見出し画像

この関係からの…"卒業" #会長ちゃんと副会長くん






櫻坂高校卒業式の当日。




…の生徒会室。





〇〇:ふぅ…


在校生代表として送辞を読む予定の〇〇。


ガラガラ…

愛季:〇〇く〜ん!

理子:大丈夫?

3年生が抜け新たに生徒会に入る愛季と理子。

〇〇:うん…大丈夫だよ。

愛季:頼むよ生徒会長!

〇〇:まだ違うよ。

この学校では卒業式を終えた後、会長が交代する。

理子:小田倉先輩が卒業って…寂しい?

〇〇:まぁ1年間一緒に仕事してからね。

理子:ほんとにそれだけ?

〇〇:え?

愛季:好きな人と会えなくなる…
だから寂しいんでしょ?

〇〇:…。


理子:今日は卒業式の日。
〇〇くん以外にもそう思って
小田倉先輩に告白する人がいるかもしれないよ?

〇〇:うん…

愛季:それで…いいの?

〇〇:よくはない…でも…

愛季:でも?

〇〇:僕が好きですって伝えて…
ダメだったらと思うと…

理子:じゃあ先輩が
誰かの告白オッケーしてもいいの?

〇〇:…いやだ。

愛季:じゃあ言いなさい!!

〇〇:うん…。



--


3年生の教室…

璃花:とうとう卒業式だね。

麗奈:うん。なんかあっという間だったね。

璃花:…大丈夫そう?


麗奈:うん!答辞はいっぱい練習したよ!
生徒会長の最後の仕事だもん!

璃花:それもそうだけど…

麗奈:?

璃花:〇〇くんはどうするの?

麗奈:えっ!?

璃花:今日で私たち卒業だから
会えなくなっちゃうかもよ?

麗奈:うん…

璃花:告白…しなくていいの?

麗奈:む、無理だよ!

璃花:なんで?

麗奈:もしダメったらって…

璃花:も〜なんでそんな内気なの!

麗奈:だ、だってぇ〜…

璃花:だってもなにもないっ!
〇〇くんともう会えなくなってもいいの!?

麗奈:…やだ。

璃花:じゃあもう告白しなさいっ!
卒業式の後、生徒会室で引き継ぎがあるでしょ!
そこで言いなさい!

麗奈:…うん。



--


"それではこれより櫻坂高校、卒業式を行います。"




……



"在校生送辞。
在校生代表、2年B組大園〇〇。"


〇〇:はいっ!


スタスタ

〇〇:厳しい冬の寒さの中にも、
春の訪れを感じることの出来る季節となりました。
本日、晴れて櫻坂高校卒業式を
迎えられた皆さん、
ご卒業おめでとうございます。
在校生を代表し、心よりお祝い申し上げます…


麗奈:…。


壇上で堂々と…
凛々しい表情で送辞を読む〇〇を見つめる麗奈。


麗奈:(やっぱり…かっこいい…)

〇〇:先輩方がご卒業した後の
ぽっかりと空いた教室。
それを見ることになると思うと
寂しくてなりません。
しかし、これまで先輩方が築き上げてきた
櫻坂高校の伝統を引き継ぎ、
後輩達を引っ張っていきたいと思います。


私たちは先輩方の後輩として
この櫻坂高校で過ごせたことを
心から誇りに思います。
これまで本当にありがとうございました。 
先輩方のご健康とご活躍を祈念して、
在校生代表の送辞とさせていただきます。



パチパチ


愛季:すごい立派だね…ボソッ

理子:ありゃ惚れる人いるよボソッ



"卒業生答辞。
卒業生代表、3年B組小田倉麗奈"

麗奈:はい!


スタスタ


麗奈:肌寒い風が吹きつつも、
暖かい日差しが私たちを照らす、
今日この日、私たち卒業生のために
このように晴れやかな卒業式を
挙行していただき、心より感謝いたします。
こうして無事旅立ちの日を
迎えることができました。
本当にありがとうございます…



〇〇:(綺麗だ…)

〇〇も先程の麗奈と同じように見つめていた。


麗奈:後輩たちに伝えたいことがあります。
私たちは本日でこの学園を去ることになりますが、
今まで私たちが教えてきたことと
自分たちが今まで
櫻坂高校で過ごしてきた中で培ってきた
経験があれば、後輩たちへバトンを
つないでいけるはずです。
櫻坂高校の卒業生として期待しています。
頑張ってください。

最後になりましたが、諸先生方のご健勝と、
学園のさらなる発展を祈念し、
卒業生の答辞といたします。

パチパチ


理子:小田倉先輩も立派…ボソッ

愛季:さすが生徒会長…ボソッ


--


卒業式後…


理子:卒業式、お疲れ様!

愛季:送辞、かっこよかったよ!

〇〇:ありがとう…

理子:この後生徒会室行くんでしょ?

〇〇:うん。引き継ぎとかあるから。

愛季:それじゃ行こっ!


--


麗奈が生徒会室に向かっている途中…


"あっ!小田倉さん!!"

麗奈:ん?

ある1人の男子生徒が話しかけてきた。

麗奈:あ、△△くん…。

△△:ちょっと今いいかな?

麗奈:うん…どうしたの?

△△:実は…その…


--


理子:ん?

愛季:あれって…

〇〇達3人も生徒会室に向かっている途中、
麗奈が目に入った。

△△:ずっと好きでした!!
付き合って下さい!!

麗奈:え…

〇〇:!?

愛季:うそ…

理子:マジ!?

〇〇:…

スタスタ

理子:〇〇くん?

〇〇:やっぱ無理か…

理子:え?

〇〇:あの告白した人、
この学校で1番人気のある先輩だよ。
サッカー部でエース、人当たりもいい完璧な人…
そんな人から告白されてるんだ、もう勝ち目は無いよ。

スタスタ

愛季:〇〇くん…


--


〇〇:…

〇〇は生徒会室に1人でいた。

〇〇:(やっぱり僕には高嶺の花だったか…)

麗奈の座っていた生徒会長の椅子を見つめ、
そう考えていた。

〇〇:はぁ…

ガラガラ

麗奈:ごめん!お待たせ!

〇〇:うえっ…あぁ大丈夫ですよ。

麗奈:それじゃ早速引き継ぎしちゃおっか!

それから〇〇と麗奈は生徒会の仕事の話をしていた。

麗奈:よし…こんなもんかな。

〇〇:わかりました…

麗奈:がんばってね!"会長くん"!

麗奈は満面の笑みでそういった。

〇〇:はい…。

だが、今の〇〇にはあまりにも辛い笑顔だった。

麗奈:そ、それにしても、もうここに来ないんだね…

〇〇:そうですね…

麗奈:そ、それにしても、
り、璃花とかみんな遅いね💦

〇〇:…小田倉先輩。

麗奈:ん?

〇〇:生徒会で一緒になってから
本当にお世話になりました…
ありがとうございます。

麗奈:うん…

〇〇:大学に行っても…頑張って下さい。
では…

〇〇は生徒会室を出ようとする。

麗奈:ま、待って!!

〇〇:…。

麗奈:わ、私からもありがとう…
〇〇くんが副会長でいてくれたから
最後まで会長でいれた…。
本当にありがとう。

〇〇:いえ…。
それでは…。

麗奈:なんで…。

〇〇:え…。

麗奈:なんでそんなすぐに出ていこうとするの…。

〇〇:…彼氏さんに申し訳ないんで。

麗奈:え…。

〇〇:さっき△△先輩に告白されてましたよね?

麗奈:え、あ、うん…

〇〇:だから△△先輩に申し訳ないんです。
だから…

麗奈:ち、違うの!!

〇〇:え?

麗奈:確かに△△くんには告白された…


--


△△:ずっと好きでした!!
付き合って下さい!!

麗奈:△△くん…ありがとう…。

△△:えっ!じゃあ!!

麗奈:でも…ごめんなさい。

△△:えっ…

麗奈:△△くんの気持ちは嬉しい…
でも他に好きな人がいるの…

△△:そっか…

麗奈:本当に…ごめんなさい。

△△:ううん、いいんだ。
僕も言えてスッキリしたから。
それが叶うといいね。

麗奈:…ありがとう!

--


麗奈:私には好きな人がいるの…。
だから断った。

〇〇:そう…ですか…

麗奈:…〇〇くん。

〇〇:はい…。


麗奈:私は…あなたの事が心から大好きです。
私と…付き合って下さい!!

〇〇:先輩…僕から一つ謝らせて下さい。

麗奈:え…

〇〇:さっきまで僕は先輩に
彼氏ができたと思ってずっと不貞腐れてました。
ごめんなさい。

麗奈:うん…

〇〇:僕は今すごい後悔してます。

麗奈:後悔?

〇〇:先輩に対してそんな態度をとってしまった事。
それに…先輩から告白させてしまったことです。

麗奈:…。

〇〇:だから僕からも言わせて下さい。
僕は…小田倉麗奈さんが大好きです。
僕と…付き合って下さい!!

麗奈:…はいっ!!

〇〇:よかった…。

麗奈:私も…ずっと好きだったから…。

〇〇:僕も…。
僕たちずっと両思いだったんですね…。

麗奈:そうだね笑

〇〇:クリスマスの時に
一緒に買ったキーホルダー…
ずっと大切にしてます。

麗奈:私も…これ。

麗奈はスマホケースの裏に入ってる
チェキを取り出した。

麗奈:これとか〇〇くんが買ってくれた
お守りとかペンを持って受験したの。
だから合格できたんだと思うの…。

〇〇:お役に立ててよかったです笑


ガタンッ

〇麗:!?

理子:うぅ〜…

愛季:よがっだぁ〜

璃花:やっと付き合った〜

麗奈:璃花!?

〇〇:谷口さんに遠藤さん!?

見守り隊の3人が泣きながら入ってきた。

理子:2人は両思いなのに…

愛季:中々付き合わなくてヤキモキしたけど…

璃花:付き合ってよかった〜

〇〇:は、はぁ…

璃花:はいっ!
出来立てホヤホヤのアツアツカップルは
早く帰った帰った!

〇〇:えっ、あ、でも…

麗奈:引き継ぎとか…



璃花:そんなの私たちでやっとくから!

3人にグイグイと押し出される〇〇と麗奈。

〇〇:ち、ちょっと!!

愛季:いってらっしゃ〜い!

バァン!

〇〇:締め出されちゃいました…ね。

麗奈:そうだね…。

〇〇:帰りましょうか…

麗奈:うん…。


--

2人並んで校門を出る。

麗奈:ねぇ〇〇くん…。

〇〇:はい?

麗奈:手…つないでもいい?

〇〇:へっ!?

麗奈:今まで理由つけてたけど…
こ、恋人になったからいいかなって//

〇〇:そ、そうですね…そ、それじゃ…

ギュツ🤝



麗奈:ふふっ笑 あったかい//

〇〇:はい…

麗奈:じゃあ…帰ろ?

〇〇:はいっ!

--

道中…

〇麗://

恥ずかしさからか無言で歩く2人?

麗奈:な、なんかずっと照れるね//

〇〇:はいぃ//

麗奈:何度か手繋いでるのに
いざ恋人とってなると//

〇〇:そ、そうですね//

麗奈:でも同時に嬉しい…

〇〇:ぼ、僕もです//

麗奈:改めて…これからもよろしくね!

〇〇:はい!


--

麗奈の家の前…


〇〇:小田倉先輩…
改めてご卒業おめでとうございます!

麗奈:ありがとう…
ねぇ…一ついい?

〇〇:はい?

麗奈:もう卒業して恋人になったからさ…
麗奈って呼んで欲しい//

〇〇:えっ!?

麗奈:だめ…?

〇〇:わ、わかりました!
ん"ん"っ!…麗奈…さん。

麗奈:うん…いい!

〇〇:よかったです。

麗奈:それじゃ…またね。

〇〇:はい、また…

〇〇は振り返って帰ろうとする。

麗奈:〇〇くん!!

〇〇:はい?…って!?

ギュッ

麗奈は〇〇に抱きついた。

麗奈:〇〇くん…大好きだよ。

〇〇:麗奈さん…僕も大好きです。

麗奈:じゃあ…またね!

〇〇:はいっ!


卒業式の日…


先輩と後輩…

会長と副会長…

両片思い…

様々な関係から"卒業"した2人。

この後の2人は一体どうなるやら…



ちなみに…

理子:きゃあぁぁぁ!!

愛季:ハグしちゃったぁぁ!!

璃花:すっごい初々しい笑


見守り隊はしっかり尾行してました。

理子:あ、離れた。

愛季:キスぐらいすればいいのに…

璃花:先は長いよ笑



Fin

いいなと思ったら応援しよう!