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mRNAワクチンはなぜ造り続けられるのか-手間とコストからの考察

新型コロナウイルス用として突如出てきたmRNAワクチン。私個人はあくまでも緊急用で、従来型のワクチンの製造が軌道に乗ればそちらに置き換わっていくものだと思っていました。ですが現実にはmRNAワクチンは造り続けられています。その理由について考察してみました。


mRNAワクチンとは

noteでも言及されている方が多いですが、新型コロナウイルス用のワクチン(レプリコンではない方)についてざっくりといえば、ウイルスのスパイクタンパク質をコードするmRNAを化学物質で覆った疑似ウイルスと表現していいかもしれません。接種すると細胞に取り付いて細胞表面にスパイクタンパク質を提示しますので、人体はその細胞をウイルス感染細胞と見做して抗体作製と細胞破壊を行う、というものです。理論上はウイルス感染を疑似的に表現しているわけですね。理論上は。

従来のワクチンとの製造工程上の違い

簡単に結論から言えば、mRNAワクチンは「工業製品」です。遺伝子データをもとにmRNAを人工的に合成して膜で覆えば完成、なわけですから、病原体を培養したり精製したりといった工程が省かれますので、mRNAワクチンを「生物学的製剤」と言っていいのかどうか疑問が残ります。

mRNAワクチンの製造上のメリット(製薬会社側の)

・病原体封じ込め施設が不要
現在の法律上、mRNAワクチン製造施設がどのような取扱いになっているのか調べてもよくわかりませんでしたが、遺伝子情報をもとにmRNAを合成して脂質等のカプセル内に封じ込めるというプロセスであれば病原体そのものは取り扱わないため病原体封じ込め施設は不要のはずです。
従来のワクチン製造ではその元となる病原体の培養が必須です。生ワクチンであれば弱毒化した病原体、不活化ワクチンであれば病原体もしくは病原体の一部を処理して抗原として造る過程が必要となりますので、病原体を培養する施設(BSL1~4)を国の基準に基づいて設置しないといけません。
例えば新型コロナウイルスであれば、検査はBSL2レベルでいいのですが培養となるともう一つ上のBSL3レベルが必要になります(2024年9月現在のSARS-CoV2の取り扱いは検査BSL2、培養BSL3、四種病原体)。

(BSLレベル等の詳細はhttps://ds0n.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~ken-san/rinri/byougentai/kyouiku/2022.04/ippan.pdfあたりをご参照ください)

BSL3レベルとなりますと設備等の管理、詳細な運用記録の管理が手間なのはもちろんのこと、所持している病原体によっては病原体の管理や所持状況について定期的に厚労省(厚生局)と警察の査察を受けることになります(立ち入りは1~3種病原体なので4種病原体の新型コロナウイルスは除外のはずですが、過去の立ち入り時に4種病原体の保存場所の確認と所有リストの提示を求められました)。この書類の下準備も面倒くさい。で、査察に来たら、こちら側のコスト等関係なしに「監視カメラを死角がないようにすべての場所につけろ」「この扉から侵入者が入る可能性があるので常に施錠せよ」とかのご指摘があるわけで。運用上クリアできる内容でしょうといくら説明しても「ご指摘」というのはまず曲げないので、査察の度に設備と運用指針が複雑なものになってしまいます。そのうえ査察官はやたら写真を撮っていきますので、その写真が流出したらどうするんだというセキュリティ上の懸念も生じます(暗証番号を押すところや鍵の場所を撮ろうとしましたのでさすがに抗議しました。絶対に流出しません、とおっしゃっていましたが、果たしてどうでしょうか)。

もちろん、mRNAワクチンの製造工場ですからGMP基準やらそのあたりは必要でしょうし、安定して製品を製造する技術は必須でしょうが、病原体を扱わないということになれば、前述の手間とコストがいらなくなります。管理のしやすさは段違いでしょう。

IASR Vol. 29 p. 42-44: 2008年2月号より引用(若干古いです)

・病原体が変異する度に新しく製造しなおす必要
一見デメリットのようですが、需要が続くという点では製薬会社にとってはメリットです。また、mRNAでコードできるタンパク質は短いので、ウイルス側の変異によっては効果が激減します(かなり端折った説明ですが、インフルエンザワクチンなどではウイルス本体からHAタンパク質を切り取ってワクチンにしていますので、タンパク質本体が大きく、少々の変異では完全に効かなくなるということは考えにくいです(抗原性がずれる、なんて言います)。新型インフルエンザのように全く違う抗原となれば別ですが)。
mRNAはそこまで長くできないはずですので、コードできるタンパク質量もそこまで大きくできないはずです。とすると、抗原として認識できる部分(エピトープ)も多くないはずですので、その部分が変異してしまえばそれで終わりとなり、新しいmRNA配列を使って造り直す必要が出てきます。
つまり、mRNAワクチンはピンポイントで抗原を提示しますので、その抗原部分が変異してしまえば終わりとなり、頻繁に新しいmRNAワクチンが必要、言い換えれば繰り返し需要が生じる、ということになりそうです。

そんなこんなで、製薬会社側としては手間やコストが削減できるmRNAワクチンはメリットなのでしょう。

おわりに

個人的には科学の発達で生活が豊かになるのは歓迎すべきことだとは思いますが、mRNAワクチンは今一つ受け入れがたいです。
ウイルスは標的とする細胞に好みが存在しますので、mRNAワクチンの疑似ウイルスがどんな細胞にも取り付いてしまうというのも違和感がありますし、とりつかれた細胞が「感染細胞」と人体側に認識され、広範囲に破壊されてしまうのも違和感があります。私自身、mRNAワクチンは会社の一斉接種で3回受けていますが、1回目は打って数分で意識を失いましたし(気が付いたら酸素吸入とステロイドの点滴をされており、治療費を請求されました。解せぬ。)、3回目接種後しばらくしてから、草刈りをしていたら接種側の腕で筋断裂と内出血を起こしていました。筋断裂は前述の無作為な細胞破壊の影響ではないかと思っています。
コロナ流行直後で他に武器がなかったから使うのは仕方がなかったと思いますが、本来はある程度安全性が確立されている従来型ワクチンの開発と普及に努めてほしかったし、今後もそうしてほしいと思っています。
レプリコンワクチンみたいなヤバそうなものはもう少し考えてからにしてほしいですね。