職場の隣の席の同期が一生隣いることになった話
〇〇:…とまぁこんな感じだから。
"はい!ありがとうございます!"
〇〇:うし、
じゃあちょっと早いけど昼飯行ってきな。
"はい!行ってきます!"
社会人2年目。
俺にも後輩ができ、教える立場になった。
成績はまぁ良い方ではある。
??:あぁ!!!
〇〇:?
??:ごめんなさい!ごめんなさい!
自分の席に戻ると、とある同期が上司に
頭を下げまくっていた。
??:はぁ…
〇〇:カタカタカタカタ
??:はぁぁぁぁぁぁ…
〇〇:カタカタカタカタ
??:ちょっと!
なんでなんも聞いてくれへんのや!
隣で騒いでるのは同期の田村保乃。
〇〇:…はぁ。なにやらかしたんだ?
保乃:コピー頼まれて10部でいいとこ
100部刷ってしもうた…
田村は何かとおっちょこちょいだ。
保乃:こないだは持ってたコーヒーを
課長の頭にこぼすし…
その前に作った資料はデータが10年前やったし…
〇〇:逆によく10年前のデータ引っ張れたな…
保乃:はぁぁぁぁぁぁぁぁ…
〇〇:まぁ…頑張れ…
保乃:あ!そうや!!
〇〇:ん?
保乃:海見に行きたい!!
〇〇:へ?
保乃:おっきい海見て
ぱぁ〜っと気持ちを切り替えたい!!
〇〇:はぁ。
保乃:なぁ、一緒に行かへん?
〇〇:はぁ!?
保乃:なぁええやろ?
〇〇:俺は別に気持ちは落ちてないんで。
保乃:なぁぁぁぁ!いいやーーん!!
田村は俺の両肩を持ち
思いっきり揺さぶってくる。
保乃:こないだ車買ったって言ってたし
乗せてってやーー!!
〇〇:わ、わかったから離せぇーー!
パッ
保乃:ほんま!?
〇〇:はぁ…はぁ…
保乃:じゃあ今週末な!
〇〇:あぁ…。
--
週末…
俺は待ち合わせ場所に車で向かっていた。
〇〇:ええっと…あそこか。
近づくと田村がすでに待っていた。
田村:!!ブンブン🙋🏻♀️
田村もこっちに気づいたのか
思いっきり手を振ってきた。
ブーン…キキーッ
ガチャッ
保乃:おはよ!
〇〇:おはよ。
バタンッ
保乃:ほい!コーヒー!
〇〇:おっ、サンキュー。
お前にしちゃ気がきくな。
保乃:なっ!一言余計や!
〇〇:へいへい。
じゃ、行きますよ。
保乃:しゅっぱーつ!!
ブン、ブーン…
保乃:にしてもかっこええ車やな。
俺が買った車はスポーツタイプの車。
昔からこういうのが欲しくて、
コツコツ貯金をして買った。
保乃:なぁ知っとる?
車ってな?その持ち主がこう見られたいって思ってるイメージなんやって。
〇〇:ふ〜ん。
保乃:〇〇ってかっこいいって
思われたいんやな笑
〇〇:うるせぇ!
保乃:そのままでもええんやけど…ボソッ
〇〇:ん?なんか言った?
保乃:な、なんでもない//
ほら、はよ行って!!
〇〇:あ、あぁ…
--
しばらく走ると海岸沿いの道に出た。
保乃:わぁー!綺麗やなー!
〇〇:実際来てみるといいもんだな。
保乃:やろ!
〇〇:んでどうすんだ?この後。
これだけだったらすぐ終わるぞ?
保乃:この先に水族館あるらしいから
行かへん?
〇〇:水族館か…
保乃:なぁ行こうや〜
〇〇:わかったよ…
--
保乃:わぁ〜魚がいっぱいや〜
〇〇:そら水族館だからな。
保乃:もぅ〜そんなこと言わんで!
そんなんやから彼女でけへんのやで!
〇〇:今関係ねーだろ…
保乃:あ!ジンベエザメや!
〇〇:でっけぇな〜
保乃:魚はええなぁ〜
自由に泳いでて…
保乃も魚になりたいなぁ…
〇〇:またブルーになってるよ。
保乃:はぁ…
〇〇:ん?
俺はとある看板を見つけた。
〇〇:お、イルカショーあるってよ。
保乃:見る!!
〇〇:急に元気だな…
--
係員:それではキュウちゃんの大ジャンプです!
"おおーー!!"
イルカショーではイルカが
大きくジャンプしたりなどすごい芸を披露していた。
保乃:たっかぁーー!!
〇〇:ようあそこまで飛べるな。
保乃:イルカちゃんはおりこうさんやな〜
〇〇:ショーの後、イルカと写真撮れるらしいぞ?
保乃:え!?撮りたい!!
--
ショーが終わったので、イルカと写真を撮るべく列に並んでいた。
係員:次の方〜どうぞ!
保乃:は〜い。
〇〇:行ってらっしゃい。
保乃:え?〇〇も一緒に撮るんやで?
〇〇:え?
保乃:ほら!いいから撮るで!
イルカちゃんも一緒に撮りたいやんな?
イルカ:キュウキュウ!
保乃:ほら!
〇〇:え〜
イルカ:キュウキュウ!
〇〇:わかったよ…
俺と田村はイルカを挟んで写真を撮った。
カシャッ📸
係員:はい!オッケーでーす!
保乃:ありがとうございまーす!
イルカ:キュウキュウ!
係員:ふふっ笑
キュウちゃんがお似合いのカップルだね!
って言ってますよ!
〇保:え///
イルカ:キュウキュウ!
係員:これからもお幸せにって!
保乃:あ、ありがとな//
--
その後写真を受け取り、
お土産売り場を覗いていた。
保乃:あ!さっきのイルカちゃんや!
田村はイルカのぬいぐるみを手に取った。
保乃:やっぱ可愛かったな〜
〇〇:それ買うの?
保乃:うん、記念にな。
〇〇:貸して。買ってくる。
保乃:え!?
〇〇:そいつがいれば元気でんだろ?
それにこういうのは男が出すもんだろ。
保乃:あ、ありがとう…
俺はイルカのぬいぐるみを買って、田村に渡した。
--
ブーン…
保乃:水族館楽しかったな〜
田村は助手席でさっき買ってやった
イルカのぬいぐるみを抱きしめていた。
保乃:なぁ?もっかい海いかへん?
〇〇:え?
保乃:ちょうど夕暮れやしさっきとは景色違うと思うから。
〇〇:まぁ…いっか。
保乃:よし!それじゃ運転よろしくな〜
〇〇:へいへい。
--
保乃:綺麗…
海に着くと夕日に照らされて
先ほど見た海とは違う幻想的な雰囲気になっていた。
〇〇:どうだ?今日で気は晴れたか?
保乃:うん!ありがとな!
〇〇:どういたしまして。
ザザー…
保乃:なぁ…
〇〇:ん?
保乃:〇〇はさ…保乃のことどう思ってるん?
〇〇:え?
保乃:なぁ…どうなん?
〇〇:う〜んそうだな。
おっちょこちょいで天然なやつ。
保乃:なっ!?
〇〇:…でも見てて飽きないっていうか、
楽しいやつとは思ってるよ?
保乃:そっか…
〇〇:そんなこと聞いて急にどうした?
保乃:うん…
ザザー…
保乃:保乃な?仕事でよくミスするやん?
〇〇:あぁ。
保乃:でもその度に〇〇は話聞いてくれるやん?
〇〇:まぁ…同期だしほっとくのもな…
保乃:保乃…それに助けられてん。
〇〇:?
保乃:なぁあのイルカちゃんの言ってた…
カップルにならへん?
〇〇:え!?
保乃:保乃…
〇〇のおかげでここまでやってこれてん。
やからこれからも〇〇の隣に居たい!
なぁ…あかん?
〇〇:…わかったよ。
保乃:?
〇〇:俺を必要としてくれてるのは素直に嬉しい。
それに俺も助けられてる所もあるしな。
保乃:え!?
〇〇:たまに俺も落ち込むことあるけど、
その時お前と話してると
なんか気が楽になるんだよな。
今日もなんだかんだ楽しかったし。
保乃:…。
〇〇:だから…俺も田村の隣に居させてくれ。
保乃:…うん!
ギュッ
保乃:えへへ〜
〇〇:ふふっ笑
保乃:なぁ…
〇〇:ん?
保乃:あの車…助手席に誰か乗せたことある?
〇〇:いや?まだないけど?
保乃:そしたらこれから
誰も乗せたらあかんで?
〇〇:え?
保乃:今日から〇〇の隣は保乃の特等席や!
〇〇:はいはい笑
それから俺達は順調に交際を重ねた。
--
〇〇:おっし。じゃ出かけるか。
??:パパー!
〇〇:ん?どうした"璃花"
璃花:きょう!くるまはパパのとなりがいい!
??:あかんで?璃花。
璃花:いいじゃーん!
ママいっつもとなりじゃん!
〇〇:たまには譲ってやれよ…保乃。
保乃:いやや!
"〇〇の隣は保乃の特等席や!!"
Fin
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