星降る丘の約束⑰~第四章~

1. 祖父との最期の時間

祖父・陽一の病状は徐々に悪化し、静かに最期が近づいていた。
病室にいる美咲と菜月は、陽一の手をしっかりと握りながら語りかけていた。

「おじいちゃん、丘の上、とても綺麗だったよ。」菜月が微笑みながら話すと、陽一は弱々しくうなずいた。
「菜月…ありがとう…。美咲…」

陽一は視線を美咲に向けた。言葉を探しながらも、その目には感謝と愛情が満ちていた。

「お前が…母さんを失ってから、どれだけ頑張ってきたか…分かってる。でも…ときどき立ち止まって、空を見上げるんだ。お前の人生にも、たくさんの星が輝いているからな…。」

美咲は涙をこぼしながら、声を震わせて答えた。
「お父さん…ごめんね。私は、自分のことで精一杯で…。でも、これからは菜月と一緒に、ちゃんと向き合って生きていくわ。」

陽一は静かに微笑み、目を閉じた。その表情は穏やかで、満ち足りているようだった。

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