星降る丘の約束⑧~第二章

3. 父の思い出

その夜、祖父が眠る病室で、菜月は美咲に昔の記憶を聞いた。

「ママって、昔おじいちゃんと仲良かったの?」
少し躊躇しながらも、美咲は口を開く。

「子どもの頃、パパ(陽一)はよく一緒に遊んでくれたわ。夜に星を見るのも好きだった。でも、私が大人になるにつれて…疎遠になったのよね。」

その言葉に菜月は少し驚いた表情を見せる。
「なんで?」

「多分、私が母親を亡くした悲しみから逃げるように、仕事に打ち込むようになったからだと思う。お父さんは、それでもいつも笑顔で接してくれてたけど…私はそれに甘えてた。」

菜月は何も言わずにうなずき、ノートを膝に置いた。

「じゃあ、最後くらい…おじいちゃんの願い、叶えようよ。」

美咲は一瞬戸惑ったが、菜月の真剣な表情を見て深く息をつき、頷いた。

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