駆け抜ける坂道 2nd stage ーSector29－
2nd stage ーSector29－〈神業〉
神楽峠、頂上…
ブーン…
理佐：あっ、来た。
〇〇が先行したままパイロンターンに入る。
ブーン…
天 ：このまま折り返してダウンヒル勝負！
〇〇：よしっ！
飛鳥：…
ブン、ｷｬｧｧｧｧ
理佐：！？
天 ：えっ！？
〇〇：なんだよそりゃ！？
ｷｬｧｧｧｧｧ
飛鳥は〇〇の横に飛び出し、
ほぼ同じタイミングでターンに入った。
〇〇：っ！？
飛鳥：…。
ブーン…
先にターンを終えたのは飛鳥。
〇〇：…やられた。
天 ：あっぶな〜なんて無茶な…
あそこで抜きにくるなんて…
一歩間違えれば正面衝突だよ！！
理佐：いや…違う。
天 ：えっ？
理佐：ターンインに入るのが相手の方が
コンマ何秒か早かった。
だからラインの優先権を奪われた…。
天 ：そんな…。
－－
ﾋﾟｯ
由依：やっぱり、見逃してくれなかったか…
ひかる：あそこで抜かれるなんて…
保乃：これで抜き返さないと…
〇〇くんの負け…
土生：プロを相手に…
友香：〇〇…
－－
ブーン…
飛鳥：とりあえず、上手く行ったな。
〇〇：くっ！さっきのターンで少し離された…
ブーン…
〇〇：今度は追いつくだけじゃダメ…
抜き返さないと…
ブーン…
〇〇：俺に…出来るか？
プロを相手に…
ブン、ｷｬｧｧｧｧ
〇〇：いや…出来るかじゃない。
やるしかないんだ！！
ブーン…
〇〇：今出来る…最高の走りを！！
ブーン…
－－
美月：さすが飛鳥さんだね。
美波：普通あんなとこで抜きにかからないよ。
美月：やっぱ神様だわ…
祐希：このまま行けば勝てる！！
美波：こっからは飛鳥さん、全開だろうな…
－－
ひかる：由依さん…〇〇くんは勝てるんですか？
由依：もう後は〇〇くんのセンスを
信じるしかない。
保乃：由依さんだったらどう攻めます？
由依：この状況だったら私じゃなくても
大体の人は重量の差をつくと思う。
そこは腕とかセンスは関係ないから。
保乃：なるほど…
由依：ただプロの場合、
それをカバーする技術も持ってると思う。
それに〇〇くんが対応できるかどうか…
友香：(〇〇…頑張ってね…)
－－
美波：…そうわかった。
ﾋﾟｯ
美波：中間地点の報告だと差は
広がってない。
むしろ縮まってるらしい。
美月：えっ？
祐希：なんで…
美波：恐らく…タイヤかな。
美月：結局はそこなのね…
どうしようも出来ない…。
美波：でも飛鳥さんだから
打開策はあるはず…負ける訳ない…。
－－
ブーン…
ｽｽﾞｯ
飛鳥：！？
〇〇：ん？
ブン、ｷｬｧｧｧ
ｽﾞｽﾞｯ
飛鳥：マズい…
タイヤがしんどくなってきたな…
ブーン…
飛鳥：向こうは追いついてきてる…
ブーン…
飛鳥：こうなったら…
ブン、ｷｬｧｧｧｧ
〇〇：！？
－－
美波：えっ！？本当！？…わかった。
ﾋﾟｯ
美波：嘘でしょ…
美月：どうしたの？
美波：飛鳥さん、ドリフトし始めたって。
美月：えっ！？
祐希：ほんとに！？
－－
ひかる：ドリフト！？
保乃：R32は四駆やろ！？
そんなん出来へんやん！？
土生：そうなんですか？
由依：R32GT-RにはアテーサーETSって言う、すごいトラクション制御装置がついてる。
それが横に滑って分かるとトラクションの配分を変えてドリフトをやめてしまうの。
ひかる：一体どうやって…
由依：とんでもないアクセルワークに
よるものだと思う。
さすがはプロってとこね。
友香：でも〇〇なら勝てる！
いっつもこんな逆境を跳ね除けてきたんだから！
ひかる：…ふふっ笑
友香：えっ？
ひかる：そーだよね！
保乃：〇〇くんは絶対に諦めない！
私達が諦めてもしゃーないわ！
－－
飛鳥：これで…どう！！
ブン、ブン、ｷｬｧｧｧｧｧｧｧ
〇〇：速い！あの車でドリフト…
やっぱプロはすげぇ…
ブーン…
〇〇：でもこっちだって！！
ブン、ブン、ｷｬｧｧｧｧ
飛鳥：！？
〇〇：日向峠でやった小坂さんの時もそうだったけど…FR乗りとして、ドリフトでは負けらんない！！
ブーン…
－－
ひかる：またドリフト対決…
保乃：どんだけプライドあんねん…
由依：まぁそれほど若いってことよ。
もう理屈じゃどうにもならない。
友香：でもこっちの方が有利になりません？
土生：どう言うこと？
友香：車の重さだったらこっちに分がある。
だったらタイヤもこっちが有利になる！
由依：その通り。
だからこの勝負、まだわからないよ。
－－
美波：86もドリフトしてくるなんて…
美月：でもこのまま行けば飛鳥さんの勝ちだし…
祐希：どうなるんだろ…
Next Sector…
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