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離れていても


"お疲れ様でした!!"

??:あ"ぁ〜菜緒〜疲れた〜

菜緒:お疲れ美玖。

美玖:今日の収録も長かった〜

菜緒:でも楽しいからええやん。

美玖:菜緒ってほんと楽しそうに仕事するよね〜

ピロン♩

菜緒:ん?

スマホにメッセージが届いた。

菜緒:誰からやろ?

開くと高校の同級生から同窓会の案内だった。

菜緒:うわ〜この日仕事やん…

美玖:どうしたの?

菜緒:高校の同窓会の案内が来たんやけど
その日仕事と被ってる…

美玖:そう…なら仕方ないね。

菜緒:でも…それはそれでいいかな。

美玖:なんで?

菜緒:地元出てくる時
「一流のアイドルになったる!」って言って
上京したんやけど…まだなれてへん気がするから…

美玖:日向坂のセンター様が何言ってんの…。

菜緒:やから次会うのは
一流のアイドルになってからって決めてん!

美玖:ふ〜ん…そんなに会いたい人がいるの?

菜緒:まあな。

美玖:それって〜男の子?

菜緒:はぁ!?何でそうなるん!?

美玖:だって今の菜緒の顔が
恋する乙女って感じだったから〜

菜緒:へ!?そんな顔してた!?

美玖:てことはやっぱそうなんだね笑

菜緒:う、うん…

美玖:どんな人なの?

菜緒:あいつはな…


--

菜緒:〇〇〜

〇〇:ん?なんだ菜緒か。

菜緒:なんだとはなんだ!

〇〇:別に?

菜緒:こんな可愛い幼馴染に
朝から会えんねんで?感謝しいや!

〇〇:自分で可愛いって言うなよ。
それにお前とは何年一緒にいると思ってるんだ?

菜緒:幼稚園の時から!

〇〇:それが高校まで続いてんだ。
よっぽどのことがない限り驚きはねーよ。

菜緒:もう…


この〇〇という男の子が私の幼馴染。

そして…初恋の相手でもある。

〇〇:あーあ、それにしてももうすぐ受験か…

菜緒:せやね。

〇〇:菜緒はどうすんの?

菜緒:!?ん〜まだ考え中…

〇〇:そっか。

まだ言えてない…
アイドルのオーディションを受けてるって…

〇〇:そろそろ勉強しねーとな〜。

菜緒:〇〇やったら大丈夫やろ?

〇〇:まぁどっかの誰かさんとは
頭の出来が違うんでね。

菜緒:今バカにしたやろ?

〇〇:別に?菜緒のこと言ってないけど?

菜緒:んー!むかつく!

〇〇:自覚あんなら頑張れや笑

菜緒:なっ!こいつ〜!

〇〇:あっはは笑

菜緒:ふふっ笑

この関係性が心地良くて中々言い出せなかった。

アイドルのことも、〇〇が好きってことも…

--

数ヶ月後…

菜緒:はい。お土産。

〇〇:ん?

菜緒:こないだ東京に行ってきたから。

〇〇:東京?何でまた。

菜緒:お、お母さんが行きたいって
言ったからついてった。

〇〇:ふ〜ん。まっ、ありがとな。


本当は最終オーディションに行った。

何とか合格出来た…。これで夢に一歩近づいた。

でも、いつ言おう…

--

3月…

〇〇:もう卒業か〜。

菜緒:早かったな。

〇〇:そういえば、菜緒は卒業したらどうすんの?

菜緒:えっと…

言うなら…今しかないかな…

〇〇:もしかして…浪人?

菜緒:ち、違う!!

〇〇:そんな強く否定しなくても…

菜緒:私…東京に行く。

〇〇:へ?

菜緒:東京で…アイドルになんねん。
ひらがなけやきとして…。

〇〇:そっか…。

菜緒:ごめん。黙ってて…

〇〇:謝る必要ねーよ。ずっとなりたかったんだろ?

菜緒:え…。

〇〇:幼稚園の頃だっけな〜
「アイドルになる!」って言ってたの。
それに前に東京行ったのも
どうせオーディションでしょ?

菜緒:なんでわかったん?

〇〇:何年幼馴染やってるとおもってんの?
それくらいは何となくわかるよ。

菜緒:…。

〇〇:頑張れよ。遠くはなるけど応援するから。
ファン第1号として。

菜緒:え!?

〇〇:その…何だ…菜緒は俺にとって
特別な人だからな!

菜緒:…うん!ありがとう!

--

美玖:へ〜いい人じゃん!

菜緒:やろ?

美玖:なら尚更会いに行けば?
マネージャーさんに言って…

菜緒:それはせーへん!
まだちゃんと胸張って会えるまで!

美玖:ふ〜ん。

遠く遠く離れていても、私の事がわかるように
力いっぱい輝ける日をこの東京で迎える為に…
今は必死で頑張る!

元気かどうか連絡をくれる地元の皆の為にも!

私は同窓会の案内に「欠席」の連絡をした。

--

数年後…

スタッフ:みんなー集合!

レッスンも終わる頃スタッフさんがやってきた。

スタッフ:今日から新しいマネージャーが入るから!じゃあこっち来てー!

??:…失礼します。

ガチャッ

え?嘘…。

〇〇:今日から皆さんのマネージャーになりました
〇〇です!よろしくお願いします!

スタッフ:それじゃ今日は自己紹介も兼ねて
〇〇くんとお話ししててね〜。

そう言ってスタッフさんは部屋を出ていった。

〇〇:改めて皆さん…よろしくお願いします!

鈴花:〇〇さん!〇〇さんっていくつですか?

好花:彼女さんとかいるんですか!?

ざわざわ

〇〇:ちょっ!じゅ、順番に答えますから!

なんで…いるの…?

〇〇:まず年は2002年生まれで彼女はいません!

好花:えっ!?年下!?

鈴花:菜緒とか美玖と同い年じゃん!

〇〇:そう…ですね。

美玖:ん?菜緒どうしたの?

菜緒:な…る…や

美玖:?

菜緒:なんで〇〇がここにいるんや!!

鈴花:ええ!?

好花:知り合い!?

〇〇:なんでって…仕事だけど?

菜緒:でもなんで私達のマネージャーなんや?

〇〇:まぁどっかの誰かさんが
俺にだけ連絡よこさないから?

菜緒:それは…

〇〇:どうせ、一人前になるまでは会わないって
決めてたんだろ?

菜緒:なっ…。

〇〇:菜緒は昔から
いじっぱりなところがあるからな〜

菜緒:そこまで分かってて…なんで来たん?

〇〇:"特別な人を支えたい"
その夢を叶える場所はこの街と決めたから。

菜緒:…。

〇〇:それに菜緒は一流のアイドルだ。
自分でそう思ってなくても俺はそう思ってる。
だからよろしくな。

菜緒:バカ…。

〇〇:ん?

菜緒:そんなんされたら…私…

〇〇:その先は菜緒がやりきったと
思った時に聞くよ。

菜緒:うん…。

〇〇:まぁいつになることやら…。

菜緒:その時が来たら1番に言うから!
それまではちゃんと支えてや!

〇〇:もちろん!

鈴花:ちょっと!

美玖:私達のことも支えて下さいよ!

〇〇:それはもちろんやりますけど…。

菜緒:ダメ!菜緒の〇〇や!!

〇〇:いやでも仕事でもあるし…。

菜緒:特別な人を支えるんやろ!?

〇〇:ったく…

菜緒:死ぬまで支えてもらうで!!

Fin

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