駆け抜ける坂道 2nd Stage ーSector10ー
2nd Stage ーSector10ー
〈レコードラインアタック〉
日向峠、頂上…
4本目を終えた〇〇と菜緒が戻ってきた。
〇〇:ふぅ…
由依:よく抜き返したね。
〇〇:ほんとギリギリでした。
由依:多分次で決まる。
勝つにしても負けるにしても。
〇〇:はい…
由依:流れはこっちにある。全力でね。
〇〇:はい!
友香:〇〇…頑張って!!
〇〇:おう!
--
美玖:菜緒…
菜緒:そんな心配そうな顔せんといて!
ちょっと予定が狂っただけだから。
美玖:うん…
菜緒:次こそ決める。
いわゆるレコードラインアタックってやつで。
ブン、ブン…
ひかる:5本目いきまーす!
ブン、ブン…
ひかる:5,4,3,2,1…ゴー!!
ブン、ブーン…
友香:〇〇…
保乃:大丈夫やって!
どんな逆境でも勝ってきたんやから!
友香:そうですよね!
--
ブーン…
〇〇:なんだろうこの緊張感…
ビリビリ伝わってくる。
菜緒:こっからは小細工なしの本気やで!
ブン、キャャァァァァァ…
菜緒は今まで以上のスピードで
コーナーをクリアしていく。
〇〇:速い!
ブン、キャャァァァァァ…
〇〇もコーナーをクリアするが…
〇〇:くっ、少し離されたかな…
菜緒:まだまだ行くでー!
ブーン…
--
美玖:大丈夫かな…
久美:大丈夫だって!
本気のこさかなは誰にも止められないって!
美玖:でもこんだけ長引くと…
久美:ワンハンドステアは
タイヤに優しいから大丈夫。
でも、さっきの後半から本気だったと
するとさすがにくる。
それはこさかなもわかってると思うよ!
好花:相手のタイヤマネジメントがどうかですね…
--
プルルル
ピツ
理佐:もしもし…うん…わかった。
ピツ
理佐:中間地点からの報告だけど、
2台の差は縮まってるらしい。
ひかる:えっ!?
由依:"ゴースト"の化けの皮が剥がれたね。
保乃:どう言うことですか?
由依:ワンハンドステアの利点はタイヤの消耗を
軽減できる。
でも、予定が狂ったことでその余裕も
無くなってきてる。
友香:だから差は広がらない…
由依:でも〇〇くんのタイヤも長くは持たない。
友香:もうすぐ決まる…
--
ブーン…
菜緒:まずい…予定より長くなったからタイヤが…
〇〇:向こうのタイヤが結構きてるな…
ブン、キャャァァァァァ…
菜緒:くっ!滑るなぁ…
〇〇:こっちもキツイな…
菜緒:こうなったら…
ブン、ブン、キャャァァァァァ…
菜緒は今まで見せてこなかった
大きくリアを振るドリフトを始めた。
〇〇:ドリフトか…そっちがそうくるなら!
ブン、ブン、キャャァァァァァ…
菜緒:!?そっちもドリフト!?
〇〇:ドリフト勝負なら負けない!
--
美玖:菜緒がドリフトなんて…
好花:何考えてんだか…菜緒も86のドライバーも。
美玖:こう言う時はタイヤをいたわる走りを
するのがセオリーなのに…
久美:まぁこさかなのことだから
考えあってのことだと思うけど。
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保乃:ドリフトか…
由依:おそらく、S2000の方はタイヤが
限界にきてる。
その状態でコーナーを攻める場合、
コントロール出来ないオーバーステアよりも
コントロール出来るアンダーステアの方がいい。
ひかる:だからドリフトを…でも〇〇くんは?
由依:おそらく闘争心からでしょ。
ドリフトにはドリフトって。
友香:ってことは〇〇の方はただの意地?
由依:〇〇くんもタイヤは限界に近いだろうから
そっちの方が都合いいかも。
保乃:どっちも譲らん展開やな…
由依:ただ勝負が拮抗してる時ほど
案外あっけなく終わる。
--
菜緒:ここまで来たら絶対負けへんで!
〇〇:勝つ…その為なら何が何でもやってやる!!
ブーン…
Next Sector…
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