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反抗期

 コロナ自粛中は外回りにいかないから、という理由をつけて爪に色を塗っている。

 うちはお堅い職場だし、真面目な人が多いから、内勤の女性社員でもネイルをしている人は見かけない。でも塗ってみたら案外誰にも何も言われない。気付かれていないだけかもしれないけれど。
 最初は少し遠慮して薄いピンクのマニキュアを塗った。そこからラベンダー、ボルドーと、少しずつ、でも確実に分かりやすい色に塗り替えていった。一番派手な色はキラキラのラメが入った水色。魔女の爪みたいで可愛かった。

 使っているマニキュアはどれもコンビニで買える安物で、大きいボトルを買っても無駄になるのでミニサイズにしている。結構な頻度で塗り直しているけれど、全然減らない。大容量だね。
 塗るのも手慣れてきた。最初は右手の爪なんて特に色ムラが酷かったけれど、今はそこそこ見られる程度にはなる。綺麗に塗られた爪を見ながら、練習は裏切らないってハイキュー‼︎から学んだなと思い出す。
 派手な色の爪を見ていると、"カラーギャング"という言葉が頭を掠める。私のマニキュアはそんな大層なものではないけれど、色は主張だ。

 上司に資料を見せながら説明箇所を指差した爪に色がのっていると、強くいられる気がする。私は私、あなたの言うこと全部聞くと思っていたら痛い目見ますよ、という気持ちで仕事をすることができる。ほんとはそんなに強気でいる必要はないけれど、弱気になりがちな私はまず形から。

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