星降る丘の約束⑥
第二章
1. 静かな朝
翌朝、田舎の病院の外では鳥のさえずりが響き渡り、空気は澄んでいた。
美咲は病院のロビーでコーヒーを飲みながら窓の外を眺めていたが、心ここにあらずだった。
「もう危ないと言われてから数日は経っている…。父さん、何をそんなに頑張っているの?」
心の中で呟くと同時に、娘・菜月のことも思い浮かべる。昨日は病室に寄り添う菜月の姿が印象的だったが、なぜか自分はその場に入り込めなかった。
そんな思考の中、菜月が祖父の病室から出てきた。少し興奮した表情で、美咲に近づいてくる。
「ママ、ちょっと来て!」