落ちたのは恋でした。
4月…
僕は大学生になった。
入学式に向かう為、大学の最寄り駅に着くと同じ大学生がいっぱいいる。
僕も人混みに紛れて向かっていると…
ポトッ
〇〇:?
前の女性がポーチを落とした。
僕はそれを拾った。
〇〇:あの…落としましたよ?
??:えっ!?あ!ありがとうございます!
〇〇:いえいえ、では…
僕は大学に向かって歩いた。
可愛い人だったな…
あの人も同じ大学なんだろうか…
ーー
入学式も終わり校内を歩いていると…
"サークル入りませんかー!"
先輩からサークルの勧誘を受け、
とりあえずビラだけもらっていった。
ーー
〇〇:サークルかぁ…
大学生の醍醐味みたいなもんだと思うけど、
いざ入るとなるとなぁ〜
??:みぃつけた!ガシッ!
〇〇:!?姉ちゃん!?
今しがた僕の肩を鷲掴みしたのは2個上の姉で
同じ大学に通う久保史緒里である。
史緒里:サークルでお困りかな?
〇〇:まぁ…そんなとこ。
史緒里:そんな君にいいとこを教えてあげよう!!
〇〇:え?
史緒里:それじゃ早速レッツゴー!!
〇〇:ええちょっと!腕引っ張んないで!
ーー
姉ちゃんに連れられてきたのは大学の端っこの方にある空き教室。
史緒里:さぁ入って!
〇〇:ここは?
史緒里:ここはね〜アニメ研究サークル!
〇〇:アニメ研究サークル?
史緒里:そう!好きなだけアニメ見て〜好きなだけアニメを語り尽くす!そんなサークル!
〇〇:それただの放課後じゃん…。てか姉ちゃん1人だけ?
史緒里:いや、あと2人いるよ?私の一個下だから2年生だね!
ガラガラ
??1:史緒里ちゃーん!
??2:チラシ配りおわったよ!
史緒里:お疲れ様!
??1:あれ?この子は?
史緒里:紹介します!私の弟で今年入った新入部員、〇〇です!
??1:ええ!?弟!?
??2:しかも新入部員ゲット!
〇〇:いやっまだ入るとは…
??1:私、田村真佑!よろしくね!
??2:私は賀喜遥香!よろしくぅ!
〇〇:は、はぁ…
真佑:いや〜でもさすが史緒里ちゃんの
弟だね〜
遥香:兄弟揃って美形…
〇〇:あ、ありがとうございます//
史緒里:弟よ、照れてんのか?
〇〇:え、あ、いや、その…
ガラガラ
??:あのぉ〜…
史緒里:?
??:アニメ研究サークルってここですか?
真佑:うん!そうだよ!
遥香:もしかして入部希望!?
??:はい!私、アニメ大好きなんで!
〇〇:(あれ?あの人って…)
史緒里:大歓迎!!
私はここの部長の久保史緒里!
あ、名前教えてもらっていい?
和 :私、井上和って言います!
よろしくお願いします!
真佑:田村真佑です!
遥香:賀喜遥香です!
史緒里:そしてここにいるのが、
私の弟で和ちゃんと同じ一年生の〇〇!
〇〇:ど、ども…
和 :あ!朝の人!
〇〇:やっぱそうだよね!
和 :朝はありがとう!
〇〇:どういたしまして!
史緒里:おい。
〇〇:ん?
史緒里:なんでもうこんな
可愛い子知ってんだ?
〇〇:え?
史緒里:私を置いていくのか?
〇〇:いやぁ…
ここで補足しとくと
姉ちゃんはブラコンである。
和 :わ、私がポーチを落としたのを
拾ってもらったんです!
史緒里:え、そうなの?
〇〇:そうだよ。
同じ大学とは知らなかったけど。
史緒里:そうだよね〜
私を置いて他の女に行かないよね〜!
〇〇:あはは…
真佑:ねぇかっきー!アニ〇イト行こうよ!
遥香:うん!行こう!
史緒里:あ!私も行く!
ワーワー
僕と井上さんを置いて3人は盛り上がり始めた。
和 :…なんか、楽しそうだね笑
〇〇:そう思えるなら馴染めると思うよ。
まさかこんなところで再会できるとはな…
ちょっとサークルが楽しみになってきた。
ーー
それから僕達はサークル活動と称してアニメの鑑賞会、聖地巡礼、グッズ探しなど放課後の延長を楽しんでいた。
そんなある日…
史緒里:突然ですが!
みんなにお知らせがあります!
真佑:なになに〜?
史緒里:今度の週末…合宿を行います!!
遥香:おお〜!
〇〇:合宿ってどこでなにすんだよ。
史緒里:みんなで集まって〜
一緒にアニメ見て〜語り合う!!
場所は〜ウチです!!
〇〇:はぁ!?俺らん家!?
史緒里:だって週末
お父さんとお母さんいないでしょ?
〇〇:そうだけど…
史緒里:ということで賛成の人は挙手!
真佑:はーい!
遥香:はいっ!
和 :はい…
〇〇:井上さん?無理しなくていいよ?
和 :ううん!そんな事ないよ!
〇〇:そっか…ならいいけど…
史緒里:じゃけってーい!!
こうして僕の平和な週末は消えた。
ーー
合宿という名のお泊まり会の当日…
史緒里:どうしよー!!
〇〇:だからいつも片付けろって言ってるでしょ!!
史緒里:もぅ…ってこんな時間!!
みんな迎えに行かないと!!
〇〇:片付けとくから行ってきな?
史緒里:ごめん!!じゃ行ってくる!!
姉ちゃんはみんなを迎えに駅に行った。
〇〇:さてと…
僕はそれから片付け
(主に姉ちゃんの部屋)を始めた。
ーー
30分後…
ガチャッ
史緒里:ただいまー!
爆速で片付けを終えた頃、
姉ちゃんが帰ってきた。
真佑:おっじゃましまーす!
遥香:おじゃましまーす!
和 :お邪魔します!
〇〇:どうぞ…
真佑:あれ?なんか疲れてない?
〇〇:どっかの誰かのせいで
片付けに追われてたので…
遥香:なんか…お疲れ。
史緒里:ご苦労、ご苦労!
〇〇:誰のせいだと思ってんだー!!
ーー
そっからは各々のオススメのアニメを
見ていた。
真佑:あ〜面白かった!
遥香:なんかお腹空いたね。
史緒里:〇〇!よろしく!
〇〇:はいはい。
真佑:〇〇くんが作ってくれるの?
〇〇:まぁ簡単なものなら。
遥香:できる男だねぇ〜。
〇〇:あ、でも飲み物が無くなりそう…
史緒里:そしたら〇〇が作ってくれる間に買ってくるよ!
〇〇:じゃあそうして。
真佑:私もいくー!
遥香:私も!
史緒里:和ちゃんは?
和 :そしたら私は〇〇くんの手伝いします!
1人だと大変だろうし…。
〇〇:いいの?
和 :泊めてもらうわけだし、これぐらいさせて?
〇〇:お姉さん方と違って気が利くね笑
史緒里:ん?
真佑:〇〇くん?
遥香:なんか言った?
〇〇:いいえ、何も。
史緒里:じゃあよろしく〜
姉ちゃん達は買い物に行った。
和 :じゃ何からすればいい?
〇〇:そしたらサラダをお願いしていいかな?
和 :うん!任せて!ニコッ
ドキッ
僕は不意に見た井上さんの笑顔に
ドキッとした。
落ち着いて考えて見れば、今この家には僕ら2人だけ。
しかもこんな可愛い人と…
僕はどうにか正気を保ち、料理を進めた。
ーー
〇〇:ふぅ…こんなもんかな。
和 :お疲れ様!
〇〇:井上さんもありがとうね。
色々手伝ってもらっちゃって。
和 :全然大丈夫だよ!
ガチャッ
史緒里:だっだいまー!!
〇〇:おかえり。ご飯できたよ。
史緒里:よしじゃあ食べよう!
ーー
史真遥:いっただきまーす!
〇和:いただきます。
モグモグ
真佑:ん!
遥香:美味しい!
〇〇:よかったです。
史緒里:これもおいしい!
〇〇:それは井上さんが作ったやつだよ。
史緒里:そうなの!?
和 :はい!お口にあってよかったです!
〇〇:うん。本当美味しいよ。
和 :よかった//モグモグ
〇〇:?
史緒里:いやーこれならお酒も進むねー!
〇〇:は?
史真遥:かんぱーい!!
〇〇:まったく…
ーー
史真遥:zzz…
酒を飲んだ先輩方はリビングで潰れていた。
〇〇:やっぱこうなる…
和 :どうしよっか?
〇〇:とりあえず姉ちゃんの部屋に布団用意してるからそこに運ぶよ。
和 :手伝おっか?
〇〇:大変だから大丈夫だよ。
和 :なら私は食器片しちゃうね?
〇〇:ありがとう。
僕はぐっすり眠る3人を部屋にぶち込んだ。
ーー
〇〇:ふぅ…
さすがに3人を運ぶのは疲れたので
ソファでぐったりした。
和 :お疲れ様。
〇〇:ごめんね?
食器とかやってもらっちゃって。
和 :ううん。全然大丈夫!
井上さんは僕の隣に座った。
和 :あ!そうだ!
井上さんはカバンから何かを取り出す。
和 :これ食べる?
〇〇:これは?
和 :おはぎ作ってきたの!
ほんとは皆さんと食べようと思ったけど…
〇〇:ありがとう!
モグモグ
和 :どう…かな?
〇〇:ん!うまい!
和 :ほんと!?
〇〇:甘さがちょうどいいよ!
和 :よかった…
〇〇:井上さんはこのサークル楽しい?
和 :楽しいよ!好きな事を好きなだけ喋れるし、先輩みんな優しいし、それに…
〇〇:それに?
和 :ねぇ、私たちが初めて会った時のこと
覚えてる?
〇〇:あぁ、
僕が井上さんの落とし物拾った時だよね?
和 :あの時…
かっこいい人だなって思ったの//
〇〇:え!?
和 :一目惚れってやつかな//
〇〇:そ、そうなんだ//
和 :それでサークルで会った時思ったの…
運命かなって//
〇〇:運命…
和 :だから…
私と付き合ってもらえませんか?
〇〇:僕もさ…井上さんに初めて会った時、
可愛い人だなって思ったの。
和 :え!?
〇〇:そしてサークルで一緒にいるうちに
わかった事があった。
僕は井上さんが好きなんだって。
和 ://
〇〇:だから…よろしくお願いします!
和 :はい!
キュツ
井上さんはもっと近づいてきて恋人繋ぎをし、僕の方に頭を預けてきた。
和 :ふふっ笑 なんか幸せ。
〇〇:僕も。井上さんとこうしていられて幸せ。
和 :…和って呼んで。
〇〇:え?
和 :付き合ったんだから和って呼んで?
〇〇:うん…よろしくね和。
和 :うん!
僕らはそのまま行きたいところ、やりたい事などを話していた。
ーー
カシャッカシャッ
〇〇:う、う〜ん…
カシャッカシャッ
シャッターの音で気づく。
多分そのまま寝てしまったんだろう。
目を開けると、スマホをこちらに向ける田村さんと賀喜さん。
そして仁王立ちする姉ちゃんがいた。
史緒里:〇〇?
〇〇:?
史緒里:これはどういうこと?
〇〇:へ?
史緒里:なんで和ちゃんと寝てるの?
〇〇:はっ!?
僕らは昨日話し合っていた時のように手を繋いだままだった。
〇〇:ちょっ和!起きて!
和 :ん〜…〇〇、どうしたの?
真佑:和って、呼び捨てにしてるし…
遥香:なんかあったな…
史緒里:説明してくれる?
〇〇:えっとこれはその…
和 :昨日!
〇〇と付き合うことになりました!
史真遥:えぇー!!
史緒里:ほんと!?
〇〇:まぁ…はい…
史緒里:くっ…まさか和ちゃんに取られるとは…
〇〇:取られるって…
史緒里:いや!でも私の方が過ごした日は長いし…
和 :〇〇!
〇〇:何?…ん!?
チュッ
真佑:わぁお。
遥香:和ちゃんって大胆。
史緒里:あががが…
〇〇:ちょっ、和?
和 :たとえお姉さんだろうと、
〇〇のことは絶対に渡さないですからね!
史緒里:私の〇〇が…
和 :ってことだからよろしくね?
〇〇:…うん。
この後から和と姉ちゃんは和解?したのか
僕の写真を送り合ってるらしい。
最近、部室に行けば和が抱きついてきて
それを見た姉ちゃんが下唇を噛み、
それを見る田村さんと賀喜さんは
クスクス笑っている。
Fin
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