キャリブレーション、ON!~心筋梗塞~
恥ずかしながら、心筋梗塞を起こしたことがある。
不摂生を露呈するだけなのであまり話したくはないのだが、数年を経てまた太ってきている自分への戒めのために書こう。
ドラマなどの心臓発作で描かれるような 胸がキュッとなって倒れるといった現象はなく、週末土曜日の1日中、鈍痛が左胸とあごと肩を行き来する(「放散痛」というらしい)状態が続き、大好きなカレーも食べきれずに残す(私としては一大事)も、痛みがずっと続いているわけでもなく普通に外を歩くこともできたので、まあ月曜日にでもかかりつけの内科へ行くか、と思いながら就寝。
日曜朝、起き上がる時ではなく仰向けで目覚めた瞬間から左胸の痛み。
プラス、嘔吐。何も食べる気がしない。
前日から検索しまくっていた症例でいうと限りなく心筋梗塞に近いなとは自分でも思っていた。
それでも救急車を呼ぶのはやはりハードルが高い。
歩けてるし、喋れてるし、コロナ禍真っ最中だったし。
だけど、今朝の起き抜けの胸の痛みを思うと
「あす月曜の朝、目覚められる気がしない」
これが行動に移す最大の決定打となった。
それでも直には呼べず、まずは「 #7119 」に電話。
こちらは「救急車を呼ぶべきか迷った時に相談できる」
東京消防庁救急相談センター。
そうはいってもここに電話するのもガクブルしたが。
経過と症状を告げると
「救急車を呼びましょう、このまま繋ぎますね」
と言われる。これが気持ち的にはすごく助かった。
「119番していいですよ」と言われたとしても、また自分からかけるにはきっと躊躇したであろうから。
無事(というのも変だが)救急車要請してもらえて荷物準備して待つ間に
ずっと頭をよぎっていたのは、
「猫が先に亡くなっていてよかった」(この前年に見送った)。
一人と一匹だったから、もしまだ一緒に暮らしていたら預け先とかもろもろパニックになっていたことだろう。
幸か不幸か、救急車が到着した頃には痛みはとても落ち着いていた。救急隊員に状態を話し、担架は不要と告げて自分の足で歩いて救急車に乗り込んだ。「大変な時期に申し訳ない」を連呼するのも忘れなかった。
搬送先を見つけるまでの間、救急車の中で心電図?のようなもので検査するも異常は見られず、痛みもぱったりやみ、肩身の狭い事この上ない。
それでも無事近くの大学病院の循環器内科が受け入れてくれることに。
さすがに大学病院到着後は自分の足では下りず、担架→シャーっと動くベッドで救急窓口患者がたくさんいる中を運ばれ、検査へ。
ところがここでもなかなか異常が見つからず、放散痛と思われる肩の痛みがなぜかクローズアップされ、あろうことか「月曜日に整形外科に行ってみて」とそのまま帰される雰囲気になりかけてどんより落ち込んでいたところへ、念のため行っていた血液検査の結果で「どこかの血管が詰まっている」ことを示す値が出た!となり、晴れて手術を受けることとなった。
ここで医師が九州の実家へ手術許諾のための電話をして母を驚かせたのが、
人生で一番の親不孝だったのを忘れてはならないぞ、自分。
認識違いもあるかもしれないが私が受けたカテーテル手術内容は、
手首の動脈から造影剤?を流してどこが詰まっているか見つける
ステントと呼ばれる金網を丸めてこれまた手首の動脈から入れて、詰まっている箇所に止めてからちょっと広げて詰まり箇所の通りを良くする
だったと記憶している。
動脈手術は、手首からの場合と足の付け根からがあるらしいが、私は手首から(で良かった、鼠径部怖い)。
局所麻酔、痛かったような気もするが覚えておらず。
むしろ手術後の「止血バンド」がきつくてきつくて、一番ツラかったといってもいい。透明で空気をパンパンに入れることで締め付け具合を調整するもので、決められた時間ごとに看護師が数mlずつ空気を抜いていってくれるのだが、「もういい、血出てもいいからこれはずして!」って叫びたかった。止血バンドは今回調べたらとても詳しい動画があって「懐かしい!」ってなったw
話し戻って、造影剤での検査中は手術室が極寒だった。
服は全部脱いで(救命救急みたいにハサミで切られることなく)、
下着も全部取って、首にかけた紐から紙一枚下げた金太郎スタイル。
手足がブルブル震えて、トイレ行きたくてしょうがなかった。
今になって調べてみたら、患者が汗をかいて手術創からの細菌感染を防ぐためらしい。納得。
そして、造影剤で詰まっている場所を突き止めることができ、
「これからステント(金網)を入れます」となった後に
ようやく今回の表題でもある謎の言葉を聞くこととなったのだ。
私が聞きとれた限りでは、
「キャリブレーション ON!」「ちょっと早い」
「キャリブレーション ON!」「ちょっと遅い」
のバリエーションがあった気がする(おぼろげ)
「ちょっと早い」「ちょっと遅い」から勝手に想像してみた。
昔でいうと、実物を見たことはないが書類とかをカプセルにいれて空気圧でシューと飛ばす「エアシューター」のようなイメージ。
今でいうなら回転ずしの特急レーンのイメージだろうか。
丸めたステント(金網)を
「キャリブレーション ON!」のタイミングで私の動脈内にぶっ放し、
閉塞箇所に来たところでストップボタンをペッと押して止める。
その止めるタイミングが「ちょっと早い」「ちょっと遅い」
だったのでは?と想像している(勝手)
キャリブレーションの意味は何であれ、
無事ステントは納まるべきところに納められ、
今日も私は元気に起き、食べ、笑えている。
これをより多く繰り返せるように、
食べ物に気を付け、運動をするのだよ、私。
これを書き終えたあと、ジャイアントコーンを食べるのは止めなさい。