霧の中の灯台~第6話:霧に奪われたもの③

3. 母の秘密と後悔

家に戻ったアリシアは、母に記憶を取り戻したことを告げた。赤い影、霧鬼、そして自分の願い――全てが重なり、胸を押しつぶすような罪悪感に襲われていた。

「お母さん、私がレオを……あの霧に差し出したの。」

その言葉に、母の顔色がさらに青ざめた。彼女はしばらく何も言えなかったが、やがて震える声で語り始めた。

「あの日、あなたが何かを見たことは知ってた。だけど……霧の力に関わった人間は、記憶を封じられるの。私もそれを恐れて、あなたに問い詰めることができなかった。」

「どうして、止めてくれなかったの?」

母は涙を浮かべながら首を振った。
「私も霧の恐ろしさを知らなかった。赤い影が何を求めているのかも……ただ、あなたを守るために黙るしかなかったのよ。」

その言葉に、アリシアは母の後悔を感じ取ると同時に、自分自身の責任を重く感じ始めた。

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