家族のカタチ
ピピピピピ…ガチャッ
〇〇:ん、ん〜…
目覚ましのアラームが鳴り、俺の一日が始まる。
〇〇:さて…作るか。
俺は弁当と朝食を2つ作った後、ある人を起こす。
〇〇:ほら、"理子"。起きて。
理子:ん、ん〜…
ーー
〇〇:よし、理子!行くよ!
理子:あい!
俺は娘の理子をチャリの後ろに乗せ、
保育園に向かった。
キキーッ
理子:ついたー!
〇〇:ふぅ…
理子:せんせー!おはよー!
??:理子ちゃん!おはよ!
お父さんもおはようございます!
朝から眩しすぎる笑顔で出迎えてくれたのは
理子の担任の森田ひかる先生。
小柄で可愛らしい人で園児からも人気らしい。
〇〇:おはようございます!
今日も理子をよろしくお願いします!
ひかる:任せて下さい!
〇〇:じゃあ理子?お父さん行ってくるから
いい子でね?
理子:うん!おとしゃんきょうもがんばって!
理子はいつも満面の笑顔で送りだしてくれる。
それだけで1日頑張れる。
--
〇〇:うおぉぉぉぉぉ!!!!
残業が入ってしまい、いつも迎えに行く時間より
1時間ほど遅れてしまった。
キキーッ!!
保育園に着いた俺は急いで教室に向かった。
ガラガラ…
〇〇:理子!お待たせ!
理子:あ!おとしゃん!
トコトコ…ギュー
〇〇:ごめんな?遅くなって。
理子:んーん!
ひかるせんせーとあそんでたから
だいじょーぶ!
ひかる:お父さん?遅くまでお疲れ様です!
〇〇:先生!すいません、遅くなってしまい…
ひかる:いいえ!理子ちゃんとってもいい子で
待ってましたよ!
理子:りー、いいこだった!
〇〇:よしよし!じゃあ帰るよ!
理子:あい!
〇〇:それじゃ先生!ありがとうございました!
理子:せんせーばいばーい!
ひかる:バイバイ!👋
これが俺の一日である。
--
とある休日…
理子と2人でスーパーに来ていたら…
??:んしょ…んしょ…
見覚えのある人がそこそこ大きい荷物を持っていた。
理子:あ!せんせー!!
ひかる:ん?…理子ちゃん!?
理子:こんにちはー!
ひかる:こんにちは!お買い物かな?
理子:うん!おとしゃんときてるのー!
〇〇:こんにちは!
ひかる:お父さん!こんにちは!
〇〇:結構…買い込みましたね…。
森田先生の両手にはパンパンに詰まった
袋があった。
ひかる:最近忙しくてなかなか買い物に
来れないので…
〇〇:…先生。お家はどの方面ですか?
ひかる:ええっと、▲▲方面です。
〇〇:そしたら一緒の方向なので持ちますよ?
ひかる:いいえ!そんないいですよ!
〇〇:いつもお世話になってるんで!
それに理子も先生ともうちょっと一緒に居たいみたいですし…
理子:せんせ!かえろっ!
ひかる:それじゃ…お言葉に甘えて…
〇〇:全然いいですよ!
俺は先生から袋を受け取った。
理子:せんせー!おててつないでー!
ひかる:ふふっ笑 いいよ!
ギュッ🤝
--
ひかる:あ、私ここなんで!
〇〇:え?
先生がここって言った場所は…
理子:りーのいえだー!
ひかる:え!?ほんとですか?
〇〇:はい…。
ちなみに何号室ですか?
ひかる:202号室です…。
〇〇:うちが302号室だから…一個下か…。
ひかる:こんな偶然って…あるんですね笑
〇〇:そう…ですね笑
それから俺は先生の部屋に荷物を届け、
自分の部屋に戻った。
--
とある日…
そろそろ晩御飯の準備をしようとした頃…
ピンポーン
〇〇:ん?誰だろ。
ガチャッ
ひかる:こんばんは!
〇〇:先生!?どうされたんですか?
ひかる:あのぉ…
夕飯にカレー作ったんですけども、
作りすぎちゃって…
もしよろしかったら召し上がって下さい!
〇〇:そんな…いいんですか?
ひかる:こないだ買い物手伝ってくれた
お礼です!
理子:おとしゃん、どーしたの?
〇〇:ん?あぁ、先生がカレーをくれたの。
理子:かれー!!やったー!!
ひかる:ふふっ笑 喜んでくれてよかった笑
〇〇:理子はカレーが好きなんで笑
理子:せんせー!いっしょにたべよー!
ひかる:えっ!?
〇〇:こーら、先生も自分の時間が…
ひかる:もし…
お邪魔じゃなかったら、いいですよ?
〇〇:え?まぁ僕は構わないですけど…
ひかる:そしたら是非!
理子ちゃん?一緒に食べよっか!
理子:わーい!やったー!
〇〇:すみません、わがままで…
ひかる:全然大丈夫ですよ!
そしたらお邪魔しますね?
--
理子:モグモグ…おいしー!
〇〇:ほんとだ!うまっ!
理子:せんせー!おいしいよ!
ひかる:ふふっ笑 ありがとう!
〇〇:でもほんとに美味しいですね!
ひかる:お口にあってよかったです!
久しぶりに人の手料理を食べてなんだか
気持ちがほっこりした。
--
食べ終わり食器を片していると…
理子:zzz…
ひかる:よし…よし…
理子が先生に抱きついて寝ていた。
〇〇:あぁ先生、すみません…。
ひかる:いえいえ、
この可愛い寝顔を見てると癒されるんで!
〇〇:ほんと、癒しです笑
ひかる:理子ちゃん、いつも言ってますよ?
「おとしゃんはいつもりーのために
がんばってる!」って。
〇〇:理子がそんなことを…
ひかる:愛されてますね!
〇〇:あはは…
ひかる:あと…あれは奥さまの写真ですか?
先生はテレビ台に置いてある
1つの写真を見ながらそういった。
〇〇:えぇ…理子が1歳の時に
撮ったやつですね。
ひかる:綺麗な方ですね…。
〇〇:はい…。
この写真を撮ったちょっと後に
病気で亡くなりましたが…
ひかる:お父さん1人で
理子ちゃんを育ててるんですね…。
〇〇:理子の為にも
お母さんは必要だと思うんですけどね…
ひかる:やっぱり…
奥さまが忘れられないですか?
〇〇:まぁ…それもありますが、
新しい人を見つけるにも忙しくて…
ひかる:お父さんならいい人見つかりますよ!
すごい優しいですし…お子さん思いですから!
〇〇:だといいんですけどね笑
ひかる:でも実際、お仕事して1人で
ちっちゃい子のお世話って大変じゃないですか?
〇〇:そうですね…。
ひかる:そしたら週末の夕飯だけでも
作りましょうか?
〇〇:いえいえそんな!
保育園でもお世話になってるのにこれ以上は…
ひかる:いいんですよ!理子ちゃんといるのも
楽しいですし!
〇〇:そう言ってくれるなら…
お言葉に甘えて…
ひかる:はい!任せてください!
それから週末には先生が来て3人でご飯を食べる事になった。
--
今日もいつも通りに夕食を3人で食べ、
俺は食器を片していた。
理子:ん〜…
ひかる:理子ちゃんおねむかな?
理子:ん…
ひかる:お父さん?
理子ちゃん寝かせてきますね?
〇〇:あぁ、すみません…。
先生は理子を抱っこして寝室に行った。
妻が生きてたら毎日こんな感じだったんだろうな…。
そんな事をソファに座りながら考えていたら、
眠気に襲われ始めた…。
--
〇〇:ん、ん…。
いつの間にか寝てしまっていた。
しかし、
ソファとは思えない柔らかさを頭に感じる。
ひかる:あ、起こしちゃいました?
〇〇:!?
その柔らかさの正体は先生の膝枕だった。
〇〇:す、すみません!今起きます!
ひかる:全然いいですよ?
お疲れみたいですし。
〇〇:え…。
ひかる:理子ちゃんに似て
可愛い寝顔でしたよ?笑
〇〇://
ひかる:お仕事に子育て、
いつもいつもお疲れ様です。
〇〇:先生も…
いつも理子のことありがとうございます。
こんな休みの日まで…。
ひかる:そのことなんですけど…。
〇〇:?
ひかる:理子ちゃんに会いたいのも
そうなんですけども…。
本当はお父さん…〇〇さんに会いたいからなんです//
〇〇:え!?
ひかる:いつも保育園で見かける時、
かっこいいなって//
それに〇〇さんは
理子ちゃんといる時に
すごい優しい目になるんです。
あの優しい目に私も見つめられたいなって//
〇〇:…。
ひかる:〇〇さん…
私を理子ちゃんのお母さんにしてくれませんか?
〇〇:…先生?
僕もここ最近、思ったことがあるんです。
ひかる:?
〇〇:週末に3人でご飯を食べたり…
先生が理子を寝かしつけてくれたり。
家庭ってこういうことなのかなって。
俺は先生の膝から頭を起こし、向き合う。
〇〇:だから…理子の母親に…
いや、僕の奥さんになってくれませんか?
ひかる:…はい!
〇〇:きっと亡くなった妻も…
許してくれるはずです。
ひかる:こんどご挨拶に行かないとですね!
〇〇:そうですね笑
ひかる:…〇〇さん。
ギュッ
〇〇:!?
ひかる:理子ちゃんといられるのも
嬉しいんですけど…
こうして〇〇さんと一緒なのが…
本当に幸せです。
〇〇:僕も…幸せです。
ひ〇:ふふっ笑
理子:あー!
ひ〇:!?
理子:おとしゃんとせんせーがぎゅーしてる!
〇〇:いやっ、これはその〜…。
ひかる:理子ちゃん?先生が理子ちゃんのお母さんになるって言ったら嬉しい?
理子:せんせーがおかしゃん?
ひかる:そう!どうかな?
理子:おかしゃん!うれしい!
でもほんとー?
〇〇:うん。ほんとだよ?
理子:わーい!おかしゃん!おかしゃん!
ひかる:ふふっ笑 可愛い笑
〇〇:もう先生の娘だよ?
ひかる:そんなこと言ったら、
私も〇〇さんの奥さんですぅ!
〇〇:そっか…。
ひかる:だからもう敬語やめません?
〇〇:そうだね…ひかる。
ひかる:うん// 〇〇//
理子:おかしゃん、かおまっか!
〇〇:ふふっ笑 理子はもう慣れたみたいだね笑
ひかる:子供ってすごい…。
その後、俺らは晴れて正真正銘の家族になり、
笑顔の絶えない家族になった。
Fin
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?