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静かな大学のマドンナと意外な場所で会った話。





田舎から上京して2年目…

大学生活も板について来た。

これといって浮き沈みもなく平凡に過ごしていた。


友人:〇〇!

〇〇:ん?どした?

友人:今日も"遠藤さん"綺麗だよな〜

そう言う友人の視線の先には同じ学部の同級生、
遠藤さくらさんがいた。

顔、スタイル、なにから何まで完璧だ。
憧れるのも無理はない。
俺も多少なりとも関心はある。

友人:彼氏とかいるのかな?

〇〇:さぁ?

友人:でも遠藤さん、
男の人と一緒にいるとこみないよな?

〇〇:そういやそうだな…


前に一度ペアワークで話す事はあったけど、
必要最低限の会話しかしていない。

その時の印象は物静かな子。
マドンナだけどあんまり派手なタイプではない。

恐らく人見知りなんだろう。

まぁあれだ。
全女性が男性に興味があるわけではないし。

友人:はぁ〜あんな子と付き合いてぇなぁ〜

〇〇:憧れるのはやめましょう。

友人:急なモノマネやめて?

〇〇:でもあの感じ、ハードルは相当高いぞ?

友人:そうだよな〜


--


ある週末…

地元で就職した幼馴染の△△が休暇が出来たと言い、
東京へ遊びにくることになった。


△△:お〜い〇〇〜!

〇〇:おう、よく来たな。

△△:やっと来れたぜ…

〇〇:それで?どっか行きたいとことかあるのか?

△△:あぁ…俺はあそこに行きたいんだ!!!

--

数十分後…

〇〇:…でなんでアキバに来たんだ?

△△:そりゃここに来たなら…ここしかないだろう!!

そう言って△△はある看板を指差した。

〇〇:えっと…メイド喫茶?

△△:そうだっ!

〇〇:なんでまた?

△△:だってお前考えみろ?
可愛い女の子達が可愛いメイド服を着て
相手してくれんだぞ?
こんなの行くっきゃないだろ!!

〇〇:はぁ…まぁ金はかかるけどな。

△△:ふっふっふっ…それは心配するな!
こちとら働いてんだ!金はある!
これの為に貯め込んでたんだからなぁ!!

〇〇:お前…言ってて悲しくなってこないか?

彼女なしも拗らせるとこうなるのか…

俺は興奮気味の幼馴染に連れられ入店した。

--

"お帰りなさいませぇ♡ご主人様ぁ♡"

△△:おぉ…て、天国だぁ…

店に入ると数人のメイドさんにお出迎えされ、
△△は頬が緩みっぱなしだった。

〇〇:そんな大袈裟な…っ!?

そのメイドさんの列に目を映すと
ある1人のメイドさんと目があった。

そしてその人は見覚えがあった。

〇〇:(まさか…遠藤さん!?)

そう。
うちの大学のマドンナである遠藤さんによく似ていた。

だが、大学にいる時の雰囲気からして
こんなところでバイトしてるとは考えにくい。
他人のそら似だろう。

--

△△:さぁてどれ頼もうかなぁ〜
やっぱオムライスは外せないよな〜

〇〇:…

メニューを目の前に悩んでいる幼馴染を尻目に、
俺はさっきの遠藤さんらしき人を探していた。

〇〇:まさか…な。

△△:なぁ…なぁ!

〇〇:ん?

△△:ん?じゃねーよ!
メニュー決めたのか?

〇〇:あぁ、悪い。
俺はこのカフェラテでいいや。

△△:それだけでいいのか?

〇〇:元々付き添いだしな。

△△:そ。
すいませ〜ん。

"は〜い!"

〇〇:!?

△△が呼ぶと遠藤さんらしきメイドさんがやって来た。

さくら:お、お待たせしました!
担当させて頂くさくらです!

さくらって…名前まで一緒だし…

△△:このオムライスとカフェオレ2つで!

さくら:か、かしこまりました!
少々お待ちくださいご主人様!

そう言って遠藤さんらしき人…
と言うか遠藤さんはキッチンの方に向かった。

△△:なぁ、今の人めっちゃ可愛くなかった!?

〇〇:え、あ、あぁ…

△△:あ〜東京来てよかった〜!!

〇〇:はぁ…

--

さくら:お待たせしましたご主人様!

しばらくすると遠藤さんが注文の品を持ってやって来た。

さくら:そ、それでは美味しくなる
おまじないをさせて頂きます!
わ、私に合わせてお願いします!

△△:はいっ!!

さくら:お、おいしくなぁ〜れ!
萌え萌えキュン!

△△:おいしくなぁ〜れ!
萌え萌えキュン!!

さくら:あ、ありがとうございます!
それではごゆっくり!!

そう言って遠藤さんは足早に
キッチンの方へ戻って行った。

△△:くぅ〜さいっこう!!
このオムライスも今まででいっちばんうまい!!

〇〇:そりゃよかったな…

あのメイドさん、
姿こそ遠藤さんそのものだったが
大学のキャラとは大きくかけ離れている。

きっと違う人だろう。

そう自分の中で納得させていた。


--

翌日…

〇〇:ふぁ〜あ…

結局あの後は居酒屋でしこたま酒を飲み、
メイドさんの魅力について延々と語られた。

〇〇:ったく…こっちはまだ学生なのに…

そう文句を呟きながら教室へ向かっていた。


ガシッ

〇〇:えっ!?

突然誰かに手を掴まれた。

グイッ!

そしてそのまま引っ張られた。

〇〇:誰…って遠藤さん!?

さくら:いいから来て!

そう言って俺は遠藤さんに引っ張られ続けた。


--

さくら:はぁ…はぁ…

しばらく引きずられ、人気のない所に連れてこられた。

〇〇:え…遠藤さん?

さくら:お願い!!誰にも言わないで!!

〇〇:へ?

遠藤さんがいきなり頭を下げてきた。

〇〇:ちょ、ちょっと待って!
何のこと!?

さくら:き、昨日のこと…

〇〇:昨日のこと?

さくら:私がメイド喫茶で働いてること!

〇〇:あれやっぱり遠藤さんだったのか…

さくら:うん…

〇〇:でもなんでメイド喫茶?
あんまりイメージに無いような…

さくら:高校の友達が働いてて誘われたの…
時給もよかったしアキバなら
大学から離れてるからいいかなって…

〇〇:なるほどな…
でも別に問題無いような…

さくら:恥ずかしいもん//

〇〇:わかった。
とりあえず言いふらすつもりはないから。

さくら:本当にお願いね!

--

と約束したのはいいけど…

さくら:ジーーーー

なんかすっごい見られてるんだけど?

一応講義中だから前見て?

また学食にいても…

さくら:ジーーーー

帰り道でも…

さくら:ジーーーー

〇〇:あのぉ〜遠藤さん?

さくら:?

〇〇:なんでずっと俺のこと睨んでるの?

さくら:誰かに言わないか心配で…

〇〇:言わないって…

さくら:それに…男の子とどう接していいかわからなくて…

〇〇:へ?

さくら:私…ずっと女子校に通ってたから…

〇〇:だとしたらよくあそこで働いてるね。

さくら:克服の為に…

〇〇:あ〜そう言うこと。

さくら:でもまだ緊張して話が中々…

〇〇:まぁ急には無理よな。

さくら:…そうだ!

〇〇:?

さくら:ねぇ…こんど一緒にお出掛けしない?

〇〇:え?

さくら:克服の為と…こないだの口止め料として…

〇〇:別に口止め料って名目じゃなくてもいいよ笑
普通に出かけよっか。

さくら:ありがとう!
あ、連絡先もらっていい?
後で詳細送るから。

〇〇:あぁ、大丈夫だよ。

その後連絡先を交換し、解散した。

落ち着いて考えてみれば大学のマドンナからのお誘い。

その事実になんだか緊張していた。

--

後日…

少し早めに待ち合わせの場所で待っていた。

さくら:〇〇く〜ん!

〇〇:あぁ遠藤さん…!?

さくら:ごめん、待った?

呼ばれて振り返るととてもおしゃれな遠藤さんがいた。

さくら:あれ?〇〇くん?

〇〇:…あっ、ごめん!

さくら:それじゃ行こっか。


--

その後、俺と遠藤さんは
ショッピングモールで楽しく過ごしていた。

さくら:う〜んどっちお洋服がいいかなぁ〜

〇〇:こっちの方かな。
この方がイメージと合ってる。

さくら:ほんと!?
じゃこれにする!お会計してくるね!

そう言ってレジに向かった。

あれ?なんかカップルっぽくね?

なんかいい雰囲気だしこのまま…

さくら:おまたせ!

そんな考え事をしていたら遠藤さんが戻ってきた。

〇〇:ううん、大丈夫。

さくら:それじゃ行こっか。

〇〇:あ、ごめんちょっとトイレ行って来ていい?

さくら:うん、いってらっしゃい!

緊張からかずっと喉が渇いて水ばっかり飲んでいた。
そのツケがまわってきたんだろう。


--


私は今、同級生の〇〇くんと一緒にいる。


〇〇くんは一度ペアワークで一緒になっただけだった。

でも〇〇くんが私のバイト先に来てから
気になっていた。

最初は誰かに私のバイトのことを
話さないかどうかで気になっていた。

だけどそれじゃなくても気がつけば目で追っていた。

私は女子校出身でまともに男の子と
接したことがなかった。

この感情がなんなのかわかんなかった。

さくら:これが恋ってやつなのかな…

??:ねぇねぇ?君今1人?

さくら:え…

男1:これからさ〜俺と一緒に遊ばない?

さくら:えっと…と、友達を待ってるんで!

男1:だったらさ〜
そいつが来るまで一緒に居ようよ〜

さくら:え、いや…

どうしよう…これがナンパってやつか…

助けてほしくても声が出ない…

どうすれば…

〇〇:さくら!!

さくら:!?ま、〇〇くん!!

ギュッ

さくら:ふぇっ!?

私は〇〇くんに抱きしめられた。

〇〇:ごめん!遅くなった…

男1:ちっ、彼氏持ちかよ…

話しかけてきた男の人はどっかに行った…


〇〇:ふぅ…これで大丈夫…

さくら:うん…ありがとう…

〇〇:うん…ってごめん!!

私を抱きしめていた〇〇くんが離れようとした。

さくら:待って!!

ギュッ

私は離れようとする〇〇くんを抱きしめた。

さくら:好き…

〇〇:えっ…

さくら:こんな気持ち…初めて…
誰かを…好きになるなんて…

〇〇:うん…

さくら:お願い…私と付き合って下さい…

〇〇:遠藤さん…

さくら:遠藤さんじゃない…
さっきみたいにさくらって呼んで…

〇〇:…わかった、さくら。
これからよろしく。

さくら:いいの?

〇〇:うん…俺もさくらの事が好きだ。
今日も楽しかったしもっと一緒にいたいと思った。

さくら:うん…さくももっと一緒にいたい!


--


後日…

友人:今日も今日とて遠藤さんは綺麗だなぁ〜

〇〇:あぁ…

友人:なんか綺麗さに磨きがかかってないか?

〇〇:あぁ…

友人:あぁってお前話聞いてるか?

〇〇:あぁ…

友人:ったく…ってこっちに遠藤さんが来る!

さくら:〇〇く〜ん!

〇〇:さくら〜!

友人:さくら!?

さくら:ごめん!待った?

〇〇:ううん?大丈夫だよ。

さくら:えへへ笑 それじゃ行こっか!

友人:お前まさか遠藤さんと…

〇〇:そういうこと。

友人:いいなぁ〜

〇〇:憧れるのはやめましょう。

友人:モノマネ煽るな!!

〇〇:じゃあな。

友人:くっそぉーーー!!!!

〇〇:今日はどこ行く?

さくら:最近出来たお団子屋さんが
出来たからそこ行きたい!


それから俺たちは順調に交際を続けてます。


Fin

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