霧の中の灯台~第6話:霧に奪われたもの②
2. 赤い影の告白
アリシアが地下室の冷たい床で目を覚ますと、目の前には赤い影が再び立っていた。その姿は以前よりも明確で、顔には微かな笑みが浮かんでいる。
「思い出したかい?」
赤い影の声に、アリシアは自分の記憶を整理しながら震える声で言った。
「私が……霧鬼を呼んだ?それでレオが……いなくなったの?」
赤い影はゆっくりとうなずいた。
「君は幼い頃、強く願ったんだ。レオとずっと一緒にいたいと。そして私はその願いを叶えた。」
「どうして……レオを奪ったの?」
影の笑みが少しだけ悲しげなものに変わった。
「奪ったわけじゃない。君の願いを叶えるため、レオを霧の中に繋ぎ止めたんだ。」
その言葉にアリシアは激しく動揺した。赤い影の言葉が真実だとすれば、レオの失踪の原因は自分自身にあるのだ。
「レオを返して……!」
彼女が叫ぶと、影は冷たく答えた。
「彼を返すには、もう一つの代償が必要だ。それは、君自身。」