嫌われていると思っていた片思いの上司から電話がかかって来た。
カタカタカタカタ…
〇〇:ふぅ…
△△:お疲れ。
〇〇:おう、お疲れ。
△△:なぁ、業績表見たか?
またあの人1位だぜ?
〇〇:まぁ、当然だろ。
△△:すげぇよな〜あの人。
もうずっと1位だもんな〜。
俺はとある商社に勤めて3年。
成績はまぁ悪くないのだけど…
??:〇〇くん、ちょっといい?
〇〇:どうしました?"梅澤"さん。
先ほど同期の△△との話に出ていて、
今俺に話しかけてきた上司、梅澤美波。
この人がずっと業績トップだから
上は狙えない。
厳しい人だがわからない事を聞きに行けば
しっかり教えてくれる。
根は優しい人なんだろうな…
いつからか俺は梅澤さんに少し惹かれていた。
美波:明日のプレゼンの打ち合わせだけど、
30分遅らせてもらっていい?
〇〇:えぇ、構いませんけど?
美波:そう、ありがとう。
じゃあまたその時間に。
〇〇:何かあったんですか?
美波:こっちは気にしないで。
あなたは自分の仕事をして。
スタスタ
△△:なんかサバサバしすぎじゃね?
〇〇:なんか俺に対しては
ずっとあぁなんだよな。
△△:お前なんかしたの?
〇〇:身に覚えがないんだよな…
--
定時…
〇〇:うし、帰るか…
カタカタカタカタ…
〇〇:?
周りの社員が帰り支度をしている中、
梅澤さんだけまだ仕事をしていた。
〇〇:梅澤さん?まだやってくんですか?
美波:えぇ、ちょっとキリが悪いから。
〇〇:もしあれだったら手伝いますよ?
美波:あなたは自分の仕事は終わったんでしょ?
ならさっさと帰りなさい?
〇〇:え、あ、は、はい!
やっぱ俺なんかしたかな…
あっ、そうだ。
〇〇:梅澤さん、これ…
美波:?
俺は持っていた、チョコを渡した。
〇〇:お疲れでしょうから…
疲れた時には甘いもんでも…
手伝えないならせめてこれくらいはしとこう。
美波:えっ!?あ、ありがとう…
〇〇:それじゃあ、お疲れ様です。
美波:う、うん…お疲れ…。
俺は梅澤さんを残し、職場を後にした。
美波:はぁ…
--
数日後…
美波:お疲れ様でした〜。
スタスタ
△△:珍しいな、梅澤さんが定時で上がるって。
〇〇:まぁなんか予定あんだろ。
△△:まさか…男?
〇〇:どうだろうな、あの人美人だし。
△△:だよな〜。
…さて俺も帰るか。
〇〇:おう、お疲れ。
△△:お疲れ〜。
スタスタ
〇〇:俺もどっか飲んでから帰るかな。
明日は仕事休みだし。
--
俺は家の最寄りに着くと駅前にある居酒屋に入った。
店員:いらっしゃいませ!!
お一人ですか?
〇〇:はい。
店員:現在、奥のテーブル席しか空いてなんですが
よろしいですか?
〇〇:構いませんよ。
店員:ではご案内します!
店員さんに連れられて席に向かった。
…が。
〇〇:!?
俺が座るであろう席の隣の席には梅澤さんにそっくりな女性が座っていた。
〇〇:まさか…な。
確認しようにも、もし本人だった場合は
とんでもなく気まずいので気にせずに飲もう。
--
店員:ごゆっくりどうぞ〜
頼んだ酒とつまみが運ばれてきた。
ゴクッゴクッ…
〇〇:ぷはぁ〜…染みる〜
あ、唐揚げ頼み忘れた。
注文しとこ。
"ねぇねぇ!それで最近どうなの!?"
隣の梅澤さんらしき人がいる席から
話し声が聞こえる。
??1:どうって?
??2:例の後輩君!少しはアピール出来た?
どうやら恋愛相談らしい。
??1:ううん…
??2:どうせ"梅"の事だから
冷たく接しちゃってるんでしょ?
梅とか言ってるし…
これほんとに梅澤さんじゃないよな?
美波?:だって…"美月"みたいに
誰にでも笑顔で話せないよ…
ましてや好きな人に…
美月:梅も美人なんだし…自信持ちなよ!
美波?:でも…あ。
美月:ん?
美波?:こないだ…プレゼントもらった…
美月:プレゼント?
美波?:うん//
美月:顔真っ赤笑
ちょー乙女じゃん笑
仮に梅澤さんだとして、
梅澤さんも好きな人いるんだな…
美月:ねぇ!今ここで電話しちゃおうよ!
美波?:え!?
美月:それでデートに誘っちゃいなよ!
あの美月って人、なかなかぶっ飛んだこと言うな…
美波?:無理無理無理!!
美月:でもそうでもしないとなんにもなくなっちゃうよ?
美波?:うん…
美月:ほら!
このお酒飲んでその勢いでしなさい!
美波:…うん!
"プルルルルルル"
〇〇:!?
会話が途絶えた後、俺の携帯が鳴った。
〇〇:まさか…
ディスプレイを見ると…
"梅澤美波"
〇〇:うそやん…
いやいや、たまたま
このタイミングってだけで
普通に仕事の話かもしれないし…
ピッ
〇〇:も、もしもし…
美波:「あ、〇〇くん?お疲れ。
夜にごめんね?」
〇〇:いえ、大丈夫ですよ?
どうかしました?
美波:「うん、えっと…」
その時…
店員:すいません!!
大変お待たせしました!!!
唐揚げです!!!!
さっき頼んだ唐揚げが運ばれてきた。
持ってくるのが遅くなってしまったと
感じたのか、大声で話しかけてきた。
美波:「ん?ちょっとまって…」
ヒョコッ
美波:え…えぇぇぇぇぇぇぇ!!!
パーテーションから梅澤さんの顔が出て来た。
〇〇:あ…ども。
美波:な、な、な、なんで〇〇くんがいるの!?
〇〇:いや、その〜たまたま…
美月:なになに〜?この子がその後輩君?笑
美波:え、あ…
美月:もうこりゃ運命じゃん!
美波:///
梅澤さんはもう顔真っ赤だ。
美波:わ、私もう帰る!!!
梅澤さんは走って店を出ていった。
〇〇:え、あ…
俺は突然のことに立ち尽くしていた。
美月:ちょっと君!!何してるの!!
〇〇:え?
美月:早く追いかけなさい!!
ここはお姉さんが払っておくから!
〇〇:え…
美月:ほら行った行った!!
〇〇:あ…はい!!
俺も急いで店を出た。
--
〇〇:はぁ…はぁ…居た!
駅の方に走ると梅澤さんが居た。
〇〇:梅澤さん!!
美波:ま、〇〇くん…
〇〇:急に店出てどうしたんですか?
美波:好きってバレて…居れる訳ないじゃん…
〇〇:本当に俺の事…好きなんですか?
むしろ嫌われてるかと…
美波:え…
〇〇:会社では俺にだけ当たり強いから…
美波:そ、それは…
一緒にいるとドキドキしちゃうから
少し距離を置きたくて…
え?何その理由。
可愛い過ぎないか?
〇〇:ってか俺梅澤さんにプレゼントってあげましたっけ?
美波:聞こえてたの!?
〇〇:え、あぁすみません…
美波:…チョコ。
〇〇:え?
美波:こないだもらったチョコ…
もらったのが嬉しすぎてじっくり味わった後、
包み紙もしっかり保管してる…
あれでそんな喜んでくれたんだ…
美波:気持ち悪いとか思わないの?
〇〇:思いませんよ。
むしろ嬉しいです。
美波:え…
〇〇:俺も…梅澤さんの事が好きです。
美波:え!?
…ってことは両思い?
〇〇:そうなりますね…
美波:///クルッ
梅澤さんは振り返って行こうとした。
〇〇:え、ちょっ、どこ行くんですか!?
美波:両思いなんてなった事なくて…
どうしていいかわかんなくて…
今の顔見られたくない…
〇〇:見せてください…
これから一緒にいるんですから…
美波:…んもぅ///
--
〇〇:お疲れ様でした〜
△△:なぁ今日飲みに行かね?
〇〇:あぁ、悪ぃ。
今日用事あるんだわ。
△△:そっか。
〇〇:うん、じゃな。
--
ガチャッ
〇〇:ただいま〜
??:おかえり〜!!!
ギュー
〇〇:ただいま、美波。
美波:みなね?
今日すっごい重要なプレゼン頑張ったんだよ?
〇〇:うん。お疲れ様ナデナデ
美波:えへへ〜
あれから俺と"美波"は同棲し始めた。
それで気づいたのは美波が
すっごい甘えん坊だということ。
会社にはこの関係のことは内緒にしている。
その為美波も俺も会社ではいつも通りにしている。
会社ではクールに仕事をこなして
家ではこれ。
そのギャップにやられている。
美波:ねぇねぇ〇〇!
"ずっとみなの隣にいてね!"
Fin
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