霧の中の灯台~第2話:灯台の秘密③
3. 灯台の中で
その夜、アリシアは母が眠ったのを確認すると、懐中電灯を片手に家を出た。灯台の謎がどうしても気になり、足を踏み入れずにはいられなかったのだ。
灯台へ続く小道は、昼間よりもさらに霧が濃く、寒さが肌に刺さる。道中、またしても足音が聞こえたが、振り返っても誰もいない。それでも意を決して進むと、やがて灯台の入口にたどり着いた。
灯台の扉は古びており、錆びた鍵がかかっているようだったが、驚くことに少し隙間が空いていた。手を押し当てると、ギィ……という音を立てて扉が開いた。
灯台の中はひんやりとしていて、潮の匂いが漂っていた。螺旋階段が上へと続いており、アリシアは一段一段慎重に足を進めた。
途中、壁にかけられた古い写真が目に入った。白黒の写真には、かつて灯台の管理をしていた家族らしき人物たちが写っていた。その中には、見覚えのある子どもの姿もあった。
「レオ……?」
彼女はその場で立ち止まり、写真を凝視した。そこには幼い頃のレオが笑顔で写っていたのだ。しかし、彼の隣に立つ大人たちの顔はどこかぼやけていて、判別できない。