恋愛漫画ってどうかくの?
○○:先生?いますかー?
僕は○○。欅出版でとある漫画家の担当をしている。
○○:先生?原稿の方取りにきましたー!
今、その漫画家の家に来ているのだが反応がない。
○○:入りますよ~…。
僕は以前もらった合鍵で中に入る。
○○:長沢先生…居留守使わないでくださいよ…。
菜々香:…。
僕の目の前で机に突っ伏してる女性が担当している
長沢菜々香先生。
○○:新作の方はどうですか?
菜々香:…浮かばない。
○○:締切まで日にちないですよ。
菜々香:…無理。
○○:そういわないで!僕も怒られるんですから!
奈々香:無理なものは無理…。
○○:せっかく前作が大好評で終わったんですから…。
長沢先生は以前パティシエのサクセスストーリーもので
ヒットした。
そして今は新作を書き始めている。
○○:にしても、なんでまた純愛ものしたんですか?
菜々香:その方が売れそうだし…。少女漫画誌だし…。
僕の勤めている欅出版には月刊カチューシャという
少女漫画誌でトップの実績を誇る雑誌がある。
長沢先生もそこで書いていた。
○○:今どの段階ですか?
菜々香:出会いは書けたけどデートシーンが…。
○○:どう書けないんですか?
菜々香:デートそのものがわからない…。
○○:う~ん、登場人物はどんな設定でしたっけ?
菜々香:ヒロインは陰キャの地味な子で恋というものが
わからない。
相手の男の子はそんなに目立つタイプでは
ないけどとにかく優しい。
その二人のうぶな恋物語の予定。
○○:なんかリアルですね…。
菜々香:まぁ…。モデルはいるので…。
○○:ほぉ~。誰です?
菜々香:そ、その~…。と、友達!高校の頃の友達!
○○:ふ~ん。
じゃあその友達にどんな感じだったか
聞いてみればいいじゃないですか。
菜々香:そうですね…。う~んどうすれば…。
先生はまた机に突っ伏してしまった。
菜々香:そうだ!○○さん!
先生が突然立ち上がって
菜々香:今から出かけませんか!?
○○:いや、原稿…。
菜々香:気分転換と情報収集です!
○○:しかし…。
菜々香:お願いします!今日だけ!!
○○:はぁ~、わかりました。
菜々香:じゃあ行きましょう!
――
そういって来たのは大型のショッピングモール。
○○:で?ここにきて何するんですか?
菜々香:その…服見ようかなって。お出かけ用の…。
普段先生はほぼ出かけない。
それなのになぜ?とは思ったが期限を損ねても
あれなので…。
○○:わかりました。行きましょう。
…ギュッ
○○:えっ…。
先生が急に手を握ってきた。
菜々香:そのっ…、今日はこうしててもいいですか?
先生が上目遣いでそういってきた。
先生は第三者から見ても可愛い人だ。
急なことでドキッとしてしまう。
○○:えっと…その…。
菜々香:あ、あれですよ!
今書いてる作品の参考の為にですからね!
○○:そ、そうですよね!
菜々香:い、行きましょ!
僕ら2人は手をつないだままアパレルショップに入った。
菜々香:う~ん。
先生はずっとうなりながら服を見ている。
菜々香:○○さん。
○○:はい?
菜々香:これ…試着してきていいですか?
○○:あぁ、いいですよ。
先生が一着の服を持って試着室に入って行った。
しばらくして…。
菜々香:○○さん…、どう…ですか?
○○:…!?
試着室から出てきた先生はいつもとは違う
大人の雰囲気だった。
○○:いいですね。すごい…大人っぽくてきれいです。
菜々香:あ、ありがとうございます///
じゃこれ買ってきますね!
お会計を済ませた僕らは店を出たあとご飯を食べる為、
レストランに向かった。
その間も手はつないだままだった。
○○:何食べます?
菜々香:えぇっと、チーズオムレツで…。
○○:わかりました。すいませ~ん。
注文を済ませ、待っている間…
○○:そうだ!これあげます!
僕は先生に一つの袋を渡した。
菜々香:これは…、ベレー帽?
○○:さっきのお店で見つけたんです。似合うかなって。
菜々香:でも…。
○○:まぁ、新作頑張ってくださいっていう
僕からの気持ちということで。
菜々香:あ、ありがとうございます///
そんなやり取りをしていると、料理が運ばれてきた。
〇菜:いただきます。
僕はチーズハンバーグを食べていたが、
先生のオムレツがすごいおいしそうに見える。
菜々香:あの~どうしました?
○○:へ?
菜々香:ずっとオムレツ見てるので。
○○:あぁ、なんかおいしそうだな~って。
菜々香:食べますか?
○○:そ、そんな…。悪いですよ!
しかし…
菜々香:あ、あーん…。
○○:せ、先生!?
菜々香:は、早く食べてください///
恥ずかしいんですから///
○○:は、はい…
パクッ
菜々香:ど、どうですか?
○○:お、おいしいです…。
菜々香:よかった…。
先生は顔が真っ赤だった。
それを見ていると自分の顔まで
熱くなってくるのがわかる。
――
ご飯を食べた後、僕は先生を家に送っていた。
もちろんその間も手はつないだまま。
それにさっきあげたベレー帽をかぶっている。
○○:どうでした?気分転換になりました?
菜々香:はい。今日はありがとうございました。
なんだろう、今日にの先生はやけに積極的だったな。
おかげでこっちも変に意識してしまう。
○○:じゃあこれで新作書けますね!
菜々香:うっ、は~い。
○○:ふふっ笑 頑張ってくださいね!
話しながら帰っていると先生の家の前に着いた。
○○:じゃ、先生。また明日適当な時間に来ますから。
菜々香:はい。えぇっと…。
先生が急にモジモジしだした。
菜々香:その…ちょっとうちで話しませんか?
○○:はい?
菜々香:新作のことで…。
○○:あぁ、いいですよ。
僕は先生の部屋に入った。
○○:それで?新作の参考になりましたか?
菜々香:そのことでなんですけど…。
○○:?
菜々香:この新作のモデル…私なんです。
○○:へ?
菜々香:私は学生の頃から漫画のことしか
考えてなくて…。
こんな気持ちになるのは初めてなんです。
○○:?
その言い方だと今しているみたいな感じですけど。
菜々香:はい…。たった今しています。
それで今日出かけてもらったんです。
○○:それって…。
菜々香:はい。私、○○さんのことが好きです。
○○:先生…。
菜々香:○○さんはいつもそばにいてくださって、
ずっと見守っててくれる。
そんな○○さんが大好きです。
だからこれからは作家と担当という
関係ではなく…。
彼氏と彼女という関係になれませんか?
○○:はい。お願いします。
菜々香:○○さん…。
○○:僕も今日で分かりました。先生のことが好きです。
菜々香:ありがとうございます!
○○:これで新作進みますね!
菜々香:はい!頑張れます!!
それから先生は鬼のスピードで書き上げていった。
デートに行ってはその出来事を漫画に
書くので少し恥ずかしいけど…。
漫画みたいな恋って聞くけど僕らの場合は…
漫画になった恋だった。
Fin
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