1年前の12月5日のこと

1年前の2023年12月5日 12時
頭が真っ白になるどころか今も鮮明に、感覚も覚えている

12時ちょうどスマホにインスタの通知
SNAKE ON THE BEACHからだ
わぁ!何?
久々の通知だからまだこの時は期待があった
瞬時に投稿を開いて、視覚で最初に認識したのが11月26日という過去の日付
全文を読む前に嫌な予感がした
何よりチバくんのあのアカウントの投稿であんなに文字が並ぶことはない
冷静に冷静に、最初から文章を理解しようとした
まずは息を整えるべく震えながら静かに席を立ち職場2階のトイレに向かった

トイレの個室で改めてスマホを見ている間ずっと心臓が激しく鼓動していた
The Birthday関連のSNS通知が続いていた

この状況をどうすべきか冷静に考えた
涙は出てないからこのまま仕事は続行できるんじゃないか
親族の死に目じゃないし、今帰ったところでどうにもならないんだし

呼吸を落ち着けて席に戻ったら、課内の問題児達がいつも通り低レベルな騒ぎをくり返している
無理だ、これは続行不可だ
自我が崩壊してしまう

休みは取りやすい職場なので隣の席の職員さん(20代女子)に早退していいか聞こうと声をかけるため手を伸ばそうとしたら自分でも制御できないほど震えすぎていて、声も出ない
日頃から仲良くしていたので語らずとも重大な様子だということを彼女は理解してくれた
声が出ないので、スマホに早退していいかと文字を打って見せた
「上司には伝えておきます」と詮索もせず了承してくれた

日頃互いの推し活の話もしていたので彼女はチバくんを認識してくれている
いずれ報道でもわかるだろうから一言「訃報で…」と伝えた
職場には近しい人の不幸ということにした

帰り道、冷たい空気だけどよく晴れていたことも鮮明に覚えてる
往来も多い中とにかく一直線に地下鉄駅まで向かった
ぶつかったりして余計なことになる余裕もないのでふらつきながらも見事に人の間を縫って行ったと思う

マスクをしていても寒暖差アレルギーで鼻水が止まらないので鼻をかむため地下鉄トイレに立ち寄った
お直しスペースの鏡を見たら自覚なく涙が出ていた
ツンとしたりもせず無意識に流れることあるんだ

とにかく家に着くまでもふらついたり倒れかかったりして誰か親切な人に心配などされぬよう気丈なそぶりで早足で歩いたことも覚えている

1人住まいなので部屋に帰ってからは無音で今の状況を理解することに神経を注いだ
家族や誰かに寄り添ってもらえるのもいいのだろうけど、1人で気兼ねなく泣き続けられる環境の方が私には重要だった

夕方と夜の報道番組で訃報が流れた
公式からSNSでお知らせが来てるんだから現実なんだけど、ニュースを見て本当なんだと念押しされた気分だった

いなくなってしまったら私はどうしたらいいのか
きっと生きていけない
不測の状況を想像してはこんなことを思っていたけど、いざこうなってしまったら年齢的なこともあるけどこんな時だからこそしっかり日常を過ごさなければという使命感が湧いた
ずっとことあるごとに泣き続けたけど、ちゃんとご飯は食べたし、ちゃんと寝た

次の日は休みを取った

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