駆け抜ける坂道 Sector8
駆け抜ける坂道 Sector8 <狂犬>
○○と小林のバトルの日。
櫻神峠の頂上にでは
小林、理佐、天が○○達を待っていた。
天 :いよいよこの日だね!
理佐:どう?今の気分は。
小林:すごいわくわくしてる。
ここまでの気分は今までにないよ。
天 :作戦は大丈夫だよね?
小林:うん!いつもデータありがとうね!
それに向けて車も仕上げた。
天 :エッヘン!
理佐:どんな感じにしたの?ゆいぽんのインプレッサ。
小林:そうだね…。
トータルにして…300馬力くらいかな。
理佐:300!?前は380はあったはずだよ!
天 :それじゃデチューンじゃん!
※デチューン:パワーなど性能を落とす事。
小林:そういうことになるね。
理佐:どうしてそうなったの?
小林:私はね?下りと登り両方に対応できる車を
作ってた。
それでも勝てる自信があったから…。
理佐:…。
小林:だから今回のデチューンは私にとって屈辱…。
プライドを捨ててでも勝ちに行く。
理佐:ゆいぽん…。
天 :由依さん。
ブーン…
遠くから○○達のスキール音が聞こえる…。
理佐:来たみたいだね…。
小林:理佐、天…。私ね、昔から夢があるの。
理佐:?
小林:誰にも負けないそんなドライバーになるって。
そして日本一のチームを作るって。
理佐:チーム…。
小林:そのドライバーは私が走る…。そう思ってた。
天 :…。
小林:でもこいつには抜かされるだろうなって
人もいる…。
理佐:それって…。
ブーン…
○○の86が入ってきた。
天 :○○…さん?
心配そうな目で小林を見つめる天。
小林:そんな心配しなくても大丈夫だよ。
今はまだ負ける気はないよ。
天 :由依さん…。
――
スタートラインに並んだ○○と小林。
小林:ありがとね。バトル受けてくれて。
○○:い、いえ。
小林:君の過去についても調べさせてもらったよ。
土田○○ってのは君だったんだね。
○○:そうですね。
小林:でも私は“土田”○○じゃなく“神本”○○に
興味がある。
○○:どうしてです?
小林:わかんない笑 でも今はすごいわくわくしてる。
○○:…。
小林:だから…今夜は最高のバトルにしようね!
○○:よろしくお願いします。
2人は車に乗り込む。
森田:カウントいきまーす!!
ヴォン、ヴォン…。
土生:ワクワク
菅井:神本君…。
田村:○○くん…負けるんやないで!
理佐:ゆいぽん…。
天 :由依さん!!がんばれー!!
森田:5,4,3 …。
小林:絶対に…勝つ!
○○:考えても仕方ない。やれるだけやってやる!
森田:2、1 …ゴー!!
ブン、ブーン!!
2台はロケットダッシュを決めた。
森田:いっけー!○○くん!!
2台が第1コーナーに突っ込む。
先に入ったのは…。
菅井:神本君が先行!?
○○だった。
土生:よ~し、そのままいっけ~!!
田村:由依さん…もしかして…。
天 :予定通り…ってことだよね。
理佐:そうだね。
――
○○:先行か…。
小林:さてお手並み拝見と行こうか!
――
田村:○○くんが先行か…。
菅井:このまま逃げ切れますかね…。
田村:どうやろ…。厳しいかもな…。
森田:なんで?
田村:○○くんは峠でのバトルの経験が浅い。
ましてや先行で走るのはほぼ初めて。
そうなった場合、ペースを作るのは○○くんや。
菅井:それでなんで厳しんです?
田村:峠のコーナーなんて先に何があるかわからない。
後追いなら先行してる車の突っ込みを参考に
攻めれる。
だけど、先行はかなりの集中力を必要とする。
それが○○くんが最後まで続くか…。
菅井:(神本くん…頑張って!)
――
○○:無理に抜きに来ない…。嫌な距離感だな…。
2台の距離は5メートルほどだった。
○○:離れたくても立ち上がりで追いつかれる。
やっぱ四駆ははえーな。
小林:さすがひかるに勝っただけのことはあるね。
でも隙はある…。
――
土生:ゆっかー。小林さんの車ってどんなの?
菅井:あれはインプレッサ。
WRCに勝つために作られた車だよ。
土生:WRC?
菅井:WRC…世界ラリー選手権。
土や雪とかの悪路を走る競技。
そこに向けて作られた車だから峠には
うってつけだよ。
田村:しかもチューニングしたのは
あの小林エンジニアリング。
あそこはモータースポーツもやってるからね。
そこで得たノウハウがあるから、
あの車は完璧に近い完成度になってる。
森田:しかもそこに由依さんのドラテク…。
こりゃ厳しいね…。
菅井:小林さんってクレバーな方って言ってましたけど
どんなドライビングなんですか?
田村:自分からは崩れない。
相手の弱点や隙をついてくる。
森田:しかも一度前に出たら抜かされない…。強敵だよ。
――
○○:きついな…。
2台は1/4を走り終えた。
○○:さっきから背中にプレッシャーが
嫌というほど伝わってくる…。
小林:いいねぇ!やっぱりこれくらいやってくれなきゃ!
ヘアピンに差し掛かる。
○○:それっ!
○○は華麗なドリフトでコーナーをクリアしていく
“おおー”
それにギャラリーも沸く
小林:さすがだね。でもFRと四駆じゃ
ドリフトの次元が違うんだよ!
小林は○○よりも速いスピードでコーナーに突っ込む。
小林:限界に近いスピードで突っ込んで…。
素早いハンドル操作と巧みなアクセルワークで
ドリフトをする。。
小林:全開で曲がる!!
○○よりも速いスピードでコーナーをクリアする。
“おおーやっぱはえー!!”
○○:コーナーでもストレートでも俺より速い…。
でもなんで抜きに来ない!
――
プルルルル…
天 :あ、由介さんから電話だ。
理佐:スピーカーにして!
ピッ
由介:天か?
天 :由介さん!どうですか?
由介:今第1ヘアピンにいるんだけど。
まだ86先行だね。
理佐:ゆいぽんは?
由介:しっかり張り付いてる!
タイミング図ってる感じだな。
理佐:わかりました。ありがとうございます。
ピッ
理佐:今のとこ順調かな。
天 :そろそろ仕掛けるんですかね。
理佐:多分ね。
――
理佐と天の電話を聞いていた菅井達。
森田:今はまだ先行してるみたいだね…。
田村:でもまだ3/4くらい残ってる…。
まだ気は抜けないよ。
菅井:神本くん…。
――
半分を下り終えた所…。
小林:この先は右へ左へとコーナーが連続するところ…。
そこで仕掛けよう…。
小林は○○の車にピッタリ張り付いた。
○○:さっきまでの気配とは違う…。何か来る!!
連続するコーナーの一個目に差し掛かる。
小林:君の弱点は…そこだよ!
○○:なに!?
Next Sector…
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