真夏の太陽のような眩しい笑顔
僕は今恋をしている。
その相手は会社の先輩で僕の教育係だった人だ。
??:○○くん!おはよ!
○○:おはようございます!“真夏”さん!
その相手の名前は秋元真夏。
僕の2年先輩。
僕の会社はWEBデザインの会社で真夏さんはその中でも
エース的な存在である。
真夏:○○くんこの間頼んでたものできてる?
○○:はい!確認お願いします!
真夏:ありがと ~!
今、僕は真夏さんのアシスタント的な仕事をしている。
真夏:○○くんホントに仕事のできる幅が広がったね!
○○:真夏さんのおかげですよ!
真夏:そんなことないよ~笑これで私がいなくなっても
大丈夫だね!
○○:そんな!僕なんてまだまだです…。
真夏さんはこの会社を辞めて独立する。
真夏さんは本当に仕事ができる人なので独立しても
最前線でやっていけるだろう。
だが僕は真夏さんと離れるのが寂しい。
真夏:ほ~ら!暗い顔しない!
笑顔じゃないといい仕事できないよ!
真夏さんはそう言うと屈託のない笑顔で
僕を励ましてくれた。
その笑顔が僕の寂しさの原因である。
真夏さんの笑顔が僕の仕事のモチベーションだった。
僕はあと何回その笑顔を見れるのだろう?
――
真夏:よしっ!今日はこれくらいにしよっか!
○○:わかりました!お疲れさまでした!
??:お~い真夏!
真夏:あっ、優馬。おつかれ~。
今真夏さんと話してるのは真夏さんと
同期の佐藤優馬さん。
真夏さんと肩を並べるくらい仕事のできる人。
それにイケメン。
優馬:これから同期で飲みにいくけど真夏も来るか?
真夏:うん!行く~。それじゃ○○くん!また明日~。
○○:はい!お疲れさまでした!
真夏さんは優馬さんと帰って行った。
○○:はぁ~
??:お似合いの2人。僕じゃ釣り合わないな~って
思ってる?
○○:心の中読むのやめてくれる?“梅澤”さん。
この人は同期の梅澤美波。
僕が唯一といっていいぐらいこの会社で悩みや
愚痴を聞いてくる人だ。
梅澤:いい加減伝えれば?あなたが好きです!って。
○○:それが出来たら苦労しないよ…。
梅澤:でもこのままだと離れちゃうよ?いいの?
○○:僕なんかが真夏さんの隣にいれないよ…。
梅澤:なんであんたって仕事以外まったく
自信ないのよ…。
○○:仕事だって満足に出来てるとは思ってないし…。
梅澤:でも、仕事では真夏さんの隣にいれてるじゃない?
言っとくけどあんた達のペアは社内で
トップクラスで仕事できるんだよ?
○○:全部真夏さんの実力。僕はその指示に従うだけ。
梅澤:知ってる?聞いた話だと私達が入社する前は
真夏さんは一人で仕事してたらしいんだけど
その理由は真夏さんのレベルが高すぎて
ついていけなかったらしいよ。
だからあんたが真夏さんの隣にふさわしいの。
○○:でもあくまで仕事上でしょ?私生活は…。
梅澤:あぁ~!!じれったい!!
男ならビシッとしなさい!
とにかく絶対に伝えなさい!いい!?
○○:はい…。でも、どうやって…。
梅澤:そんなの直球勝負!
○○:自信ないな…。
梅澤:やらない後悔よりやる後悔でしょ!
○○:わかったよ…。
___
とは言ったものの…。
○○:ま、真夏さん…。
真夏:うん?なあに?
○○:あの、その…。
この間の案件で相談なんですけど…。
普通の仕事の相談も変に意識してしまい、
ぎこちなくなってしまう。
それは仕事にも影響が出ているようで…。
真夏:○○くん!ちょっといい?
○○:はい?
真夏:ここなんだけど、ちょっと間違ってるんだけど…。
○○:え?あっ!すいません!すぐ直します!
真夏:どうしたの?普段ならこんなミスしないけど…。
○○:ごめんなさい!ちょっと見落としてまして…。
真夏:そう…。疲れてるなら無理しないでね。
○○:はい…。ありがとうございます…。
真夏さんに心配されてしまう始末である。
もう明日には真夏さんは退社してしまう…。
__
梅澤:ほんとにいくじがないね。
○○:そんなんわかってるよ…。
梅澤:どうすんの?明日最後でしょ?
○○:う~ん…。
梅澤:ちゃんと伝えなさい?
でないとあんた仕事ほんとに出来なくなるよ?
確かにそうだ。
僕が今まで仕事をやってこれたのは真夏さんのおかげだ。
仕事ができたとき真夏さんは笑顔でほめてくれる。
新人の頃その笑顔に何度も救われた。
その笑顔が見たいから。
ただその一心で仕事を頑張ってきた。
このままだと仕事に差し支える。
○○:伝える…。
梅澤:うん?
○○:明日…。絶対に真夏さんに伝える!!
梅澤:よしっ!よく言った!
○○:もう迷わない。たとえダメでも必ず伝える!
梅澤:頑張んな。骨は拾ってやるから。
○○:縁起でもないこというなよ…。
___
翌日…。
仕事終わりに社員全員が集まって真夏さんの
送別会が行われた。
真夏:皆さん本当にお世話になりました!
パチパチパチ…。
もうすぐ送別会が終わる…。
僕はそのあとに思いを伝えようと決心していた。
○○:真夏さん!
真夏:○○くん…。今までありがとね!
○○:こちらこそ!本当にお世話になりました!
入社して右も左もわからない僕がここまで
やってこれたのは真夏さんのおかげです!
真夏:そんなことないよ~。私は基本を教えただけ。
あとは○○くんの才能!
○○:そんなありがとうございます…。
言うんだ…!ここで伝えなきゃ一生後悔する!
○○:真夏さん…。その…。
優馬:真夏~!
そんな時、悠真さんに呼ばれた。
優馬:真夏、この後時間あるか?
真夏:えっ、あの…。
○○:僕は大丈夫ですよ?
真夏:でも…。
○○:今まで本当にお世話になりました。
これからも頑張ってください!
僕はそう言って会場を出た。
やっぱ無理か…。
そらそうだよな…。真夏さんは社内で人気だったもん…。真夏さんと優馬さん。
やっぱどう見てもお似合いだよな…。
きっと今頃優馬さんに告白されてるんだろうな…。
これでもう真夏さんとは会うことはないだろうな…。
真夏さんの笑顔が頭から離れない。
これほどまで人を好きになったことはない…。
やらない後悔よりやる後悔か…。
結局伝えることはできなかったな…。
“○○くーん!!”
ほら、後悔しすぎて真夏さんの僕を呼ぶ声がきこえる。
真夏:○○くん!!
○○:えっ!真夏さん!
真夏:よかった…。間に合った…。
そこには息を切らした真夏さんがいた。
○○:真夏さん!どうしてここに!?
真夏:別れ際の○○くん、
なにか言いたそうだったから…。
○○:優馬さんと話があったんじゃ…。
真夏:そんなことより○○くんのことが気になって…。
○○:えっ…。
真夏:ねぇ?もうちょっとお話しない?
僕と真夏さんは近くにあった公園に来ていた。
真夏:私たちが初めて会った時のこと覚えてる?
○○:もちろん覚えてますよ。
真夏:私、教育係っていうのが初めてだったんだよね。
だから最初の頃はすごい緊張してたんだよ?
○○:そうだったんですね。僕もガッチガチでしたよ。
真夏:でも○○くんと仕事してると今までより
仕事が楽しかったんだよね!
○○:それってどういう…。
真夏:私が無茶なお願いしてもちゃんとこなしてくれる。
その一生懸命なところみてたら私も
頑張んなきゃってなったの。
○○:…。
真夏:でも途中から別の感情も持つようになったの…。
○○:?
真夏:それはね?○○くん…
私は○○くんのことが好きだって感情。
○○:えっ!?
真夏:だから私を○○くんの彼女にしてくれませんか?
○○:…最悪だ…。
真夏:えっ…。
○○:本当はその言葉僕が言いたかったのに…。
真夏:ええっ!?
○○:僕も真夏さんのことが好きです。
僕こそ真夏さんの彼氏にしてもらえませんか?
真夏:そんなの…いいに決まってる!!
○○:よかった…。やっと伝えられた…。
真夏:○○くん…これからもよろしくね?
○○:はい!よろしくお願いします!
真夏:もう付き合ったんだから敬語禁止!
○○:わかり…わかった。
真夏:これかも私のそばにいてね?
○○:うん。一生そばにいるよ…。
――
数年後…。
僕も会社を退職し、真夏さ…真夏と一緒に働いている。
真夏:○○くん!こないだのお客さんから連絡がきて
また別のパターン頼みたいって!
○○:わかったよ!真夏!
仕事もプライベートもすべて順調。
真夏:○○くん、これで去年以上の売り上げになったよ!
そういって真夏は満面の笑顔をみせてくれた。
僕はその笑顔を見るたび思う。
彼女の笑顔が僕の生きがいなんだと…
Fin
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