38 菌類 コピペwiki 次世代バトル漫画賞 1302文字
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モルモット
グレイラット
毛顎動物
脱皮動物
有棘動物 Scalidophora(頭吻動物 Cephalorhyncha)は動吻動物門、鰓曳動物門、胴甲動物門をまとめたグループで
汎節足動物
汎節足動物 Panarthropoda は、動物界最大の門である節足動物
他にも三葉虫類やメガケイラ類など、絶滅種のみ含む節足動物の分類群はいくつか知られるが、現生群との類縁関係ははっきりしない[207]。六脚類は広義の昆虫類で内顎類(トビムシ類・カマアシムシ類・コムシ類、非単系統群)と外顎類(狭義の昆虫類)に分かれる[210]。六脚類は21世紀以前では頭部と呼吸器に共通点の多い多足類に近縁と考えられてきたが、21世紀以降では分子系統解析により、甲殻類と単系統群の汎甲殻類をなし、側系統群の甲殻類から分岐した説が主流となっている[207]。汎甲殻類における六脚類の系統位置は議論の的となり[207]、2000年代の分子系統解析では鰓脚類に近縁ともされていたが、2010年代中期以降では更なる全面的な解析により、脳の構造に共通性を持つ[210]ムカデエビ類の方が六脚類に最も近縁な甲殻類として有力視されている[207][211]。
汎節足動物は節足動物門以外には緩歩動物門と有爪動物門を含む。絶滅した群まで範囲を広げると葉足動物と呼ばれる古生物をも含む。緩歩動物門に属する動物はクマムシと呼ばれる動物であり[212]、ゆっくり歩く事からその名が名付けられた。陸上に生息する種では、クリプトビオシスという極限状態に耐えられる休眠状態になる事が知られている[212]。有爪動物門に属する動物はカギムシと呼ばれ、現生種は真有爪目のみ[212]。
カンブリア紀に多様化した葉足動物は、一見して現生の有爪動物に似て、かつては全般的に有爪動物のみに近縁と考えられた[141][213]。しかし1990年代後期以降では、節足動物と緩歩動物的性質をもつ葉足動物の発見[214][215][216][217][218]に否定的とされる。葉足動物は有爪動物のみでなく、むしろ全体的に現生汎節足動物の3つの動物門(節足動物・緩歩動物・有爪動物)の最も近い共通祖先と、それぞれの初期に分岐した系統(ステムグループ)を含んだ側系統群と考えられるようになり、葉足動物と有爪動物の多くの共通点は、汎節足動物の共有原始形質に過ぎない[219][140][141][220]。
螺旋動物
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→「冠輪動物」も参照
螺旋動物の系統関係ラーマーら (2019) に基づく分子系統樹の例[75][159]Marlétaz et al. (2019) に基づく分子系統樹の例[75]
螺旋動物
担顎動物 Gnathifera
触手冠動物 Lophophorata
吸啜動物 Rouphozoa
螺旋動物
担顎動物 Gnathifera
触手冠動物 Lophophorata
このクレードに属するほとんどが、胚発生において4細胞期から8細胞期に有糸分裂紡錘体が動物極-植物極軸と45°ずれる螺旋卵割を行うという共有派生形質をもつため[注釈 29]、螺旋動物[11](らせんどうぶつ)もしくは螺旋卵割動物[153](らせんらんかつどうぶつ) Spiralia と呼ばれる[75][222][223]。これを指して冠輪動物 Lophotrochozoa s.l. と呼ぶ場合もあるが[75]、本項を含め、「冠輪動物」の名称を螺旋動物のサブクレードに用いるケースもあるので注意が必要である[注釈 25]。
螺旋動物は担顎動物(たんがくどうぶつ、Gnathifera)、吸啜動物(きゅうてつどうぶつ、Rouphozoa)、冠輪動物(かんりんどうぶつ、Lophotrochozoa)という3つの系統を含む[153]。冠輪動物は上記の螺旋動物を指すこともあるため、担輪動物(たんりんどうぶつ、Trochozoa)とも呼ぶ[11]。前者2つを合わせたものを扁平動物 Platyzoa と呼ぶこともあるが[151][168]、ギリベ (2016) などでは採用されていない。逆に他の解析では担顎動物を除く吸啜動物と冠輪動物がクレードをなすことがあり、その場合、それらを合わせて Platytrochozoa と呼ばれる[222]。
担顎動物(有顎動物[142])は微小な体で、クチクラの中にオスミウム酸親和性のある物質が詰まった棒状構造からなる顎を持つという形質を共有する[224][142]。顎口動物は咽頭に複雑な顎を持つ動物で、体表面の単繊毛上皮によって移動する[225]。微顎動物は複雑な顎を備え、体の腹面に繊毛を持つ[142][153]。輪形動物は単生殖巣類、ヒルガタワムシ類、ウミヒルガタワムシ類からなり、ウミヒルガタワムシ類と鉤頭動物が姉妹群をなす[153]。鉤頭動物は独立した門とされていたが、そのような系統関係から輪形動物に内包されるか、輪形動物とともに共皮類(多核皮動物[224]) Syndermata としてまとめられる[153]。微顎動物および鉤頭動物は体内受精ののちに螺旋卵割を行う[225][224]。
吸啜動物に含まれる扁形動物と腹毛動物はともにメイオファウナの重要な構成種で、2つの腺により吸着する (duo-gland adhesive system) 形質がその共有派生形質ではないかと考えられている[226]。
冠輪動物(担輪動物)のうち環形動物と軟体動物はトロコフォア型の幼生を持つという共有派生形質を持つ[227]。紐形動物は翻出する吻を持ち、かつては無体腔と考えられたが、現在では吻が収納される吻腔が裂体腔であると考えられている[227]。冠輪動物のうち、箒虫動物・苔虫動物(外肛動物)・腕足動物は何れも触手冠と呼ばれる構造を持つため触手冠動物 Lophophorata と呼ばれ、分子系統解析でも支持されることがある[11][159][228]。冠輪動物はもともと担輪動物と触手冠動物の2つの系統を合わせて呼ばれるようになった語である[179]。分子系統解析の結果、苔虫動物は内肛動物と姉妹群をなす(広義の苔虫動物)とされ否定されたこともあったが[11][228]、ラーマーら (2019) などでは単系統性が示されている[159]。また、有輪動物は内肛動物と姉妹群をなすことが示唆されている[159][194]。
軟体動物
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→「軟体動物」も参照
冠輪動物に属する軟体動物門は節足動物門に次いで既知種の大きい門で、骨格を持たず、体節がない軟体からなる[229]。体腔は真体腔であるが退化的で、体内の腔所は組織の間隙を血液が流れるだけの血体腔である[229]。一般的には体は頭部、内臓塊、足からなり、外套膜が内臓塊を覆っている[229]。外套膜が分泌した石灰質の貝殻を持つ事が多い[229]。卵割は普通全割の螺旋卵割であるが、頭足類では胚盤をもつ盤割となる[229]。
軟体動物の分類は系統解析により一部修正が施され2018年現在は体全体を覆う大きな殻がある有殻類と石灰質の棘を持つ有棘類に大きく分かれるという仮説が有力視されている[230]。
軟体動物の綱は以下のように分類される[230]:
軟体動物
Conchifera有棘類
Aculifera
有殻類は綱レベルの単系統性は多くの場合保証されているが、各綱の系統関係は2018年現在一致を見ていない[230]。
環形動物
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→「環形動物」も参照
環形動物は環帯類(貧毛綱(=ミミズ)とヒル綱)、多毛類(=ゴカイ)、スイクチムシ類を含む門である。かつては独立した門だと思われていた有鬚動物(ゆうしゅどうぶつ、現シボグリヌム科)、ユムシ動物、星口動物を含むことが分子系統解析から分かり、多毛類がそれらの分類群をすべて内包し、多系統である事もわかった[11][231]。
Rouse and Fauchald (1997)による形態に基づく従来の系統関係は次の通りである[231][注釈 30]:
狭義の環形動物
頭節綱 Scolecida:ヒトエラゴカイ目 Cossurida・ホコサキゴカイ目 Orbiniida・オフェリアゴカイ目 Opheliida・イトゴカイ目 Capitellida
足刺綱 Aciculata:イソメ目 Eunicida・サシバゴカイ目 Phyllodcida
溝副触手綱 Canalipalpata:ケヤリ目 Sabellida(シボグリヌム科 Siboglinidaeを含む)・フサゴカイ目 Terebellida・スピオ目 Spionida
分子系統解析に基づく系統樹は次の通りである[231][注釈 31]:
環形動物
Palaeoannelida:チマキゴカイ科 Oweniidae・モロテゴカイ科 Magelonidae
プロトドリロイデス科 Protodriloidae・プロトドリルス科 Protodrilidae・ムカシゴカイ科 Saccocirridae・イイジマムカシゴカイ科 Polygordiidae
環帯類 Clitellata・フサゴカイ亜目 Terebelliformia・タマシキゴカイ科 Arenicolidae・タケフシゴカイ科 Maldanidae
ユムシ動物 Echiura・イトゴカイ科 Capitellidae・オフェリアゴカイ科 Opheliidae
スピオ科 Spionidae・カンムリゴカイ科 Sabellariidae・カンザシゴカイ科 Serpulidae・Fabriciidae・ケヤリ科 Sabellidae
シボグリヌム科 Siboglinidae(有鬚動物)・ミズヒキゴカイ亜目 Cirratuliformia
ホコサキゴカイ科 Orbiniidae・パレルゴドリルス科 Parergodrilidae・ディウロドリルス科 Diurodrilidae・ウジムカシゴカイ科 Dinophilidae・ホラアナゴカイ科 Nerillidae
二胚動物・直泳動物
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吸啜動物
腹毛動物
扁形動物
「中生動物」
二胚動物
直泳動物
"Mesozoa"
二胚動物と直泳動物を吸啜動物の姉妹群とする分子系統樹の例[160]
分子系統解析から、かつて中生動物とされていた二胚動物および直泳動物はともに螺旋動物に属することが支持されている。ただし、その中でも、二胚動物と直泳動物は姉妹群「中生動物」となり、さらにそれが吸啜動物と姉妹群をなすという結果もあれば[160]、直泳動物は環形動物に内包され、環形動物の極端に退化した形と考えられることもあり[161]、まだ決着はついていない。
後口動物
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→「後口動物」も参照
後口動物(新口動物)は棘皮動物門、半索動物門、脊索動物を含み、新口動物とも呼ばれる[151][233]。ヘッケルは新口動物の共通祖先から脊索動物が進化した過程を論じた際、棘皮動物の幼生[注釈 33] と半索動物のトルナリア幼生が共有する形質を合わせて、それらの祖先型として、ディプリュールラ幼生 (Dipleurula) という仮想的な幼生を考えた[234]。ディプリュールラ幼生はトロコフォア幼生と同様に口から肛門に至る消化管、頂器官に感覚器としての長い繊毛、口を中心とした繊毛帯(または繊毛環)、体後端部の端部繊毛帯を持つが、ディプリュールラ幼生では3部性の体腔(原体腔・中脳腔・後脳腔)を持つことおよび繊毛帯の走り方が異なる[234][235][236]。
2018年現在、棘皮動物と半索動物が姉妹群をなすという説が大勢を締めており[11][237]、これら2つをあわせて水腔動物 Coelomopora という[11]。
後口動物は胚発生において陥入によってできた原口が口になる前口動物に対し、原口が口にならず新たに口が開く動物であり、かつては現在後口動物とされる棘皮動物、半索動物、脊索動物だけでなく、触手冠動物としてまとめられる箒虫動物、苔虫動物(外肛動物)、腕足動物、そして毛顎動物を含んでいた[233][238]。これはブルスカとブルスカ (1990)、メルグリッチとシュラム (1991)などによる形態形質に基づく系統解析でも、原口に由来しない口を持つだけでなく、原腸由来の中胚葉を持つことや腸体腔を持つことなどの形質からも支持されていた[238]。ほかにも、放射卵割を行うなど[75]、後口動物としての性質を多く持っている。しかし分子系統解析の進展により、触手冠動物および毛顎動物は前口動物に属すると考えられるようになった[75][221][196]。この変更以降も「後口動物」という系統群名を用いるが[239][240][241][242][242][243][244][245] 、毛顎動物や腕足動物のような原口が口にならない動物も前口動物に含まれ[75]、単純に原口の有無が系統を反映しているわけではない。
水腔動物
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水腔動物 Coelomopora(歩帯動物 Ambulacraria)は幼生の形態、三体腔性、軸器官などの形質を共有する[237][11]。
棘皮動物は、成体が五放射相称、三胚葉性で、内胚葉由来の中胚葉(内中胚葉)を持つ[246]。腸体腔性の体腔で、体腔に由来する水管系と呼ばれる独自の構造をもつ[246][247]。神経系は中枢神経を持たず、神経環と放射神経からなるが、ウミユリ綱では神経節を持つ[246]。ウミユリ綱、ヒトデ綱、クモヒトデ綱、ナマコ綱、ウニ綱からなり、分子系統解析によりこれらのうちウミユリ綱が最も祖先的だと考えられている[246][247]。ウニ綱のうちタコノマクラ類やブンブク類では五放射相称が歪み左右相称性を示す[247]。
現生の半索動物はギボシムシ綱(腸鰓綱)とフサカツギ綱(翼鰓綱)からなり、化石ではフデイシ綱が置かれる[248][249][250]。どちらも体は前体・中体・後体の3つの部分に分かれるという共通した形質を持ち、前者では吻・襟・体幹と呼ばれ、後者では頭盤・頸・体幹と呼ばれる[251]。ギボシムシ綱では腸体腔と裂体腔をもつとされるが、体腔形成には不明な点も多い[252]。ギボシムシ綱は側系統で、ギボシムシ綱のハリマニア科がフサカツギ綱と姉妹群をなし、フサカツギ綱はギボシムシ綱から小型化によって体が二次的に単純化したと考えられる[251]。半索動物は脊索動物と同様に鰓裂を持つ[250][253]。かつては口盲管という器官が脊索の一種と考えられたこともあったが[252]、口盲管と脊索との関係を支持する発生遺伝学的研究結果はなく[253]、現在では脊索を持たないとされる[250]。
脊索動物
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→「脊索動物」も参照
脊索動物 Chordata は頭索動物・尾索動物(被嚢動物)・脊椎動物を含むクレードで、一生のうち少なくとも一時期に鰓裂・脊索およびその背側に背側神経管を持つという形質を共有する[250][254]。脊索は膨らませた細長い風船に喩えられる中軸器官で、脊索鞘という繊維質の頑強な膜に脊索細胞が包まれている[250]。頭索動物および尾索動物がもつ内柱は脊椎動物における甲状腺と相同で、甲状腺は内柱の変化したものと考えられている[254]。発生はさまざまであるが発生の一時期には肛門の後方に筋肉により運動する尾状部分があり、オタマジャクシ型幼生(tadpole larva)を経る[254]。
脊索動物は脊索と背側神経管という共通する二つの特徴をもつことから1つの門に置かれ、その中の3群は亜門に置かれてきたが、佐藤矩行・西川輝昭 (2014)により、分子系統学的解析および3群がそれぞれ特徴的な形質を持つことに基づいて脊索動物をより高次の上門に置き、3群を門に格上げする考えが提唱された[250][255][256]。
頭索動物:一生、全体長に渡って脊索を持つ。ナメクジウオの仲間
尾索動物:一生(オタマボヤ綱)ないし一時期に尾部に脊索を持つ。ホヤ綱[注釈 34]、オタマボヤ綱、タリア綱(ヒカリボヤ、ウミタル、サルパなど)からなる。
脊椎動物:脊索の周囲に脊椎が形成される。無顎類(ヌタウナギ類・ヤツメウナギ類)、軟骨魚類、硬骨魚類(条鰭類・肉鰭類(シーラカンス目・ハイギョ目・四肢動物))からなる。
尾索動物と頭索動物はかつてまとめて原索動物と呼ばれていた[221]。ホヤ類と頭索動物はともに囲鰓腔を持ち濾過摂食を行うが、後者は肛門が独立して体外に開くことと雌雄異体であることで異なる[250]。
脊椎動物から四肢動物を除いたグループは伝統的に魚類と呼ばれ、分岐分類学的には四肢動物は硬骨魚類に含まれるため、側系統群となる[254][257]。同様に四肢動物は両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類からなるが[254][257]、このうち爬虫類は羊膜類から鳥類と哺乳類を除いた側系統群である[254][258]。
分類の歴史
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アリストテレスの分類
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伝統的に諸民族で、生物は植物と動物に大別されてきた[2]。古代ギリシアのアリストテレスは『動物誌 Περὶ Τὰ Ζῷα Ἱστορίαι』などの著作において動物と植物の中間的存在を認めつつこの区分を採用し、感覚と運動の能力は動物にだけ見られるとし、霊魂の質的差異によって理論的に説明しようとした[2][259]。さらに動物を赤い血を持つ有血動物(ἐναίμος、現代の「脊椎動物」に相当)とそうでない無血動物(ἀναίμος、現代の「無脊椎動物」に相当)に二分し、発生様式と足の数を主要な基準として体系的に細分した[2][260]。アリストテレスはリンネ式階層分類とは異なり、全ての上位分類に「類 γένος」を用い[260]、有血動物を人類・胎生四足類・卵生四足類・鳥類・魚類に、無血動物を軟体類(μαλάκια、現在の頭足類)・軟殻類(軟甲類、μαλακόστρακα、現在の軟甲類 Malacostraca に相当)・有節類(ἔντομα、現在の節足動物から甲殻類を除いた概念)・殻皮類(ὀστρακόδερμα、現代の貝類に加え、ウニ類、ホヤ類を含む)に分けた[259][260]。
リンネの分類
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動物界には、上記のような動物門が置かれるが、これはカール・フォン・リンネの『自然の体系 第10版』(1758)において、属より高次の階級として置いた「綱」に由来するとされる[11]。リンネは『自然の体系 初版』(1735)で動物を四足綱 Quadrupedia、鳥綱 Aves、両生綱 Amphibia、魚綱 Pisces、昆虫綱 Insecta、蠕虫綱 Vermes に分けた[261]。第10版では、初版の魚綱に含まれていたクジラを四足綱に加え、哺乳綱 Mammalia としただけでなく、ヤツメウナギやサメなどが両生綱に含められた[261]。
『自然の体系 初版』(1735)[261]『自然の体系 第10版』(1758)[261]
ヒト形目 Anthropomorpha
猛獣目 Ferae
ヤマネ目 Glires
大獣目 Jumenta
畜獣目 Pecora
ワシタカ目 Accipetres
キツツキ目 Picae
大嘴目 Macrorhynchae
ガンカモ目 Anseres
シギ目 Scolopages
キジ目 Gallinae
スズメ目 Passers
平尾目 Plagiuri
軟骨鰭目 Chondropterygii
鰓条目 Branchiostegi
棘鰭目 Achanthopterygii
軟鰭目 Malacopterygii
魚綱 Pisces
無足目 Apodes
喉位目 Jugulares
胸位目 Thoracici
腹位目 Abdominales
鰓条目 Branchiostegi
昆虫綱 Insecta
リンネ以降
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このリンネが動物を分けた綱はジョルジュ・キュヴィエ (1812) により "embranchement" (以下門と訳す)とされ、階級としての綱はその下位の階級名として残された[11]。キュヴィエの分類体系では動物を大きく脊椎動物門・軟体動物門・体節動物門・放射動物門の4群に分けた[262]。この階級を「門 Phylum」としたのはエルンスト・ヘッケル (1866) で、脊椎動物門・体節動物門・軟体動物門・棘皮動物門・腔腸動物門の5門を認めた[11]。
かつて存在した動物門
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研究の進行、特に分子系統解析の台頭により解体または他の動物門の下位に吸収された動物門も多く存在する。詳細は各項を参照。
腔腸動物門 Coelenterata Hatschek, 1888
現在は刺胞動物門および有櫛動物門に分割されている。かつては胃水管系を腔腸 (coelenteron) と呼び、腔腸動物としてまとめられていた[178]。また放射相称動物 Radiata と呼ばれることもあった[37]。有櫛動物は、細胞器官である刺胞の代わりに1個の細胞が変形してできた膠胞を持つことや、上皮細胞の各細胞が2本以上の繊毛を備える多繊毛性であること、中胚葉性の真の筋肉細胞を持つこと、卵割は決定性卵割であること、複数の感覚器が放射相称的に配置される刺胞動物とは異なり1個のみを反口側に持つことなど、刺胞動物と大きく異なっており、しかも分子系統解析により腔腸動物が単系統とならないことがわかったので両者は別の門として分けられている[144][178]。
原生動物の一群として扱われることもあったが、極糸が入った極嚢という構造が刺胞に似ており、分子系統解析の結果、現在では刺胞動物に含められる[176][144][263]。後生動物特有の細胞間接着構造や動物のみに存在するHox 型ホメオティック遺伝子を持ち、寄生性の獲得により二次的に退化した体制となったと考えられている[263]。
中生動物門 Mesozoa van Beneden, 1876
現在は二胚動物門および直泳動物門に分割されている。Édouard van Beneden (1876) により原生動物と後生動物の中間に位置をする動物群として、ニハイチュウ(二胚動物)のみを含む群として設立され、のちに van Beneden (1882) にチョクエイチュウ(直泳動物)がこれに含められた[264]。その後様々な生物が含められたがその正体が渦鞭毛藻やミクソゾアであることがわかり、除かれた[264]。Kozloff (1990) は、あるステージのニハイチュウ類はチョクエイチュウ類のそれに表面的には似ているが、それ以外の点においては明確に異なっているとして、これらを独立の門に置いた[265]。
一胚葉動物門 Monoblastozoa R. Blackwelder, 1963
1982年にアルゼンチンの岩塩から発見された1層の体皮細胞からなる生物であるが、存在が疑問視されている[266]。
袋形動物門 Aschelminthes taxon inquirendum
偽体腔をもつ動物をまとめた「ごみ箱分類群 wastebasket taxon」で、現在は輪形動物・鉤頭動物・腹毛動物・線形動物・類線形動物・動吻動物・胴甲動物・鰓曳動物・内肛動物に分割されている[39]。鉤頭動物・線形動物・類線形動物は円形動物としてまとめられたこともあった。
前肛動物門 Prosopygii Lang, 1888
箒虫動物、苔虫動物、腕足動物、ほかにも星口動物およびフサカツギ類などはかつてまとめて前肛動物と呼ばれ1門に置かれていた[267][268]。箒虫動物・苔虫動物・腕足動物の3分類群は現在でも触手冠動物として門より高次の分類群をなすことがある[11]。
鉤頭動物門 Acanthocephala Kohlreuther, 1771
現在は輪形動物に内包され、かつての狭義の輪形動物は側系統となる[153]。狭義の輪形動物および鉤頭動物を門として残し、現在の広義の輪形動物を共皮類(多核皮動物[224]) Syndermata とすることもある[153]。
有鬚動物門 Pogonophora Johansson, 1937
現在は環形動物門に内包されている[269]。狭義の有鬚動物(ヒゲムシ)と下記のハオリムシは体後端の体節構造および成体での消化管の喪失などの共有派生形質をもち、まとめて有鬚動物とする考えが主流であった[269]。溝副触手綱 Canalipalpata ケヤリ目 Sabellida に含まれる[270]1科、シボグリヌム科 Siboglinidae となっている。
ハオリムシ動物門 Vestimentifera Webb, 1969
現在は環形動物門に内包されている[269]。もともと上記の有鬚動物に含められていたが、ジョーンズ (1985) は体腔の構造の違いを重視し、独立した門に置いた[269]。しかし、当時よりSouthward (1988) のように反対意見も多く、上記のような共有派生形質を持つことから以降も有鬚動物とされることが多かった[269]。現在は上記のシボグリヌム科に含められる。
星口動物門 Sipuncula Rafinesque, 1814
現在は環形動物門に内包されている[271]。分子系統解析によりフサゴカイ目と姉妹群をなすことが分かった[271]。
現在は環形動物門に内包されている[271]。分子系統解析によりイトゴカイ目に内包されることが分かった[271]。
舌形動物門 Pentastomida Diesing, 1836
現在は節足動物門に内包されている。魚類の外部寄生虫である鰓尾類と近縁であることがわかり[272]、21世紀以降はウオヤドリエビ綱の中の1亜綱、舌虫亜綱 Pentastomida Diesing, 1836 とされる[209]。
現在は節足動物門に内包されている。昆虫類および多足類を共通の性質を持つとして合わせ、鋏角類や甲殻類とともに独立した門とされることもあった[273]。しかし21世紀以降、昆虫は甲殻類と単系統群の汎甲殻類をなすことが明らかになっており[207]、もはや用いられない。
新しい動物門
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1960年以降に提唱され、現在も用いられている動物門を挙げる。詳細は各項を参照。
1883年にオーストラリアの水族館で発見されたが、採集方法が確立し詳細な形態観察できるまで存在が認められなかった[269]。1971年に平板動物門が設立された[152]。
顎口動物門 Gnathostomulida Ax, 1956
アックス (1956) によって発見され扁形動物の1目として記載されたが、リードゥル (1969) により独立の動物門に移された[153][269]。
胴甲動物門 Loricifera Kristensen, 1983
クリステンセン (1983) により記載された[269]。
有輪動物門 Cycliophora Funch & Kristensen, 1995
Funch & Kristensen (1995) により記載された[269][198]。
微顎動物門 Micrognathozoa Kristensen & Funch, 2000
2000年にグリーンランドの湧水から発見され、担顎動物門の一綱として記載された[274]。
珍無腸動物門 Xenacoelomorpha Philippe et al., 2011
無腸類と皮中神経類を含む無腸動物とチンウズムシの仲間を合わせたクレードである[145]。
人間との関わりによる区分
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人間が野生動物(原種 original breed)から遺伝的に改良し、繁殖させて人間の生活に利用する動物を家畜(かちく、domestic animal)という[275][276]。これには哺乳類以外の鳥類・爬虫類や昆虫も含まれるが[276]、特に鳥類を家禽(かきん、poultry[277], fowl[278])として区別することもある[275]。また、広義の家畜は農用動物、愛玩動物、実験動物に大別され、このうちの農用動物のみを指して家畜 (farm animal, livestock[276]) と呼ぶこともある[275]。
農用動物
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→「家畜」を参照
農用動物(家畜)は畜産に用いる用畜と役畜に分けられる[275]。
人間が畜産物を利用する動物を用畜(畜産動物)といい、乳(牛乳、ヤギ乳など)、肉(牛肉、豚肉、鶏肉など)、卵、毛(羊毛、絹など)、皮革、羽毛などが用いられてきた[275]。カイコやミツバチなどの昆虫(節足動物)も用畜として利用される[275]。イギリスの動物の福祉の考え方はもともと畜産動物を対象として出発した[279]。
使役動物
[編集]
→「使役動物」を参照
人間が使役に利用する動物を役畜(えきちく)[275]や使役動物 (working animal) という[279]。西欧の動物保護法は使役動物の保護から出発した[279]。
犂耕を行うウシ(牛)やウマ(馬)、ロバなどの輓獣や、牧羊犬・盲導犬などの使役犬がその代表例である[280][281]。特にウマはヨーロッパ中世では騎士の乗物であり、力強く高貴な存在とされた一方、農民の所有物であり、牛よりも速く力強く犂耕を行う動物として用いられてきた[282]。そのため強力なエネルギーのシンボルとして、馬力 (horse power) などの語にも用いられる[282]。
愛玩動物
[編集]
→「ペット」を参照
愛玩動物 (pet animal) とは、一般に家庭などで愛玩のために飼育されている動物で、特に愛玩飼育を目的として改良・繁殖が行われてきた動物をいう[283]。
実験動物
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実験動物 (laboratory animal) とは、実験を目的として飼育されている動物をいう[283]。ラットやサル、モルモット、ハムスターなどに加え、イヌやブタなども含まれる[284]。ノックアウト動物のように人為的に特定の遺伝子の働きを失わせたり、トランスジェニック動物のように他種の遺伝子を導入したりした実験動物(疾患モデル動物)が作られている[285]。
また、飼育系が確立されたり全ゲノム解読が行われたりすることで、他の生物にも共通する現象をより抽象化して論理的説明を行うために適した生物をモデル生物 (model organism) という[286]。モデル動物には、キイロショウジョウバエ Drosophila melanogaster(節足動物)やエレガンスセンチュウ Caenorhabditis elegans(線形動物)、カタユウレイボヤ Ciona intestinalis(尾索動物)やゼブラフィッシュ Danio rerio(脊椎動物)などが用いられている[286]。
展示動物
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展示動物とは、動物園で展示されている動物のように展示を目的として飼育されている動物をいう[283]。
後生動物以外の学術的な用法
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記事冒頭の通り、動物界(後生動物)を「動物」として扱うことが一般的であるが[2]、「動物」の語は学術的な場面でもほかの語義を持つことがある。
原生動物(protozoans)
捕食や移動など、動物的な特徴を持った単細胞や群体性真核生物(非単系統群)に対する慣用名[287]。二界説の時代に動物界における原生動物門(または原生動物亜界 )Protozoa とされ、鞭毛虫類、肉質虫類、胞子虫類、繊毛虫類に細分されていた[287]。
動物プランクトン(zooplankton)
プランクトン(浮遊生物)のうち、鞭毛などにより運動性と持つもので、原生動物、節足動物(橈脚類・鰓脚類)、輪形動物を主とする[288]。
動物性機能(animal function)
生体の持つ機能のうち、運動・感覚・神経相関の3つを指し、この働きに携わる器官を動物性器官(animal organ)と呼ぶ[289]。古くから人体生理学において、栄養・成長・生殖・呼吸・血液循環・排出などの植物性機能に対し、生体の対外的・能動的働きかけとしての行動系を実現することが多いため、「動物」の名を冠し呼ばれる[289]。植物でも動物性機能は多く見られるが、医学では現在でも用いられている[289]。
動物極(animal pole)
動物の卵細胞や初期胚において、極体の生じる極、または重力と平衡な環境において上方に位置する極を指す[290]。これらは一致しないこともある[290]。この極の付近から上記の動物性器官(神経系・感覚器官・運動器官)が生じると考えられたためこの名があるが、そうでない場合もある[290]。
脚注
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[脚注の使い方]
注釈
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^ 左上から順に、1段目:ヒトデの一種(棘皮動物門星形動物亜門ヒトデ綱)、クダカイメン Aplysina fistularis(海綿動物門)、セイヨウダンゴイカ Sepiola atlantica(軟体動物門頭足綱)、
2段目:ミズクラゲ Aurelia aurita(刺胞動物門鉢虫綱)、ガの一種 Hypercompe scribonia(節足動物門六脚亜門昆虫綱)、ゴカイの一種 Nereis succinea(環形動物門多毛綱)、
3段目:ヒレジャコ Tridacna squamosa(軟体動物門二枚貝綱)、シベリアトラ(脊索動物門脊椎動物亜門哺乳綱)、ホヤの一種Polycarpa aurata(脊索動物門尾索動物亜門ホヤ綱)、
4段目:クマムシの一種(緩歩動物門異クマムシ綱)、淡水産コケムシの一種(外肛動物門掩喉綱)、ウツボの一種 Enchelycore anatina(脊索動物門脊椎動物亜門条鰭綱)、
5段目:カニの一種 Liocarcinus vernalis(節足動物門甲殻亜門軟甲綱)、鉤頭動物の一種 Corynosoma wegeneri(輪形動物門古鉤頭虫綱)、アオカケス(脊索動物門脊椎動物亜門鳥綱)、
6段目:ハエトリグモの一種(節足動物門鋏角亜門蛛形綱)、ヒラムシの一種プセウドセロス・ディミディアートゥス Pseudoceros dimidiatus(扁形動物門渦虫綱)、ホウキムシ類のアクチノトロカ幼生(箒虫動物門)^ a b ただし、真核生物の2019年最新の分類であるAdl et al. (2019)では採用されていない。
^ 明治以前の日本では、中国本草学の影響により生物各群を草・虫・魚・獣などと並列的に扱うことが一般的であり、生物を動物と植物に大別することは西欧の学問の流入以降に普及した考えである[2]。
^ 原生動物は進化的に異なる雑多な生物をまとめたグループ(多系統群)であり、ミニステリアなどの一部の生物を除き後生動物とは系統的に遠縁である。
^ 藤田 (2010) では、分子系統解析によればこれらの動物門は最古の化石より10億年以上遡ると推測されている[127]とあるが、これは正しくない。
^ ガッコウチュウと呼ばれることもあるが[142]、顎口虫は線形動物の寄生虫 Gnathostoma にも用いられる[143]。
^ a b 刺胞動物と有櫛動物は外見が類似しているので腔腸動物門としてまとめられていたが、有櫛動物は刺胞がなく、上皮細胞が多繊毛性であり、決定性卵割であるといった刺胞動物との決定的違いがあり、しかも分子系統解析により腔腸動物が単系統とならないことがわかったので両者は別の門として分けられている[144]
^ かつて扁形動物門に分類されていた珍渦虫と無腸動物を新たな門として立てたもの[145]。その系統的位置に関しては、左右相称動物の最も初期に分岐したとする説[146][147] と後口動物の一員であるとする説[148][149] がある。
^ a b c 脊椎動物・頭索動物・尾索動物の3門を亜門とし、まとめて脊索動物門とすることも多い。詳しくは#脊索動物を参照
^ a b 直泳動物門と二胚動物門はかつて中生動物門とされており[151]、原生動物から後生動物に進化する過程であると過去には見られていたが、2010年現在では寄生生活により退化した後生動物(螺旋動物)であると見られている[152]
^ 鉤頭動物 Acanthocephala は輪形動物に内包され、狭義の輪形動物は側系統となる。狭義の輪形動物および鉤頭動物を門として残し、広義の輪形動物を共皮類 Syndermata とすることもある[153]。
^ 星口動物・ユムシ動物・有鬚動物は過去には門として立てられていた事もあるが、2018年現在は環形動物門の一部とみなされている[154]。
^ ギリベ (2016) における系統仮説では有輪動物の系統位置が不明であり前口動物内に曖昧さをもって置かれるが、ラーマーら (2019) でははっきりと内肛動物との単系統性を示すため、これを反映した。また、ギリベ (2016) における系統仮説では苔虫動物と内肛動物が姉妹群をなすが、ラーマーら (2019) では苔虫動物と箒虫動物が姉妹群となり、それに腕足動物を加えた単系統群(lophophorate clade[159]、触手冠動物[11])が強く支持され、内肛動物はそれと姉妹群をなす結果はあるもののそうでない結果もあることから、ラーマーら (2019) の系統樹を優先して変更した。
^ 前口動物内での位置は未確定[11][158] だが、吸啜動物に近縁[160] または環形動物に内包される[161] という結果がある。
^ a b c 螺旋動物は冠輪動物と呼ばれる事もある[11]。その場合本項の系統樹に登場する冠輪動物は担輪動物と呼び変えられる[11]
^ 2000年代の一部の分子系統解析(Giribet et al. (2001) など)では、ウミグモ類は真鋏角類と大顎類(ともに幹性類 Cormogonida をなす)より早期に分岐したとされる[207]。
^ Sharma & Ballesteros (2019) などの分子系統解析により、クモガタ類はカブトガニ類に対して多系統の可能性が示唆される[207]。
^ a b c この系統位置は2010年代中期以降の主流な解析結果(Oakley et al. (2013)、Schwentner et al. (2017, 2018)、Lozano-Fernandez et al. (2019) など)に基づくものである。それ以前の Regier et al. (2005, 2010) では鰓脚類は多甲殻類とともに真甲殻類 Vericrustacea、カシラエビ類はムカデエビ類とともに奇エビ類 Xenocarida をなしている[207][209]。
^ ただし、螺旋動物のうち、触手冠動物の腕足動物などでは放射卵割を行い[75]、脱皮動物でも線形動物のように螺旋卵割を行うものも存在する[221]。かつては前口動物の持つ形質だとみなされていたが、おそらく螺旋動物の持つ共有派生形質である[75]。
^ 例外も多く、例えば尾索動物では後口動物ながら真体腔は裂体腔的に生じる。
^ ドリオラリア幼生(ウミユリ、ナマコ)、オーリクラリア幼生(ナマコ)、ビピンナリア幼生(ヒトデ)、オフィオプルテウス幼生(クモヒトデ)、プルテウス幼生(エキノプルテウス、ウニ)などがあり、ドリオラリア型やオーリクラリア型のものが原始的であると考えられている
種名
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ドブネズミ
都会のネズミ
狐の嫁入り
ネズミの嫁入り
ハチドリ
虎
烏 カラス
アイアイ
鳶
京馬
狐 エノキックコス エキコック
ナカムラ
コバヤシ
他にも三葉虫類やメガケイラ類など、絶滅種のみ含む節足動物の分類群はいくつか知られるが、現生群との類縁関係ははっきりしない[207]。六脚類は広義の昆虫類で内顎類(トビムシ類・カマアシムシ類・コムシ類、非単系統群)と外顎類(狭義の昆虫類)に分かれる[210]。六脚類は21世紀以前では頭部と呼吸器に共通点の多い多足類に近縁と考えられてきたが、21世紀以降では分子系統解析により、甲殻類と単系統群の汎甲殻類をなし、側系統群の甲殻類から分岐した説が主流となっている[207]。汎甲殻類における六脚類の系統位置は議論の的となり[207]、2000年代の分子系統解析では鰓脚類に近縁ともされていたが、2010年代中期以降では更なる全面的な解析により、脳の構造に共通性を持つ[210]ムカデエビ類の方が六脚類に最も近縁な甲殻類として有力視されている[207][211]。
汎節足動物は節足動物門以外には緩歩動物門と有爪動物門を含む。絶滅した群まで範囲を広げると葉足動物と呼ばれる古生物をも含む。緩歩動物門に属する動物はクマムシと呼ばれる動物であり[212]、ゆっくり歩く事からその名が名付けられた。陸上に生息する種では、クリプトビオシスという極限状態に耐えられる休眠状態になる事が知られている[212]。有爪動物門に属する動物はカギムシと呼ばれ、現生種は真有爪目のみ[212]。
カンブリア紀に多様化した葉足動物は、一見して現生の有爪動物に似て、かつては全般的に有爪動物のみに近縁と考えられた[141][213]。しかし1990年代後期以降では、節足動物と緩歩動物的性質をもつ葉足動物の発見[214][215][216][217][218]に否定的とされる。葉足動物は有爪動物のみでなく、むしろ全体的に現生汎節足動物の3つの動物門(節足動物・緩歩動物・有爪動物)の最も近い共通祖先と、それぞれの初期に分岐した系統(ステムグループ)を含んだ側系統群と考えられるようになり、葉足動物と有爪動物の多くの共通点は、汎節足動物の共有原始形質に過ぎない[219][140][141][220]。
螺旋動物
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→「冠輪動物」も参照
螺旋動物の系統関係ラーマーら (2019) に基づく分子系統樹の例[75][159]Marlétaz et al. (2019) に基づく分子系統樹の例[75]
螺旋動物
担顎動物 Gnathifera
触手冠動物 Lophophorata
吸啜動物 Rouphozoa
螺旋動物
担顎動物 Gnathifera
触手冠動物 Lophophorata
このクレードに属するほとんどが、胚発生において4細胞期から8細胞期に有糸分裂紡錘体が動物極-植物極軸と45°ずれる螺旋卵割を行うという共有派生形質をもつため[注釈 29]、螺旋動物[11](らせんどうぶつ)もしくは螺旋卵割動物[153](らせんらんかつどうぶつ) Spiralia と呼ばれる[75][222][223]。これを指して冠輪動物 Lophotrochozoa s.l. と呼ぶ場合もあるが[75]、本項を含め、「冠輪動物」の名称を螺旋動物のサブクレードに用いるケースもあるので注意が必要である[注釈 25]。
螺旋動物は担顎動物(たんがくどうぶつ、Gnathifera)、吸啜動物(きゅうてつどうぶつ、Rouphozoa)、冠輪動物(かんりんどうぶつ、Lophotrochozoa)という3つの系統を含む[153]。冠輪動物は上記の螺旋動物を指すこともあるため、担輪動物(たんりんどうぶつ、Trochozoa)とも呼ぶ[11]。前者2つを合わせたものを扁平動物 Platyzoa と呼ぶこともあるが[151][168]、ギリベ (2016) などでは採用されていない。逆に他の解析では担顎動物を除く吸啜動物と冠輪動物がクレードをなすことがあり、その場合、それらを合わせて Platytrochozoa と呼ばれる[222]。
担顎動物(有顎動物[142])は微小な体で、クチクラの中にオスミウム酸親和性のある物質が詰まった棒状構造からなる顎を持つという形質を共有する[224][142]。顎口動物は咽頭に複雑な顎を持つ動物で、体表面の単繊毛上皮によって移動する[225]。微顎動物は複雑な顎を備え、体の腹面に繊毛を持つ[142][153]。輪形動物は単生殖巣類、ヒルガタワムシ類、ウミヒルガタワムシ類からなり、ウミヒルガタワムシ類と鉤頭動物が姉妹群をなす[153]。鉤頭動物は独立した門とされていたが、そのような系統関係から輪形動物に内包されるか、輪形動物とともに共皮類(多核皮動物[224]) Syndermata としてまとめられる[153]。微顎動物および鉤頭動物は体内受精ののちに螺旋卵割を行う[225][224]。
吸啜動物に含まれる扁形動物と腹毛動物はともにメイオファウナの重要な構成種で、2つの腺により吸着する (duo-gland adhesive system) 形質がその共有派生形質ではないかと考えられている[226]。
冠輪動物(担輪動物)のうち環形動物と軟体動物はトロコフォア型の幼生を持つという共有派生形質を持つ[227]。紐形動物は翻出する吻を持ち、かつては無体腔と考えられたが、現在では吻が収納される吻腔が裂体腔であると考えられている[227]。冠輪動物のうち、箒虫動物・苔虫動物(外肛動物)・腕足動物は何れも触手冠と呼ばれる構造を持つため触手冠動物 Lophophorata と呼ばれ、分子系統解析でも支持されることがある[11][159][228]。冠輪動物はもともと担輪動物と触手冠動物の2つの系統を合わせて呼ばれるようになった語である[179]。分子系統解析の結果、苔虫動物は内肛動物と姉妹群をなす(広義の苔虫動物)とされ否定されたこともあったが[11][228]、ラーマーら (2019) などでは単系統性が示されている[159]。また、有輪動物は内肛動物と姉妹群をなすことが示唆されている[159][194]。
軟体動物
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→「軟体動物」も参照
冠輪動物に属する軟体動物門は節足動物門に次いで既知種の大きい門で、骨格を持たず、体節がない軟体からなる[229]。体腔は真体腔であるが退化的で、体内の腔所は組織の間隙を血液が流れるだけの血体腔である[229]。一般的には体は頭部、内臓塊、足からなり、外套膜が内臓塊を覆っている[229]。外套膜が分泌した石灰質の貝殻を持つ事が多い[229]。卵割は普通全割の螺旋卵割であるが、頭足類では胚盤をもつ盤割となる[229]。
軟体動物の分類は系統解析により一部修正が施され2018年現在は体全体を覆う大きな殻がある有殻類と石灰質の棘を持つ有棘類に大きく分かれるという仮説が有力視されている[230]。
軟体動物の綱は以下のように分類される[230]:
軟体動物
Conchifera有棘類
Aculifera
有殻類は綱レベルの単系統性は多くの場合保証されているが、各綱の系統関係は2018年現在一致を見ていない[230]。
環形動物
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→「環形動物」も参照
環形動物は環帯類(貧毛綱(=ミミズ)とヒル綱)、多毛類(=ゴカイ)、スイクチムシ類を含む門である。かつては独立した門だと思われていた有鬚動物(ゆうしゅどうぶつ、現シボグリヌム科)、ユムシ動物、星口動物を含むことが分子系統解析から分かり、多毛類がそれらの分類群をすべて内包し、多系統である事もわかった[11][231]。
Rouse and Fauchald (1997)による形態に基づく従来の系統関係は次の通りである[231][注釈 30]:
狭義の環形動物
頭節綱 Scolecida:ヒトエラゴカイ目 Cossurida・ホコサキゴカイ目 Orbiniida・オフェリアゴカイ目 Opheliida・イトゴカイ目 Capitellida
足刺綱 Aciculata:イソメ目 Eunicida・サシバゴカイ目 Phyllodcida
溝副触手綱 Canalipalpata:ケヤリ目 Sabellida(シボグリヌム科 Siboglinidaeを含む)・フサゴカイ目 Terebellida・スピオ目 Spionida
分子系統解析に基づく系統樹は次の通りである[231][注釈 31]:
環形動物
Palaeoannelida:チマキゴカイ科 Oweniidae・モロテゴカイ科 Magelonidae
プロトドリロイデス科 Protodriloidae・プロトドリルス科 Protodrilidae・ムカシゴカイ科 Saccocirridae・イイジマムカシゴカイ科 Polygordiidae
環帯類 Clitellata・フサゴカイ亜目 Terebelliformia・タマシキゴカイ科 Arenicolidae・タケフシゴカイ科 Maldanidae
ユムシ動物 Echiura・イトゴカイ科 Capitellidae・オフェリアゴカイ科 Opheliidae
スピオ科 Spionidae・カンムリゴカイ科 Sabellariidae・カンザシゴカイ科 Serpulidae・Fabriciidae・ケヤリ科 Sabellidae
シボグリヌム科 Siboglinidae(有鬚動物)・ミズヒキゴカイ亜目 Cirratuliformia
ホコサキゴカイ科 Orbiniidae・パレルゴドリルス科 Parergodrilidae・ディウロドリルス科 Diurodrilidae・ウジムカシゴカイ科 Dinophilidae・ホラアナゴカイ科 Nerillidae
二胚動物・直泳動物
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吸啜動物
腹毛動物
扁形動物
「中生動物」
二胚動物
直泳動物
"Mesozoa"
二胚動物と直泳動物を吸啜動物の姉妹群とする分子系統樹の例[160]
分子系統解析から、かつて中生動物とされていた二胚動物および直泳動物はともに螺旋動物に属することが支持されている。ただし、その中でも、二胚動物と直泳動物は姉妹群「中生動物」となり、さらにそれが吸啜動物と姉妹群をなすという結果もあれば[160]、直泳動物は環形動物に内包され、環形動物の極端に退化した形と考えられることもあり[161]、まだ決着はついていない。
後口動物
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→「後口動物」も参照
後口動物(新口動物)は棘皮動物門、半索動物門、脊索動物を含み、新口動物とも呼ばれる[151][233]。ヘッケルは新口動物の共通祖先から脊索動物が進化した過程を論じた際、棘皮動物の幼生[注釈 33] と半索動物のトルナリア幼生が共有する形質を合わせて、それらの祖先型として、ディプリュールラ幼生 (Dipleurula) という仮想的な幼生を考えた[234]。ディプリュールラ幼生はトロコフォア幼生と同様に口から肛門に至る消化管、頂器官に感覚器としての長い繊毛、口を中心とした繊毛帯(または繊毛環)、体後端部の端部繊毛帯を持つが、ディプリュールラ幼生では3部性の体腔(原体腔・中脳腔・後脳腔)を持つことおよび繊毛帯の走り方が異なる[234][235][236]。
2018年現在、棘皮動物と半索動物が姉妹群をなすという説が大勢を締めており[11][237]、これら2つをあわせて水腔動物 Coelomopora という[11]。
後口動物は胚発生において陥入によってできた原口が口になる前口動物に対し、原口が口にならず新たに口が開く動物であり、かつては現在後口動物とされる棘皮動物、半索動物、脊索動物だけでなく、触手冠動物としてまとめられる箒虫動物、苔虫動物(外肛動物)、腕足動物、そして毛顎動物を含んでいた[233][238]。これはブルスカとブルスカ (1990)、メルグリッチとシュラム (1991)などによる形態形質に基づく系統解析でも、原口に由来しない口を持つだけでなく、原腸由来の中胚葉を持つことや腸体腔を持つことなどの形質からも支持されていた[238]。ほかにも、放射卵割を行うなど[75]、後口動物としての性質を多く持っている。しかし分子系統解析の進展により、触手冠動物および毛顎動物は前口動物に属すると考えられるようになった[75][221][196]。この変更以降も「後口動物」という系統群名を用いるが[239][240][241][242][242][243][244][245] 、毛顎動物や腕足動物のような原口が口にならない動物も前口動物に含まれ[75]、単純に原口の有無が系統を反映しているわけではない。
水腔動物
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水腔動物 Coelomopora(歩帯動物 Ambulacraria)は幼生の形態、三体腔性、軸器官などの形質を共有する[237][11]。
棘皮動物は、成体が五放射相称、三胚葉性で、内胚葉由来の中胚葉(内中胚葉)を持つ[246]。腸体腔性の体腔で、体腔に由来する水管系と呼ばれる独自の構造をもつ[246][247]。神経系は中枢神経を持たず、神経環と放射神経からなるが、ウミユリ綱では神経節を持つ[246]。ウミユリ綱、ヒトデ綱、クモヒトデ綱、ナマコ綱、ウニ綱からなり、分子系統解析によりこれらのうちウミユリ綱が最も祖先的だと考えられている[246][247]。ウニ綱のうちタコノマクラ類やブンブク類では五放射相称が歪み左右相称性を示す[247]。
現生の半索動物はギボシムシ綱(腸鰓綱)とフサカツギ綱(翼鰓綱)からなり、化石ではフデイシ綱が置かれる[248][249][250]。どちらも体は前体・中体・後体の3つの部分に分かれるという共通した形質を持ち、前者では吻・襟・体幹と呼ばれ、後者では頭盤・頸・体幹と呼ばれる[251]。ギボシムシ綱では腸体腔と裂体腔をもつとされるが、体腔形成には不明な点も多い[252]。ギボシムシ綱は側系統で、ギボシムシ綱のハリマニア科がフサカツギ綱と姉妹群をなし、フサカツギ綱はギボシムシ綱から小型化によって体が二次的に単純化したと考えられる[251]。半索動物は脊索動物と同様に鰓裂を持つ[250][253]。かつては口盲管という器官が脊索の一種と考えられたこともあったが[252]、口盲管と脊索との関係を支持する発生遺伝学的研究結果はなく[253]、現在では脊索を持たないとされる[250]。
脊索動物
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→「脊索動物」も参照
脊索動物 Chordata は頭索動物・尾索動物(被嚢動物)・脊椎動物を含むクレードで、一生のうち少なくとも一時期に鰓裂・脊索およびその背側に背側神経管を持つという形質を共有する[250][254]。脊索は膨らませた細長い風船に喩えられる中軸器官で、脊索鞘という繊維質の頑強な膜に脊索細胞が包まれている[250]。頭索動物および尾索動物がもつ内柱は脊椎動物における甲状腺と相同で、甲状腺は内柱の変化したものと考えられている[254]。発生はさまざまであるが発生の一時期には肛門の後方に筋肉により運動する尾状部分があり、オタマジャクシ型幼生(tadpole larva)を経る[254]。
脊索動物は脊索と背側神経管という共通する二つの特徴をもつことから1つの門に置かれ、その中の3群は亜門に置かれてきたが、佐藤矩行・西川輝昭 (2014)により、分子系統学的解析および3群がそれぞれ特徴的な形質を持つことに基づいて脊索動物をより高次の上門に置き、3群を門に格上げする考えが提唱された[250][255][256]。
頭索動物:一生、全体長に渡って脊索を持つ。ナメクジウオの仲間
尾索動物:一生(オタマボヤ綱)ないし一時期に尾部に脊索を持つ。ホヤ綱[注釈 34]、オタマボヤ綱、タリア綱(ヒカリボヤ、ウミタル、サルパなど)からなる。
脊椎動物:脊索の周囲に脊椎が形成される。無顎類(ヌタウナギ類・ヤツメウナギ類)、軟骨魚類、硬骨魚類(条鰭類・肉鰭類(シーラカンス目・ハイギョ目・四肢動物))からなる。
尾索動物と頭索動物はかつてまとめて原索動物と呼ばれていた[221]。ホヤ類と頭索動物はともに囲鰓腔を持ち濾過摂食を行うが、後者は肛門が独立して体外に開くことと雌雄異体であることで異なる[250]。
脊椎動物から四肢動物を除いたグループは伝統的に魚類と呼ばれ、分岐分類学的には四肢動物は硬骨魚類に含まれるため、側系統群となる[254][257]。同様に四肢動物は両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類からなるが[254][257]、このうち爬虫類は羊膜類から鳥類と哺乳類を除いた側系統群である[254][258]。
分類の歴史
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アリストテレスの分類
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伝統的に諸民族で、生物は植物と動物に大別されてきた[2]。古代ギリシアのアリストテレスは『動物誌 Περὶ Τὰ Ζῷα Ἱστορίαι』などの著作において動物と植物の中間的存在を認めつつこの区分を採用し、感覚と運動の能力は動物にだけ見られるとし、霊魂の質的差異によって理論的に説明しようとした[2][259]。さらに動物を赤い血を持つ有血動物(ἐναίμος、現代の「脊椎動物」に相当)とそうでない無血動物(ἀναίμος、現代の「無脊椎動物」に相当)に二分し、発生様式と足の数を主要な基準として体系的に細分した[2][260]。アリストテレスはリンネ式階層分類とは異なり、全ての上位分類に「類 γένος」を用い[260]、有血動物を人類・胎生四足類・卵生四足類・鳥類・魚類に、無血動物を軟体類(μαλάκια、現在の頭足類)・軟殻類(軟甲類、μαλακόστρακα、現在の軟甲類 Malacostraca に相当)・有節類(ἔντομα、現在の節足動物から甲殻類を除いた概念)・殻皮類(ὀστρακόδερμα、現代の貝類に加え、ウニ類、ホヤ類を含む)に分けた[259][260]。
リンネの分類
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動物界には、上記のような動物門が置かれるが、これはカール・フォン・リンネの『自然の体系 第10版』(1758)において、属より高次の階級として置いた「綱」に由来するとされる[11]。リンネは『自然の体系 初版』(1735)で動物を四足綱 Quadrupedia、鳥綱 Aves、両生綱 Amphibia、魚綱 Pisces、昆虫綱 Insecta、蠕虫綱 Vermes に分けた[261]。第10版では、初版の魚綱に含まれていたクジラを四足綱に加え、哺乳綱 Mammalia としただけでなく、ヤツメウナギやサメなどが両生綱に含められた[261]。
『自然の体系 初版』(1735)[261]『自然の体系 第10版』(1758)[261]
ヒト形目 Anthropomorpha
猛獣目 Ferae
ヤマネ目 Glires
大獣目 Jumenta
畜獣目 Pecora
ワシタカ目 Accipetres
キツツキ目 Picae
大嘴目 Macrorhynchae
ガンカモ目 Anseres
シギ目 Scolopages
キジ目 Gallinae
スズメ目 Passers
平尾目 Plagiuri
軟骨鰭目 Chondropterygii
鰓条目 Branchiostegi
棘鰭目 Achanthopterygii
軟鰭目 Malacopterygii
魚綱 Pisces
無足目 Apodes
喉位目 Jugulares
胸位目 Thoracici
腹位目 Abdominales
鰓条目 Branchiostegi
昆虫綱 Insecta
リンネ以降
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このリンネが動物を分けた綱はジョルジュ・キュヴィエ (1812) により "embranchement" (以下門と訳す)とされ、階級としての綱はその下位の階級名として残された[11]。キュヴィエの分類体系では動物を大きく脊椎動物門・軟体動物門・体節動物門・放射動物門の4群に分けた[262]。この階級を「門 Phylum」としたのはエルンスト・ヘッケル (1866) で、脊椎動物門・体節動物門・軟体動物門・棘皮動物門・腔腸動物門の5門を認めた[11]。
かつて存在した動物門
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研究の進行、特に分子系統解析の台頭により解体または他の動物門の下位に吸収された動物門も多く存在する。詳細は各項を参照。
腔腸動物門 Coelenterata Hatschek, 1888
現在は刺胞動物門および有櫛動物門に分割されている。かつては胃水管系を腔腸 (coelenteron) と呼び、腔腸動物としてまとめられていた[178]。また放射相称動物 Radiata と呼ばれることもあった[37]。有櫛動物は、細胞器官である刺胞の代わりに1個の細胞が変形してできた膠胞を持つことや、上皮細胞の各細胞が2本以上の繊毛を備える多繊毛性であること、中胚葉性の真の筋肉細胞を持つこと、卵割は決定性卵割であること、複数の感覚器が放射相称的に配置される刺胞動物とは異なり1個のみを反口側に持つことなど、刺胞動物と大きく異なっており、しかも分子系統解析により腔腸動物が単系統とならないことがわかったので両者は別の門として分けられている[144][178]。
原生動物の一群として扱われることもあったが、極糸が入った極嚢という構造が刺胞に似ており、分子系統解析の結果、現在では刺胞動物に含められる[176][144][263]。後生動物特有の細胞間接着構造や動物のみに存在するHox 型ホメオティック遺伝子を持ち、寄生性の獲得により二次的に退化した体制となったと考えられている[263]。
中生動物門 Mesozoa van Beneden, 1876
現在は二胚動物門および直泳動物門に分割されている。Édouard van Beneden (1876) により原生動物と後生動物の中間に位置をする動物群として、ニハイチュウ(二胚動物)のみを含む群として設立され、のちに van Beneden (1882) にチョクエイチュウ(直泳動物)がこれに含められた[264]。その後様々な生物が含められたがその正体が渦鞭毛藻やミクソゾアであることがわかり、除かれた[264]。Kozloff (1990) は、あるステージのニハイチュウ類はチョクエイチュウ類のそれに表面的には似ているが、それ以外の点においては明確に異なっているとして、これらを独立の門に置いた[265]。
一胚葉動物門 Monoblastozoa R. Blackwelder, 1963
1982年にアルゼンチンの岩塩から発見された1層の体皮細胞からなる生物であるが、存在が疑問視されている[266]。
袋形動物門 Aschelminthes taxon inquirendum
偽体腔をもつ動物をまとめた「ごみ箱分類群 wastebasket taxon」で、現在は輪形動物・鉤頭動物・腹毛動物・線形動物・類線形動物・動吻動物・胴甲動物・鰓曳動物・内肛動物に分割されている[39]。鉤頭動物・線形動物・類線形動物は円形動物としてまとめられたこともあった。
前肛動物門 Prosopygii Lang, 1888
箒虫動物、苔虫動物、腕足動物、ほかにも星口動物およびフサカツギ類などはかつてまとめて前肛動物と呼ばれ1門に置かれていた[267][268]。箒虫動物・苔虫動物・腕足動物の3分類群は現在でも触手冠動物として門より高次の分類群をなすことがある[11]。
鉤頭動物門 Acanthocephala Kohlreuther, 1771
現在は輪形動物に内包され、かつての狭義の輪形動物は側系統となる[153]。狭義の輪形動物および鉤頭動物を門として残し、現在の広義の輪形動物を共皮類(多核皮動物[224]) Syndermata とすることもある[153]。
有鬚動物門 Pogonophora Johansson, 1937
現在は環形動物門に内包されている[269]。狭義の有鬚動物(ヒゲムシ)と下記のハオリムシは体後端の体節構造および成体での消化管の喪失などの共有派生形質をもち、まとめて有鬚動物とする考えが主流であった[269]。溝副触手綱 Canalipalpata ケヤリ目 Sabellida に含まれる[270]1科、シボグリヌム科 Siboglinidae となっている。
ハオリムシ動物門 Vestimentifera Webb, 1969
現在は環形動物門に内包されている[269]。もともと上記の有鬚動物に含められていたが、ジョーンズ (1985) は体腔の構造の違いを重視し、独立した門に置いた[269]。しかし、当時よりSouthward (1988) のように反対意見も多く、上記のような共有派生形質を持つことから以降も有鬚動物とされることが多かった[269]。現在は上記のシボグリヌム科に含められる。
星口動物門 Sipuncula Rafinesque, 1814
現在は環形動物門に内包されている[271]。分子系統解析によりフサゴカイ目と姉妹群をなすことが分かった[271]。
現在は環形動物門に内包されている[271]。分子系統解析によりイトゴカイ目に内包されることが分かった[271]。
舌形動物門 Pentastomida Diesing, 1836
現在は節足動物門に内包されている。魚類の外部寄生虫である鰓尾類と近縁であることがわかり[272]、21世紀以降はウオヤドリエビ綱の中の1亜綱、舌虫亜綱 Pentastomida Diesing, 1836 とされる[209]。
現在は節足動物門に内包されている。昆虫類および多足類を共通の性質を持つとして合わせ、鋏角類や甲殻類とともに独立した門とされることもあった[273]。しかし21世紀以降、昆虫は甲殻類と単系統群の汎甲殻類をなすことが明らかになっており[207]、もはや用いられない。
新しい動物門
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1960年以降に提唱され、現在も用いられている動物門を挙げる。詳細は各項を参照。
1883年にオーストラリアの水族館で発見されたが、採集方法が確立し詳細な形態観察できるまで存在が認められなかった[269]。1971年に平板動物門が設立された[152]。
顎口動物門 Gnathostomulida Ax, 1956
アックス (1956) によって発見され扁形動物の1目として記載されたが、リードゥル (1969) により独立の動物門に移された[153][269]。
胴甲動物門 Loricifera Kristensen, 1983
クリステンセン (1983) により記載された[269]。
有輪動物門 Cycliophora Funch & Kristensen, 1995
Funch & Kristensen (1995) により記載された[269][198]。
微顎動物門 Micrognathozoa Kristensen & Funch, 2000
2000年にグリーンランドの湧水から発見され、担顎動物門の一綱として記載された[274]。
珍無腸動物門 Xenacoelomorpha Philippe et al., 2011
無腸類と皮中神経類を含む無腸動物とチンウズムシの仲間を合わせたクレードである[145]。
人間との関わりによる区分
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人間が野生動物(原種 original breed)から遺伝的に改良し、繁殖させて人間の生活に利用する動物を家畜(かちく、domestic animal)という[275][276]。これには哺乳類以外の鳥類・爬虫類や昆虫も含まれるが[276]、特に鳥類を家禽(かきん、poultry[277], fowl[278])として区別することもある[275]。また、広義の家畜は農用動物、愛玩動物、実験動物に大別され、このうちの農用動物のみを指して家畜 (farm animal, livestock[276]) と呼ぶこともある[275]。
農用動物
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→「家畜」を参照
農用動物(家畜)は畜産に用いる用畜と役畜に分けられる[275]。
人間が畜産物を利用する動物を用畜(畜産動物)といい、乳(牛乳、ヤギ乳など)、肉(牛肉、豚肉、鶏肉など)、卵、毛(羊毛、絹など)、皮革、羽毛などが用いられてきた[275]。カイコやミツバチなどの昆虫(節足動物)も用畜として利用される[275]。イギリスの動物の福祉の考え方はもともと畜産動物を対象として出発した[279]。
使役動物
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→「使役動物」を参照
人間が使役に利用する動物を役畜(えきちく)[275]や使役動物 (working animal) という[279]。西欧の動物保護法は使役動物の保護から出発した[279]。
犂耕を行うウシ(牛)やウマ(馬)、ロバなどの輓獣や、牧羊犬・盲導犬などの使役犬がその代表例である[280][281]。特にウマはヨーロッパ中世では騎士の乗物であり、力強く高貴な存在とされた一方、農民の所有物であり、牛よりも速く力強く犂耕を行う動物として用いられてきた[282]。そのため強力なエネルギーのシンボルとして、馬力 (horse power) などの語にも用いられる[282]。
愛玩動物
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→「ペット」を参照
愛玩動物 (pet animal) とは、一般に家庭などで愛玩のために飼育されている動物で、特に愛玩飼育を目的として改良・繁殖が行われてきた動物をいう[283]。
実験動物
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実験動物 (laboratory animal) とは、実験を目的として飼育されている動物をいう[283]。ラットやサル、モルモット、ハムスターなどに加え、イヌやブタなども含まれる[284]。ノックアウト動物のように人為的に特定の遺伝子の働きを失わせたり、トランスジェニック動物のように他種の遺伝子を導入したりした実験動物(疾患モデル動物)が作られている[285]。
また、飼育系が確立されたり全ゲノム解読が行われたりすることで、他の生物にも共通する現象をより抽象化して論理的説明を行うために適した生物をモデル生物 (model organism) という[286]。モデル動物には、キイロショウジョウバエ Drosophila melanogaster(節足動物)やエレガンスセンチュウ Caenorhabditis elegans(線形動物)、カタユウレイボヤ Ciona intestinalis(尾索動物)やゼブラフィッシュ Danio rerio(脊椎動物)などが用いられている[286]。
展示動物
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展示動物とは、動物園で展示されている動物のように展示を目的として飼育されている動物をいう[283]。
後生動物以外の学術的な用法
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記事冒頭の通り、動物界(後生動物)を「動物」として扱うことが一般的であるが[2]、「動物」の語は学術的な場面でもほかの語義を持つことがある。
原生動物(protozoans)
捕食や移動など、動物的な特徴を持った単細胞や群体性真核生物(非単系統群)に対する慣用名[287]。二界説の時代に動物界における原生動物門(または原生動物亜界 )Protozoa とされ、鞭毛虫類、肉質虫類、胞子虫類、繊毛虫類に細分されていた[287]。
動物プランクトン(zooplankton)
プランクトン(浮遊生物)のうち、鞭毛などにより運動性と持つもので、原生動物、節足動物(橈脚類・鰓脚類)、輪形動物を主とする[288]。
動物性機能(animal function)
生体の持つ機能のうち、運動・感覚・神経相関の3つを指し、この働きに携わる器官を動物性器官(animal organ)と呼ぶ[289]。古くから人体生理学において、栄養・成長・生殖・呼吸・血液循環・排出などの植物性機能に対し、生体の対外的・能動的働きかけとしての行動系を実現することが多いため、「動物」の名を冠し呼ばれる[289]。植物でも動物性機能は多く見られるが、医学では現在でも用いられている[289]。
動物極(animal pole)
動物の卵細胞や初期胚において、極体の生じる極、または重力と平衡な環境において上方に位置する極を指す[290]。これらは一致しないこともある[290]。この極の付近から上記の動物性器官(神経系・感覚器官・運動器官)が生じると考えられたためこの名があるが、そうでない場合もある[290]。
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