星降る丘の約束⑪~第三章~

1. 旅立ち

菜月と美咲は、祖父が残した地図を片手に車で「丘の上」を目指していた。
町の外れに広がる緑の中を進む道は舗装が途切れ、砂利道に変わる。昔の記憶をたどる美咲は、緊張と懐かしさが入り混じった表情を浮かべていた。

「こんな道、もう何年も通ってなかったわ…」
ハンドルを握りながら美咲がつぶやくと、助手席に座る菜月が地図を見つめながら応じた。
「この場所って、おじいちゃんにとって特別だったのかな?」

美咲は少し考えてから答えた。
「多分ね。お母さんが元気だった頃、家族みんなで星を見に行った場所だと思う。」

「おばあちゃんも?」菜月が驚いて顔を上げる。

「そう。あの時は…楽しかった。父さんも、母さんも、みんな笑ってた。」
美咲は視線を前に戻しながら、昔の風景を心の中に浮かべた。

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