベルまで描いたものである[11][158][159][注釈 20]。ただし、2018年現在、分子系統解析が進展中ということもあり、完全に合意がなされたものではない。本項はこの系統樹に基づき以下の小節にて解説を行う。
前左右相称動物
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動物界
海綿動物
有櫛動物
刺胞動物
平板動物
左右相称動物
海綿動物を最も基部とする分子系統樹の例[159]
動物界
有櫛動物
海綿動物
平板動物
刺胞動物
左右相称動物
有櫛動物を最も基部とする分子系統樹の例[159]
海綿動物門、平板動物門、刺胞動物門、有櫛動物門の4つは左右相称動物に含まれない動物門で、体の左右相称性がなく、これらをまとめて便宜的に「前左右相称動物」と呼ぶこともある[162]。分子系統解析から、このうち海綿動物か有櫛動物の何れかが後生動物で最も系統の基部に位置すると考えられている[11][159]。しかし、海綿動物が系統の最も基部に位置するか[159][163][164][165][166]、有櫛動物が系統の最も基部に位置するか[167][168][169][170] は分子系統解析においてもデータが分かれている。
現在の多様性は単純なものから複雑なものに進化してきたとする考え方のもと、かつては最も単純な平板動物から、細胞の種類がより多い海綿動物、そして神経を持つ刺胞動物、最後に神経系に加え筋系ももつ有櫛動物が進化してきたと考えられた[11][158]。ただし、襟鞭毛虫との類似から海綿動物のほうがより原始的な姿に近いとする考えもあった[158]。この進化的な仮説は形態に基づく分岐学的解析においても一時は支持された[158]。しかし、分子系統学が導入された初期にはもう平板動物は二次的に退化したより派生的なグループであることが明らかになり、有櫛動物は刺胞動物より系統の基部に位置することが明らかになった[158][171]。それだけでなく、有櫛動物はほかのすべての後生動物よりも基部に分岐したとする結果が得られた[167][168]。海綿動物は相称性や胚葉がなく体制が単純であるため[162]、最も初期に分岐した後生動物として直感的に受け入れられやすいのに対し、有櫛動物は放射相称、神経系と筋系をもつため、有櫛動物より後に海綿動物が分岐したと考えると筋系や神経系が有櫛動物と Parahoxozoa(有櫛動物と海綿動物以外の後生動物)で2回独立に獲得したと考えるか、海綿動物でどちらも1回完全に喪失したと考えなければならないため、大いに議論を呼んだ[11]。系統誤差の影響を軽減することで、再び海綿動物が最も初期に分岐したと考えられる結果が得られている[159][166]。
海綿動物 Porifera は相称性がなく胚葉がないなど最も単純なボディプランを持つ[162]。海綿動物の細胞は分化するものの、組織を形成することはなく[172]、複雑な器官をもたない[173]。そういったことから海綿動物は側生動物 Parazoa Sollas, 1884 と呼ばれることもある[9][37]。
刺胞動物と有櫛動物の体は放射相称性を持ち、唯一の腔所である胃腔の開口は口と肛門を兼ねる[174]。これらの動物門の細胞は組織に分化しているものの、器官を形成していない[175]。中胚葉が形成されない二胚葉性の動物であるとされるが、細胞性である間充織を中胚葉とみなし、ヒドロ虫綱以外の刺胞動物と全ての有櫛動物を三胚葉性とみなす事も多い[152][176]。
刺胞動物は触手に物理的または化学的刺激により毒を含む刺糸を発射する刺胞と呼ばれる細胞器官を持つ[174]。漂泳性(クラゲ型)と付着性(ポリプ型)という生活様式の異なる2つの型を持ち雌雄異体である[174]。かつては単細胞生物とも考えられていた寄生性のミクソゾアは分子系統解析により刺胞動物に内包されている[176]。
それに対し有櫛動物は1個の細胞が変形してできた膠胞を持ち、中胚葉性の真の筋肉細胞を持つほか、全てクラゲ型であり、二放射相称で雌雄同体である[177][178]。
平板動物は神経細胞も筋肉細胞も持たず、体細胞は6種類しかなく器官や前後左右軸をもたない、自由生活を行う動物として最も単純な体制を持つ[176]。しかし2008年にセンモウヒラムシ Trichoplax adherens のゲノム解読がなされ、シグナル伝達系、神経やシナプス、細胞結合などに関する多くの遺伝子の存在が報告された[176]。
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