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もしも…会社の人懐っこい後輩から家で飲もうと誘われたら…




カタカタカタカタ

〇〇:ふぅ…多すぎんだろこれ。


定時も近づいてきた頃、
俺は膨大な量の会議資料の
作成に追われていた。

〇〇:こりゃかなりの残業だな…はぁ…

??:せーんぱいっ♪

〇〇:ん?あぁ谷口か。

残業確定の事実に落胆していると
後輩の谷口がやってきた。

愛季:どうしたんですか?
ため息なんかついて。

〇〇:こんどの会議資料作ってんだけど
量が多くてな。
その量に絶望してたとこ。

俺はデスクの上に置いてある
大量の資料を差しながらそういった。

愛季:うわ〜大変ですね〜

〇〇:だから今日も残業確定だよ。

愛季:ふ〜ん。じゃあ私も手伝いますよ!

〇〇:え?

愛季:もう私の分の仕事は終わりましたから!

〇〇:いや、だったらさっさと帰れよ。
お前も独り立ちしてから結構大変だったろ?

愛季:いいんです!
こうして1人でやれてるのも
先輩のおかげですから♪

谷口が新入社員だった頃は
俺が教育係をしていた。
それもあってなのか俺によく懐いている。

〇〇:わかったよ。よろしく頼むわ。

愛季:はいっ!
そのかわり、お酒でも奢ってくださいね〜。

〇〇:へいへい。

--

カタカタカタカタ

オフィスには俺と谷口の2人。

キーボードを叩く音と紙をめくる音が
よく響く。

愛季:せんぱーい!あとどれくらいですか?

〇〇:あと2割くらいだな。

愛季:うへぇ〜。

〇〇:だから帰っていいって言ったのに…

愛季:でも乗り掛かった船です!
最後までやりますよ!

〇〇:さんきゅ。

愛季:でもこの調子だと日付変わりそうですね。

〇〇:かもな。

愛季:そーいえば、先輩って一人暮らしですか?

〇〇:そうだけど?

愛季:へ〜。

〇〇:急にそんなこと聞いてどうした?

愛季:いや、先輩かっこいいから彼女の1人や2人家にいるかなって思ってました。

〇〇:いや、彼女2人いたらダメだろ。

愛季:ま、私も1人ですけどね〜。

〇〇:あっそ。

愛季:なんか冷たくないですか〜?

〇〇:別に?それより早くやるぞ。

愛季:は〜い!

--

〇〇:ふぅ…

愛季:終わったー!!

〇〇:お疲れさん。ありがとな。

愛季:いえいえ〜。

〇〇:確認は後でやっとくわ。

愛季:先輩!約束、覚えてますよね!

〇〇:あぁ、奢りだろ?

愛季:はい!それじゃ行きましょ!

〇〇:はぁ!?今から!?

愛季:はい!今からです!

〇〇:もうすぐ23時だぞ?
店ももう閉まるし…。

愛季:私、お店で呑むって一言も言ってないですよ?

〇〇:へ?じゃどこで?

愛季:こっから私の家、歩いてすぐですよ?

〇〇:え、いや、奢るんじゃ…。

愛季:そんなのコンビニの
缶チューハイでいいんですよ〜。

〇〇:でもいきなりお前ん家に行くのも…

愛季:私は構いませんよ?

〇〇:でもなぁ…

愛季:いいから!行きましょ?

--

〇〇:おじゃましま〜す…

愛季:どうぞどうぞ。

結局、谷口の圧に押され
やってきてしまった。

愛季:適当にくつろいでて下さい!
今お皿とか持ってくるんで!

〇〇:あ、あぁ…

くつろぐって言ってもなぁ…

部屋を見渡すとシンプルで
白を基調としたオシャレな感じになっている。

愛季:あんまり女の子の部屋は
ジロジロ見ちゃダメですよ〜?

〇〇:あぁ、すまん。

愛季:よいしょ。

キッチンからつまみを皿に乗せ戻ってきた
谷口は俺の隣に座った。

愛季:それじゃ飲みますか♪

〇〇:うい。

愛季:かんぱーい!

カンッ

愛季:ゴクッゴクッ…ぷはー!

〇〇:よう飲むな。

愛季:明日休みですし、これで疲れがとれますから〜

〇〇:にしても、
こんな気軽に男を家にあげてよかったのか?

愛季:別に誰でもあげるわけじゃありませんよ?
先輩だからあげたんですぅ〜

〇〇:へいへい

愛季:むぅ…

--

愛季:しぇんぱ〜い!
のんれますかぁ〜?

〇〇:お前が飲み過ぎなんだよ。

愛季:じぇんじぇんれすよ!

〇〇:呂律まわってねーし。

愛季:それより!
しぇんぱいは今、彼女さんはいないんですよね?

〇〇:まぁ…な。

愛季:好きな人とか気になってる人とか
いるんですかぁ〜?

〇〇:う〜んどうだろ。
最近忙しくてそんなの気にしてなかったな。

愛季:へ〜
しぇんぱいかっこいいのにもったいない!

〇〇:いつもそれ言うけど
そんないいもんじゃないぞ?俺は。

愛季:しょんなことないですぅ!
しぇんぱいはいい加減自覚してくだしゃい!

〇〇:はいはい。

愛季:またそうやって流す…

〇〇:お世辞でも嬉しいよ。

愛季:お世辞じゃないですぅ!!
現にしぇんぱいのこと狙って人多いんです!

〇〇:へ〜

愛季:だからうかうかしてらんないんです!
今日もこうやって自分の家にあげて
アピールしてるんじゃないですかぁ!!

〇〇:ん?アピール?

愛季:そうですよ!

〇〇:それだと
お前が俺の事好きって事になるけど?

愛季:はいっ!そうですっ!

〇〇:え?ん?はぁ?

愛季:しぇんぱいが
私の教育係だった頃から
好きだったんです!

〇〇:え?

愛季:優しくてかっこいい、
でもこういう恋愛事には
ちょー鈍感のしぇんぱいが大好きなんですぅ!!

〇〇:お、おぅ…

愛季:だから!私を…

ドサッ

〇〇:ん?

愛季:zzz…

〇〇:急に寝るなよ…

俺は谷口をソファーに寝かせ、
そこにあった毛布を掛けた。

愛季:ん〜…zzz…

〇〇:ったく…

俺は少し片付けた後、
「飲み過ぎに注意しろよ」と
書き置きを残し、自宅に帰った。

さっき谷口が言っていたのは酔った勢いで
言った狂言って事にしておこう。

--

翌日…

プルルルルル…

〇〇:ん…ん〜

休日の朝を望んでいない
モーニングコールで邪魔された。

画面には…

"谷口愛季"

〇〇:はぁ…

ピッ

〇〇:もしもし?

愛季:"なんで帰っちゃうんですかー!!"

〇〇:朝からうるせぇよ…

愛季:"あんな遅い時間までいたんですから
泊まっていってくださいよー!!"

〇〇:いや、お前寝てたし
泊まるにしても勝手にいちゃだめだろ。

愛季:"うぐっ…"

〇〇:そんなことで
わざわざ電話してきたのか?

愛季:"あー違います!!
先輩、今日暇ですか?"

〇〇:え?うん、まぁ…

愛季:"そしたら11時に駅前に集合して下さい!!"

〇〇:え?

愛季:"ぜーーーーったいに来て下さいよ!
いいですね!"

ピッ

〇〇:え?あ…なんなんだよ…

無視することもできるが
それでまた鬼電されても困るので
俺は支度して家を出た。

--

愛季:あーやっと来たー!!

〇〇:やっとって、時間には間に合ってるだろ。

愛季:まぁそれはいいとして、
昨日の話、覚えてますか?

〇〇:そっくりそのまま返すけど?

愛季:私は覚えてますよ?
酔っても記憶は残ってるんで!

〇〇:まぁ、俺も覚えてるけど。

愛季:だったら答えを教えて下さい!

〇〇:答え?

愛季:私を…先輩の彼女にするって!

〇〇:あぁ…

愛季:酔った勢いで言いましたけど…
本気ですから!本気で先輩のこと好きですから!

〇〇:おう…

愛季:正直入社した頃は仕事が全然ダメでした。
そんな私でも先輩は優しく
何度も何度も教えてくれました…。
そんなの…好きになるなってのが無理です!

〇〇:…

愛季:そんな先輩の隣に居たいんです…。
私じゃダメですか?

〇〇:…わかったよ。

愛季:え?

〇〇:昨日今日と話を聞いて
お前の本気さは伝わった。
今は素直に嬉しいよ。

愛季:じゃあ…

〇〇:これからよろしくな。

愛季:はいっ!

ギュッ

〇〇:うぉ!?

谷口は俺の腕に抱きついてきた。

愛季:それじゃ無事に私の告白も
成功した事だし、行きましょ♪

〇〇:行くってどこへ?

愛季:そんなのデートに決まってるじゃないですかあ〜。

〇〇:はぁ…。

愛季:あ!ちなみに夜は先輩の家に行きますからね!

〇〇:えっ!?

愛季:昨日、私の家に来たんだからいいでしょ!

〇〇:わかったよ…

愛季:ふふっ笑 ほら行こ?


そう言ってる隣の笑顔にドキッとした。
もしかしたら俺もどっか惹かれてたのかもな。



愛季:これで昨日やろうとしていた
あんなことやこんなことを…
グフフっ笑


そして今ゾワっとした。


Fin

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