星降る丘の約束⑩~第二章~
5. 父の状態の変化
その日の夜、美咲は菜月と共に病室へ戻ると、祖父の容態が少し安定していることを知る。医師は「奇跡的に少し持ち直した」と語ったが、いつ再び悪化するかはわからないと告げた。
菜月は祖父に近づき、小さな声で話しかける。
「おじいちゃん、ノートに書いてあった丘の上に行くからね。ちゃんと星、数えるよ。」
すると陽一はうっすらと目を開け、微笑むような表情を見せた。
「そうか…菜月…ありがとう。」
その瞬間、美咲の目にも涙が浮かぶ。父の願いを叶えることが、彼にとってどれだけ大切だったのか、ようやく理解できたのだ。