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上司と出張にいったら、上司じゃなくなった話



正月気分も抜けた1月中旬…


今日も今日とて仕事に追われてると…


??:●●くん、ちょっといい?

〇〇:どうしました?渡邉主任。

この人は主任の渡邉理佐さん。
すごい綺麗な人で仕事も出来る完璧な人。

理佐:来週、私と出張になったからよろしく。

〇〇:え?あ、はい…。

理佐:それだけだから。

そう告げて主任はデスクに戻っていった。

主任はサバサバしてると言うか、
クールと言うか…
少し近寄り難いところがある。

たまに社内で「氷の女王」
なんて言われてるのも耳にする。

--

出張当日…

〇〇:ううっ、寒っ。

電車、バスと会社から2時間ほどかけて
出張先に向かっていた。

理佐:●●くん、こっちよ。

〇〇:はい!
ってか地図とか見ずによく場所わかりますね。

理佐:あれ?言ってなかったっけ?
ここら辺は私の地元なの。

〇〇:へ〜そうだったんすね。

理佐:って言っても最近は
帰ってこれてないけどね。

〇〇:そしたら今日早く終わったら
ご実家にいったらどうです?

理佐:そうもいかないわよ。
今回は結構大きい案件なんだから。

〇〇:まぁそこは…なんとかなりますよ!

--

理佐:まさかほんとに早く終わるとは…

〇〇:だから言ったじゃないっすか!

今回の取引は厳しいと思っていたけど、
とりあえず俺が相手の会社や提案を
褒めまくったらトントン拍子で
話が進んで予定より早く終わった。

〇〇:いや〜でも上手くいってよかったっすね〜

理佐:まぁ、
君のそのコミュ力は見習わないとね。

〇〇:主任はこれからご実家ですか?

理佐:そうね。そのつもり。
●●くんは?

〇〇:俺は適当に駅前で呑んで帰りますよ。

理佐:よかったらうちに来ない?

〇〇:え?

理佐:今日の取引が上手くいったのは
君のおかげだし。
ご飯くらいは出してくれると思うから。

〇〇:は、はぁ…

理佐:それじゃ行くよ。

--

そんなこんなで主任の実家に来てしまった。
よくよく考えたら上司の実家、
これほど気まずいものは無い。
適当なタイミングで帰るか…。


ピンポーン

"はーい"

ガチャ

理佐:お母さん!久しぶり!

理母:理佐!どうしたの?

理佐:仕事で近くに来たからついでにね。

理母:あら?その方は?

理佐:あぁ、会社の後輩の●●〇〇くん。

〇〇:どうも初めまして。●●〇〇と申し…

理母:ちょっとお父さん!!
大変よ!!理佐が彼氏を連れてきたわよ!!

理〇:!?

理父:なに!?ほんとか!?

理母:ええ、ほんとよ!ほら!

理父:ついに…ついに理佐に彼氏が…

理母:高校生の時、バレンタインだからと言ってチョコを作ったけど渡す人がいなくて自分で食べてた理佐が…。

理父:クリスマスはカップルの日だから関係ないと言って家に引きこもってたあの理佐が…。

やべぇぇぇぇぇ…
とてもただの部下ですなんて言える
雰囲気じゃねぇ…

理佐:///

主任に至っては
顔を真っ赤にして下向いてるし!!

理母:さぁさ!こんなところじゃなんだから
是非上がってて!

理父:かぁさん!今日はお祝いだ!
豪勢な食事を頼むよ!!

"あっはっはっ!!"

もしここで「違います!」なんていったら
恥の上塗りになってしまう…

もうこうなったら…

〇〇:主任。もう今日だけでもカップルって事を
突き通すしかないです。ボソッ

理佐:そ、そうね…

--

理母:さぁさ!遠慮なくどんどん食べてね!

理父:ビールもあるぞ!
あ、それとも日本酒がいいかな?

〇〇:あぁ、どうぞお構いなく…

理佐:なんか…ごめんね?ボソッ

〇〇:いえ…
もうなんとか話を合わせるしかないですねボソッ

理佐:そうしてもらえると助かるボソッ

〇〇:まぁいいですよ。ご飯美味しいし。

理佐:この状況でよくそんな食べれるわね…

理母:それで?2人は付き合って
どれくらいなのかしら?

理父:そうそう!どっちから付き合おうって
言ったんだ?

理佐:え、えっと…か、彼から…

なんだかちょっとからかいたくなったなぁ…

〇〇:いや、去年理佐さんから仕事終わりに
ご飯に誘って頂いたことがあったんです。
そこから徐々に頻度が増えて、理佐から
告白されたのが始まりです!

理佐:!?

理母:あら!理佐の方からなのね!

理佐:ま、〇〇くん!?

〇〇:ふふっ笑

理佐:…覚えてなさい。

理父:それで…
理佐は彼のどこが好きになったんだ!?


理佐:え!?えっと…なんとなくかな。
気づいたら的な?

〇〇:ちょっと!
適当でも何かないんですか!?ボソッ

理佐:しょうがないでしょ!
急には出てこないわよ!ボソッ

理父:それじゃ…〇〇くんの方はどうかな?
理佐のどこを好きになったんだ?


〇〇:!?

理佐:ちょ、ちょっとお父さん!
彼も答えにくいでしょ!

理父:そうか…

〇〇:…面倒見の良さですかね。

理佐:!?

〇〇:普段から周りの事をよく見ていて、
困っている人が居たら必ず関わろうと
してくれる。
人によってはお節介に思われるかもしれないけど、僕はそんなところが好きで尊敬しています。

理佐:…。

〇〇:他にも一見、
クールで冷たそうな印象ですけど優しいところとか…
弱音を吐かず、目の前の仕事に一生懸命なところとか…そんなところを好きになりました。

理佐:〇〇くん…。

理父:うう…なんて出来た子なんだ…。

理母:理佐?絶対に大切にしなきゃだめよ?

理佐:う、うぅ…

理母:それはそうと、
明日からは会社お休みよね?

理佐:うん。そうだけど?

理父:てことは〇〇君もだよな!?

〇〇:えぇ、まぁ…。

嫌な予感がするぞ…。

理父:そしたら今日は泊まっていったらいい!
なぁ母さん?

理母:ええそうね!

理佐:え!?

〇〇:い、いや今日は帰りますんで…

理母:今準備してくるわね!

理父:俺も手伝う!

〇〇:あぁ!ちょっと!

ご両親は行ってしまった。

〇〇:…。

理佐:…ごめんね?

〇〇:もうどうにでもなれです。


--

と、思ってたんだけど…。

〇〇:どうしますか?これ?

ご両親が準備してくれた寝室に入ると…

理佐:ベッドが…1つしかないわね…。

〇〇:そしたら俺…床で寝ますよ。

理佐:え…。

〇〇:流石に一緒に寝るのは…。

理佐:私は…いいよ。

〇〇:へ?

理佐:ひ、一晩くらいなら…

〇〇:は、はぁ…

--

こうして僕らは背中合わせにして
ベッドに入った。

…のはいいけど。

〇〇:…。

理佐:…。

寝れねぇぇぇぇぇぇ!!!

気まずすぎるって!こんなの!!

と、とりあえず目をつぶって
寝たふりしとこう。

しばらくするとだいぶ眠たくなってきた…。

理佐:ねぇ?●●くん?寝ちゃったかな?

〇〇:!?

ここは寝たふり、寝たふり…

理佐:今日はありがとね。
こんな嘘に付き合ってくれて…。

〇〇:…。

理佐:まさかあんなに喜ぶとは
思わなくてさ…。
まぁ、今までそういう素振りを
見せなかったのも悪かったんだけどさ…。

〇〇:…。

理佐:実際、男友達なんていないし…
てか、普通に友達なんてあんまりいないかも。
好かれるような性格じゃないし…。

〇〇:…。

理佐:でも、嬉しかったんだ…。
君が私の事をあんな風に言ってくれて。
もちろん…嘘だとしてもね。
でも…本当に思ってくれてたら嬉しいな…。
それほどまでに…君が好きだからさ。

〇〇:!?

理佐:今日はほんとにありがとう。
…おやすみ、●●くん。

〇〇:…。

理佐:…zzz。

〇〇:…。


あっっっっぶねぇぇぇぇぇ!!!

今完全にヤバい雰囲気だった!!

えっ、てかその前にさ、
僕の事好きって言ったよね?

僕はゆっくり主任の方を向く。

理佐:…zzz。

主任はもう寝ていた。

〇〇:…嘘じゃないっすよボソッ

ご両親に伝えた主任の好きなところ。
あれは本心だ。

〇〇:僕も…それほどまでに好きなんですよ。
…おやすみなさい。

僕はそこからは自然とスッと眠れた。

--

〇〇:今日は泊めていただき
ありがとうございました!

理母:いいえ!またきてちょうだい!

理父:君なら大歓迎だよ!

理佐:もう!いいから帰るよ!

--

理佐:はぁ…なんかどっと疲れたわね。
この出張。

〇〇:まぁそうっすね…。

理佐:にしても…これからどうするかなぁ…

〇〇:何がですか?

理佐:君との関係のこと、
絶対今どんな感じかとか連絡くるだろうし…

〇〇:まぁ…確かに…

理佐:どのタイミングで別れたって…

〇〇:…たまにどこに出掛けたとか
言えばいいんじゃないですか?
でもそれだと信じてくれないでしょうし…
2ショットとか撮るとかどうですか?


理佐:えっ!?

〇〇:そうだ!今度、ディ〇ニー行きません?
僕結構好きなんですよね〜。
しばらく行ってないからな〜。
主任はどうです?

理佐:…理佐。

〇〇:え?

理佐:こ、これからも誤魔化すなら
私の事を理佐って呼んでよね!!
そ、その方がボロも出ないし…

〇〇:…なら、僕のこと〇〇くんって
呼んでくれます?

理佐:えっ!?なんで!?

〇〇:誤魔化すため。ですよ?

理佐:そ、そうね…〇〇くん。

〇〇:これからもよろしくお願いしますね?
理佐さん?

理佐:え、えへへ〜

〇〇:あれ?どうしたんですか?ニヤけて笑

理佐:べ、別に!
な、名前呼ばれて嬉しいとか
そんなんじゃないから!

〇〇:そうですよね!
誤魔化す為に仕方なく…ですもんね!

理佐:え、あ、ううっ…

〇〇:ふふっ笑

理佐:もう!上司を揶揄うんじゃありません!

〇〇:いいじゃないですか〜。
僕は今、理佐さんの彼氏なんですから〜。


理佐:くっ…。

〇〇:まぁ、
僕は誤魔化すつもりはないですけど…ボソッ

理佐:ん?なんか言った?

〇〇:いえ?何も?

理佐:彼女に隠し事は禁止!

〇〇:仮ですけどね。

理佐:さっきは彼氏面してたのに?


〇〇:…もう面倒なんでいいですか?

理佐:えっ…ごめん。やっぱり嫌だよね…。
こんな私の彼氏役なんて…。

〇〇:違いますよ。むしろ逆です。

理佐:え…。

〇〇:僕は彼氏役じゃなくて…
理佐さんの彼氏になれませんか?

理佐:〇〇…くん…。

〇〇:昨日、ご両親に伝えた
理佐さんの好きなところ。
あれは全部本気です。
だから…お願いします!!

理佐:うん…私からもお願い。

〇〇:よしっ…てことで写真撮りません?

理佐:へ?

〇〇:どうせご両親に
報告しないといけないんですし…。
付き合った記念ってことで!

理佐:う、うん…。


〇〇:ほら!こっち来てください!

理佐:うわぁ!

カシャッ

僕は理佐さんを抱き寄せて写真をとった。

〇〇:あはは笑 理佐さんめっちゃ驚いてる笑

理佐:ちょっと!消して!!

〇〇:いやです!


そこからご両親からくる連絡は、
「いつ結婚するの!?」という連絡らしい。

理佐さんは困ってるみたいだけど…
顔はなんだか嬉しそう。

もうすぐで付き合って3ヶ月…。

貯めた貯金をはたく時かな?


Fin

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