霧の中の灯台~第6話:霧に奪われたもの④
4. 最後の対決
アリシアは灯台の霧鬼との対決を決意した。レオを取り戻すには、自らの命を代償にするしかない――そう悟ったからだ。
夜更けに再び灯台へ向かうと、霧はいつにも増して濃く、足元さえ見えないほどだった。灯台の地下室に入ると、赤い影が待ち構えていた。
「来たか。」
その声は満足げだったが、どこか冷たい響きもあった。
「レオを返して。代わりに私を連れて行けばいい。」
アリシアの言葉に、影は微かに笑みを浮かべた。
「それが君の望みなら、叶えてやろう。」
影が手を差し伸べると、霧が渦巻き、地下室全体が異様な空間に変わった。目の前には幼い頃のレオが立っていたが、その目は無表情だった。
「レオ!」
アリシアが叫ぶと、レオはゆっくりと顔を上げ、囁くように言った。
「戻れるの?アリシア……?」
その声に、彼女の目から涙がこぼれた。
「私が連れて帰る。絶対に。」