迷子を助けたらマジで人生変わった話。
"おい、〇〇!この資料今日中に作れ!"
〇〇:はい!
"〇〇!会議の準備できてるか!?"
〇〇:も、もうすぐ!!
社会人になり3年、
僕の入社した会社はいわゆる
ブラック企業。
毎日先輩や上司にこき使われている。
家に帰っても疲れが半端なく、
すぐに寝る。
これの繰り返しだ。
--
ある日…
〇〇:やっべぇーーー!!
寝坊したーーーー!!
疲れ過ぎていたのか、
起きたのが家を出る時間だった。
〇〇:とりあえず走れば間に合うか…
僕は全速力で会社に向かった。
"うぇーーーん!!!"
駅に近くと人混みに紛れて
女の子が1人泣いていた。
??:うぅ…ママどこー!
周りの人は女の子に見向きもしない。
僕も時間はないけど、放っておけないよな…
〇〇:君?大丈夫?
??:うぅ…ママがいない…
〇〇:君、名前は?
??:うぅ…しゃくら…
〇〇:さくらちゃんか。
とりあえずママに会えるまで
お兄さんと一緒にいよっか。
さくら:うん…
〇〇:よしよし…こわかったよね…
グゥ…
さくら:おなかすいた…
〇〇:よし!コンビニでなんか買おっか!
さくら:いいの!?
〇〇:うん!それ食べてママ探そうね!
さくら:うん!
--
さくら:モグモグ
〇〇:さくらちゃん?
ママってどんな感じの人かな?
さくら:えっとね〜お顔ちっちゃくて
すごいきれい!
〇〇:へぇ〜そうなんだ!
だからさくらちゃんも可愛いんだね!
さくら:えへへ〜しゃくかわいい?
〇〇:うん、可愛いよ!
"あ!さくら!!"
さくら:あ!ママー!!
??:もうどこ行ってたの!
さくら:ごめんなさい…。
でもこのおにいさんが
いっしょにいてくれた!
??:ごめんなさい!
ありがとうございます!!
〇〇:い、いえ!
さくらちゃんが困っていたので…
??:ほらさくらもお礼を言って!
さくら:おにいさん!ありがとー!
〇〇:どういたしまして!
ここで僕はある事を思い出した。
〇〇:あ!やばい!会社の時間!!
それじゃ僕はこれで!!
??:え?あ、ちょっと!
呼びかけられた気がしたが僕は気にせず
全速力で会社に向かった。
--
部長:おい!!お前今何時だと思ってんだ!!
〇〇:すみません…駅で迷子がいたので
その子の親を探していたら…
部長:そんな言い訳が通じると思ってんのか!
お前は1週間会社の掃除をしてろ!!
〇〇:はい…
--
〇〇:はぁ…
部長に言われ、僕は社内の掃除をしていた。
"いや、社長!今日も
ありがとうございました!"
廊下に出ると、部長が見慣れない女性と
話していた。
部長:今後とも是非!
我が社をよろしくお願いします!
??:えぇ。よろしくお願いします。
あれ?あの人って…
部長:ん?
おい〇〇!!
齋藤飛鳥社長がいらっしゃてるんだ!
その汚い格好出てくるな!!
〇〇:え、あぁすいません!
部長:すいません齋藤社長!
こいつこないだ大遅刻してきまして、
その理由が迷子の親を探してたとか
言ってまして…
飛鳥:…すいませんが。
先程の新規契約の話、
考えさせてもらえませんか?
部長:ええ!?
飛鳥:社員を大切にしていない会社とは
契約を結びたくありません!!
部長:そんな…どうか!!
考え直していただけませんか!?
飛鳥:…でしたら1つ条件を
のんでいただきます。
部長:条件…ですか?
飛鳥:彼を…うちに下さい。
〇〇:へ?僕を?
--
〇〇:…。
飛鳥:…ズズッ
えっと…どういう状況だ?
契約の条件として
僕が齋藤社長の会社に入ることを提示されて、
それで部長が2つ返事をした。
それで今は2人でコーヒーをきめている。
〇〇:あのぉ〜齋藤社長?
飛鳥:飛鳥でいい。
〇〇:えっと…飛鳥さん。
もしかしてですけど…さくらちゃんの…
飛鳥:うん、母親。
今朝は本当にありがとうございました。
〇〇:いえ…それよりなんで僕が
飛鳥さんの会社に?
飛鳥:別に?
君がうちの会社に必要と思った。
ただそれだけ。
〇〇:はぁ…。
飛鳥:まぁ…正確には"うち"だけど。
〇〇:?
飛鳥:とにかく、もう少ししたら
君の仕事場に連れていくから。
〇〇:はい…。
--
飛鳥:ここよ。
飛鳥さんに連れられてきたのは
オフィスビルではなく、
高層マンションの一室。
飛鳥:さ、中に入って。
--
中に入ると…
??:あ!ママ!
〇〇:あれ?さくらちゃん!?
さくら:あ!あさのおにいさん!
〇〇:えっと…これは…。
飛鳥:今日から君の仕事は
さくらのお世話係です!
〇〇:えっ!?
飛鳥:私、仕事で家を空けることが多いの。
それでこないだまでお手伝いさんをお願いしてたんだけど、その人が辞めちゃってね。
それで君にお願いしたいの。
〇〇:でも…何で僕なんですか?
飛鳥:人見知りのさくらがあの短時間で
懐く人って中々いないの。
それに今時見ず知らずの子供に
あんなに優しく出来る人っていないからさ。
〇〇:はぁ…。
飛鳥:仕事は平日の土日休み。
勤務時間は私の仕事中だから
日によって変わっちゃうけど
給料は前の会社より全然多く出せます。
だから…お願いします!
〇〇:でも…いいんですか?
赤の他人が家にいて…。
旦那さんが怒るんじゃ…。
飛鳥:私…旦那はいないの。
〇〇:え、あぁ…。
まずいこと聞いたかな…。
〇〇:とりあえず事情は分かりました。
僕でよければお願いします!
飛鳥:ありがとうございます!
さくら?今日からこのおにいさんが
お世話してくれるよ!
さくら:しゃくとあそんでくれるの!?
〇〇:うん!よろしくね?
さくら:わーい!!
飛鳥:とりあえずやってもらいたいのは
さくらのご飯を作るのと保育園の送り迎え。
あとは一緒に遊んであげて?
〇〇:はい!
それから僕は飛鳥さんの仕事中、
さくらちゃんのお世話をしていた。
--
さくら:〇〇しゃん、きょうのごはんはー?
〇〇:今日はハンバーグだよ!
さくら:やったー!ハンバーグだいすき!
〇〇:はい、どうぞ!
さくら:いただきましゅ!
モグモグ
〇〇:どうかな?
さくら:うまっ!
〇〇:よかった笑
ガチャッ
飛鳥:ただいま〜
さくら:あ、ママおかえりー!
〇〇:飛鳥さん、お疲れ様です。
飛鳥さんの分も夕飯作ってあるんで
食べて下さい!
飛鳥:ありがと〜〇〇くん。
〇〇:あっためておくんで、
着替えて来て下さい。
飛鳥:うん。
〇〇:さくらちゃんもどんどん食べてね?
さくら:はーい!
僕が飛鳥さんのご飯をテーブルに並べると
ちょうど着替え終わった飛鳥さんが来た。
飛鳥:お。美味しそう。
さくら:すごいおいしいよ!
飛鳥:いただきます!モグモグ
ん!うまっ!
〇〇:(親子で同じリアクション笑)
さくら:〇〇しゃんのごはん、
どれもおいしー!
〇〇:ありがとう、さくらちゃん!
飛鳥:でもほんとに助かる〜。
〇〇:いえいえ、
これくらいしか出来ないんで。
それに明日飛鳥さんはお休みなんで
ゆっくりなさって下さい。
さくら:ねぇねぇ〇〇しゃん!
〇〇:ん?
さくら:あしたいっしょにこーえんいこ?
〇〇:え?
飛鳥:さくら?〇〇くんもお仕事で
来てくれてるんだから、
〇〇くんも明日はお休みなの。
さくら:え〜
〇〇:別に構いませんよ?
飛鳥:いいの?
〇〇:さくらちゃんと遊ぶの、
仕事って感じしなくてほんとに楽しいんで笑
これで給料頂いてるのが
申し訳ないくらいです!
飛鳥:そう…。
さくら:こーえんいける?
〇〇:うん、行けるよ!
さくら:わーい!
--
それから僕は洗い物を済ませ、
帰る準備をした。
〇〇:じゃ僕は帰りますね。
飛鳥:お疲れ様。ご飯美味しかったよ!
〇〇:いえいえ。
それじゃさくらちゃん、また明日ね!
さくら:うん!
〇〇:それじゃ失礼します!
飛鳥:うん。また明日。
さくら:またね〜!
--
翌日…
飛鳥さんのマンション近くにある公園に
僕、飛鳥さん、さくらちゃんの3人で来た。
さくら:わーい!!
飛鳥:さくらー!気をつけてねー!
さくら:はーい!
飛鳥:ふふっ笑 さくら楽しそう笑
〇〇:ほんとですね笑
飛鳥:あのね?
1つ言っておきたいことがあるの。
〇〇:はい?
飛鳥:あの子はね…私の子じゃないの。
〇〇:えっ!?
飛鳥:さくらは私の親友の子。
その子はシングルマザーだった。
女手ひとつで育ててたんだけど…
体が持たなかったみたいで過労で
亡くなったの。
その子の両親も亡くなってて
さくらがひとりぼっちになっちゃうから
私が引き取ったの。
〇〇:そうだったんですね。
飛鳥:でも私の両親も遠いところで
暮らしてるし、
私も家にいないことが多いから
さくらには寂しい思いをさせちゃってる
かもしれない。
〇〇:まぁ…。
飛鳥:でも〇〇くんが来てくれてから
さくらが本当に楽しそうなの。
だから本当に感謝してるありがとう!
〇〇:いえ…そんな…
さくら:〇〇しゃん!あそぼー!
〇〇:うん!今行くね!
飛鳥:ふふっ笑
--
公園で遊び終わり、
僕たちは飛鳥さんの家に戻った。
さくら:ねぇねぇ〇〇しゃん!
きょうのごはんはなにー?
飛鳥:こーら、〇〇くん今日は
お仕事じゃないの。
さくら:え〜…
でも〇〇しゃんのごはんたべたい…
〇〇:いいですよ?
飛鳥:いやいや!
休みの日に来てもらってるのに
申し訳ないよ!
〇〇:どうせ家に帰ってもやることないんで!
それにさくらちゃんも
楽しみにしてくれてますし。
さくら:つくってくれるー?
〇〇:うん!だからいい子で待っててね!
さくら:はーい!
飛鳥:ほんとにごめんね?
残業手当つけとくから…。
〇〇:いえいえ、お気になさらず!
さくら:でもママもよかったね!
飛鳥:えっ!?
さくら:だっていつも〇〇しゃん
かえったあと
さびしそーなかおになってるもん!
えっ!?そうなの?
さくら:それにしゃくが
「〇〇しゃんがパパがいい!」っていったら
ママもそうしたいっていってた!
飛鳥:ちょっと!さくら!!💦
〇〇:えぇっと…。
飛鳥:いや、あの、ち、違うからね!
さ、さくらにもそろそろ父親が
必要かな〜って💦
〇〇:そ、そうですよね💦
さくら:でも〇〇しゃんとおはなしするときのママのかお…こいするひとってやつだった!
飛鳥:どこでそんな言葉覚えたの!?
さくら:ほいくえんのやましたせんせーから!
飛鳥:///
さくら:〇〇しゃんはしゃくのパパはいや?
〇〇:ううん。嬉しいよ!
さくら:やったー!
飛鳥:もう…ごめんね?
でも…子供の言う事だから気にしないでね?
〇〇:…子供の言う事だとしても嬉しいです。
これは本音ですよ。
飛鳥:え…
〇〇:えっとその…
飛鳥:…
〇〇:…
さくら:キョロキョロ
ん〜…あ!
さくらちゃんが気まずさから無言になった
僕達を見て叫んだ。
〇〇:どうしたの?
さくら:しゃく、ちょっとつかれたから
おひるねしてくる!
飛鳥:そう?じゃ一緒に行こっか?
さくら:ううん、だいじょーぶ!
しゃくもおねぇちゃんだから!
おやすみ!
飛鳥:えっ、あ…
〇〇:おやすみ…。
さくらちゃんは寝室に行った。
飛鳥:…
〇〇:…
さくらちゃんが行った後も
気まずくてお互い無言になる。
飛鳥:スゥ…よしっ。
〇〇:?
飛鳥:あ、あのさ〇〇くん。
さくらの言ってた事…。
〇〇:えっ、あ、ほんとに大丈夫ですよ?
飛鳥:あれ…ほんとなの。
〇〇:えっ!?
飛鳥:〇〇くんが働いてた前の会社で
君を見た時にさくらが迷子になって
あんだけ親身になってくれる人が
こんな仕打ちを受けるなんて
あっちゃいけない。
私とさくらの恩人を助けなきゃいけない。
そう思ってうちに来てもらった。
そうだったんだけど…
〇〇:…
飛鳥:仕事が終わって〇〇くんが家にいて
〇〇くんが作ったご飯を食べる。
その生活に幸せを感じ始めたの。
だから…仕事抜きにして
一緒にいたいと思ったの…
〇〇:飛鳥さん…助けてもらったのは
こっちです。
飛鳥:えっ…
〇〇:前の会社にいたままだったら
きっとボロ雑巾のように使われ続けて
どうなってたか…
でもこの仕事を始めてから
毎日がすごい幸せなんです。
だから…僕を飛鳥さんのところに
永久就職させて頂けませんか?
飛鳥:〇〇くん…うん!もちろん!
〇〇:ありがとうございます!
飛鳥:でも!入社には条件があります!
〇〇:条件?
飛鳥:まず敬語禁止!あと私のことを
飛鳥って呼んで!
〇〇:わかりま…わかったよ、飛鳥…
飛鳥:うん//合格!///
〇〇:なんで呼ばせといて照れるの?笑
飛鳥:だって…//
さくら:ママかおまっか!
〇〇:!?
飛鳥:さ、さくら!?
寝たんじゃなかったの!?
さくら:わーい!〇〇しゃんがパパだー!
〇〇:さくらちゃん?これからもよろしくね?
さくら:うん!あ、そーだ!
〇〇:ん?
さくら:ママと〇〇しゃんって
ふたりともすきなんだよね?
〇〇:うん///
さくら:やましたせんせーがいってたけど
すきなひとどーしはちゅーするんだって!
しゃく!それみたい!
〇〇:!?
飛鳥:さ、さくら!?
さくら:ねーねー、しないのー?
〇〇:えっとぉ…
飛鳥:///
さくら:ねーねーみせてー!
〇〇:えっと、あす…
飛鳥:…〇〇くん。
〇〇:ん?…ってん!!!
チュッ
さくら:わぁーちゅーだー!
飛鳥:…んはぁ。
〇〇:あ、飛鳥///
飛鳥:これから毎日するから。
〇〇:か、覚悟します…
それから僕らは結婚した。
僕が家事を一手に引き受け、
飛鳥は仕事に専念出来たおかげか
会社の成績は上々。
飛鳥:ただいま〜
〇〇:おかえり。ご飯できてるよ。
飛鳥:ありがと!チュッ
〇〇:…結婚してから思ったんだけどさ
飛鳥:ん?何?
〇〇:飛鳥って…
さくらちゃんに負けないくらい
甘えん坊だよね笑
飛鳥:なっ//
〇〇:だって帰ってきたら
ずっとくっついてくるし
さくらちゃんと遊んでると
必ず割って入ってくるし。
飛鳥:そっ、それは…幸せだから!
〇〇:!?
飛鳥:〇〇のそばにいると幸せだから!!
〇〇:///
飛鳥:飛鳥ちゃんに永久就職したんだから…
絶対に退職するなよ!
Fin
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