もしも…ピンチ続きの売り子さんに出くわしたら…
ワァァーーー!!
WBCで日本代表が優勝して日本中が熱狂の渦の中、
プロ野球が開幕した。
○○:ウィーアー!ウィーアー!
ちーばーロッテ!ちーばーロッテ!!
俺は地元であるZOZOマリンで野球観戦に来ていた。
○○:頼むぞ!朗希!!
声だし解禁ということもあり、
応援には今までより熱が入っていた。
○○:いや~やっぱ生観戦はいいな~。
“ビールいかがですか~”
男 :お~い、ビールちょうだい!
??:は~い!
スタジアムには観客席を回って飲み物などを売っている
売り子さんがいる。
??:お待たせしました!
俺の通路を挟んで反対側の人がビールを買っていた。
??:はい!ビールです!
歳は同じくらいだろうか…。可愛いな…。
まぁ売り子やるくらいだしな。
――
○○:えーっと、トイレは…。
??:いった…。
○○:ん?
声のする方を見るとさっきの売り子さんが転んでいた。
○○:大丈夫ですか?
??:すいません…ちょっとつまずいちゃって…。
○○:立てますか?
??:背中の樽が重くて…
○○:持ちますよ…って重っ!
こんなのずっと持って歩いてるなんて…。
しかも笑顔で…。
??:すみません…。
○○:いえいえ。
俺は樽を持ちながら売り子さんを控室に送った。
??:本当にありがとうございました!!
○○:全然大丈夫ですよ!
友香:私、菅井友香っていいます!
○○:僕は○○です。
ワァァーーー!!
○○:!?じゃあ俺はこれで!!
友香:あぁちょっと!
歓声が上がったので俺は急いで席に戻った。
――
数日後…
○○:うーてーおぎーのた!か!し!
また俺は球場に来ていた。
??:あっ!○○さん!
○○:?あっ、えぇっと菅井さん?
友香:はい!こないだはありがとうございました!
○○:足は大丈夫ですか?
友香:おかげさまで!あの…これどうぞ!
菅井さんはビールを渡してきた。
○○:えぇっと、頼んでないですよ?
友香:こないだのお礼で私のおごりです!
○○:わかりました。わざわざありがとうございます。
友香:こっちこそ!
“すいませ~ん、ビールくださ~い!”
友香:は~い!じゃ○○さん!楽しんでください!
菅井さんは去っていった。
――
○○:トイレトイレっと…
“ちょっとやめてください!!”
○○:ん?
声のする方に向かうと…。
男 :ねぇちゃん可愛いねぇ。連絡先教えてよ~
友香:離してください!!
菅井さんが男に腕を掴まれていた。
○○:まずい!
俺は走って向かった。
男 :ねぇ~いいじゃんかよ~
友香:離して!だ、だれか…。
○○:その手離してもらえません?
男 :あぁん?誰だお前は?
○○:その子の彼氏だけど?
男 :ふっ笑 そんなわけねーだろ。
○○:それがそうなんだよな…。なぁ友香?
友香:!?う、うん!○○~怖かった~。
男 :ちっ、んだよ…
男はあきらめたのか、去って行った。
○○:ふぅ~…。
友香:あ、あの…
また助けて頂いてありがとうございました。
○○:いえ…って!?
菅井さんの方を見ると自分の腕にしがみついていた…。
○○:菅井さん…そ、その…近いです…///
友香:えっ!?あ、す、すいません///
菅井さんがすこし離れる。
○友:…///
2人の間に気まずい空気が流れる。
友香:あの…ありがとうございました!その…これ!
菅井さんが一枚のメモを渡してきた。
そこにはラインのIDらしきものが書いてあった。
○○:これって…
友香:私の連絡先です!今度お礼させてください!
そ、それじゃ!
菅井さんは足早に去って行った。
俺はそのあと席に戻ってから菅井さんの
連絡先を追加した。
○○:“先ほどの○○です!大丈夫でしたか?”
○○:これでいいかな?
――
試合終了後…
ピロン
友香:“菅井です!先ほどはありがとうございました!
お礼をしたいので、また連絡しますね!”
○○:“わかりました!また襲われないように
気を付けてくださいね!”
○○:まぁあんだけ可愛かったら襲われる可能性もあるよな…。
俺はそのまま帰った。
――
数日後…
ピロン
○○:あ、菅井さんからだ。
友香:“お疲れ様です!
こないだのお礼の件なんですけど、
ロッテ戦のチケットが手に入ったので
一緒に行きませんか?”
○○:おっ!まじか!
○○:“いいですね!行きましょう!”
友香:“はい!よろしくお願いします!”
――
約束の日…
俺は待ち合わせ場所で菅井さんを待っていた。
友香:○○さ~ん!
○○:あ、菅井さん!
友香:お待たせしました!
○○:全然待ってないですよ!行きましょっか。
友香:はい!
俺らはスタジアムに入って行った。
――
ワァァーーー!!
友香:やっぱりテレビで見るよりスタンドで
見る方がいいですね!
○○:そうですね!菅井さんも野球好きなの?
友香:そりゃあここでバイトしてるんですもん!
大好きですよ!
○○:それもそっか笑
カキーーン
“ファールボールにご注意ください”
菅井:!!
ファールボールがこっちに向かってくる。
○○:危ない!
パシッ
俺はグローブでファールボールをとった。
いつも持っててよかった…。
○○:大丈夫ですか?
友香:は、はい…あの~ち、近いです…。
○○:えっ…はっ!!
俺は菅井さんに抱き着くかたちになっていた。
○○:あ、す、すいません!!
すぐに俺は離れた。
友香:い、いえ…。またありがとうございます…。
○友:…///
また2人の間に気まずい空気が流れる。
カキーーン
ワァァーーー!!
○○:お!お!
友香:入ったーー!!
――
試合終了後…
〇友:かんぱーい!
俺は菅井さんと球場近くの居酒屋に来ていた。
○○:いや~勝ちましたね~
友香:はい!よかった~
○○:あの藤原のホームランすごかったな~
友香:弾丸みたいに入っていきましたもんね!
○○:あ!はいったと言えば…
俺はさっきとったファールボールを出す。
○○:はい!これあげる!
友香:え!?でも○○さんが捕ったんですし…。
○○:元は菅井さんのとこに落ちてきたボールだからね。
だからあげます!
友香:ありがとうございます!
――
俺らは居酒屋を出た後、
酔いを醒ますために海岸沿いを歩いていた。
○○:今日は楽しかったですね!
友香:はい!…あの~○○さん?
○○:はい?
友香:いろいろありがとうございました!
○○:?
友香:ころんじゃった時も襲われてた時も…
そして今日のファールボールの時も…。
○○:あぁ、そのことなら全然大丈夫ですよ!
友香:思えばずっと助けてもらってばっかりですね…。
○○:困ってる時はお互い様!
友香:それで私が襲われた時のこと覚えてます?
○○:一応…。
友香:あの時私の事を彼女って言いましたよね?
○○:それは…とっさのことで…
友香:それはわかってるんですけど…
なんだか嬉しかったんです…
○○:え…?
友香:きっと最初に助けてもらった時…
○○さんのことが好きになってしまったんです。
○○:…。
友香:ドジな私ですけど…彼女にしてくれませんか?
○○:…はい。
友香:いいんですか!?
○○:なんか菅井さんを見てるとほっとけなくて笑
友香:その…よろしくお願いします!
○○:はい!
友香:それと…。
○○:?
友香:あの時みたいに…友香って呼んでほしいな…。
○○:…友香?
友香:うん!これからよろしく!○○!
これから俺らの甘い生活が開幕しそうです。
それではプレイボール!!
Fin
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