寂しい口元には…
社会人になり3年。
仕事もそれなりにこなせるようになり、
良くも悪くも平凡な毎日を送ってる。
唯一、変わってることと言えば…
ピロンッ
…こんな無機質な2文字が送られてくること。
と俺も無機質な2文字を返して、
タバコを持って会社の屋上へ向かった。
--
??:遅い!!
〇〇:こっちも仕事中なの。
俺を呼び出したのは同期で隣の部署にいる
田村真佑
真佑:こっちはそれどころじゃないのよ!
〇〇:今度は何やらかしたんだよ…
真佑:それがさ〜…
あの2文字が送られてきたら
この屋上で田村の仕事でやらかした事や
愚痴を聞く。
最初は屋上でたまたま出くわした時に
話を聞いていたが、いつからかこうして
呼ばれてはタバコを吸いながら話を聞く。
まぁ、俺からしたらタバコを吸う時間が
出来るからいいんだけどね。
真佑:…ってことでさ〜。
〇〇:そりゃ災難だね。スゥ~🚬
真佑:ねぇ…聞いてる?
〇〇:聞いてるよ。スゥ~🚬
真佑:…そんなにタバコが美味しい?
〇〇:美味しいって訳じゃないけど、
吸いたくはなるんだよね。
真佑:なんで?身体が悪くなるだけじゃん。
〇〇:なんて言うか…
吸ってる時が好きって言うか
口元が寂しくなるんだよね。
真佑:ふ〜ん…
〇〇:スゥ~🚬…よし。
俺はタバコを灰皿に入れた。
〇〇:だから田村の話を聞くのが
いい口実になってる訳。
ありがとな。
真佑:むぅ…
〇〇:じゃ、仕事戻るわ。じゃあな。
そう言って俺は屋上を後にした。
--
ピロンッ
〇〇:ん?
田村からいつもとは違う文章が送られてきた。
居酒屋に集合…
よっぽど溜まっているんだろう。
俺はこのメッセージを特に気に留めず仕事をした。
--
真佑:あ!こっちこっち!
仕事を終えて、指定された居酒屋に行くと
店前に田村が居た。
真佑:さ!中入ろ!
--
真佑:かんぱ〜い!
〇〇:乾杯。
真佑:ゴクゴク…ぷは〜!
〇〇:にしてもなんで今日は屋上じゃなくて
居酒屋なんだ?
真佑:えっ、あ、ちょっと色々溜まってね💦
〇〇:ほ〜ん。ゴクッ
ガサゴソ
アルコールを入れるとタバコが欲しくなる。
俺は灰皿を探すが…
〇〇:くそっ…ここ禁煙かよ…
真佑:むぅ…今日は真剣に聞いて!
〇〇:いつも聞いてるよ…
その後俺はタバコを我慢しながら
田村の話を聞いていた。
--
真佑:しょれでさ〜あにょぶちょーがさ!
〇〇:おい…飲み過ぎたぞ?
真佑:うるしゃい!!
〇〇:はぁ…もう出るぞ。
すいません!お会計です!
--
真佑:う〜ん…
〇〇:スゥー🚬
俺らは近くの公園で休んでいた。
真佑:ねぇ…タバコくしゃい…
〇〇:まったく吸えねえ店で
話を聞いてたんだ。我慢してくれ。スゥー🚬
田村は飲み過ぎたせいでダウンしていた。
こいつ…黙ってれば可愛いんだけどな…。
実際、社内の人気も高いし…。
ただ、ちょっとポンコツなところもある。
それが原因かどうかは知らんが、
浮いた噂は全く聞かない。
いてもおかしくはないがな…。
それはそれで寂しい気もする。
俺はそんな事を考えながら
吸い殻を携帯灰皿に捨てた。
〇〇:…もう一本吸うか。
さっきまで全然吸えていないので
またタバコの箱から一本取り出し、
口に持っていく。
真佑:…。
パシッ
〇〇:えっ?…って、ん!?
チュッ
口についたのはタバコではなく
柔らかいものだった。
〇〇:…んはっ!な、なんだよ!
真佑:…好き。
〇〇:え?
真佑:〇〇の事が好き…。
だから今日も呼んだ…。
〇〇:へ?
真佑:いつも会社の屋上で愚痴聞いてもらうのも…
ストレス発散もあるけど、
ほんとは〇〇に会いたいから呼んでるの!
〇〇:えぇ!?
真佑:〇〇はタバコが恋しくなるって言ってたよね?
私にとって〇〇はタバコなの…。
そう言った田村は顔を近づける。
真佑:口元が寂しいなら…
チュッ
また唇に柔らかい衝撃か来た。
真佑:私がその寂しさを埋める…。
だからこれからも…一緒にいて…。
〇〇:…。
真佑:…ダメ?
〇〇:ダメだったら…もうとっくにお前を
ふりほどいてるよ。
真佑:えっ…
〇〇::ほぼ毎日呼び出されてるんだ。
意識すんなって方が無理な注文だよ。
真佑:じゃあ…
〇〇:…。
ガシャン
俺はタバコをゴミ箱に捨てた。
〇〇:これで…タバコ代が浮くな。
真佑:!?
〇〇:これから…よろしくな。
真佑:…うん!
〇〇:じゃ…
チュッ
真佑:!?ちょっ、いきなりはやめてよ//
〇〇:口元が寂しくなったから笑
真佑:もう//
〇〇:私が埋めるっていったよな?
ヘビースモーカー、舐めんなよ?"真佑"
真佑:うぅ//
そっからは喫煙所は俺の家だけになった。
Fin
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