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駆け抜ける坂道 Sector10

駆け抜ける坂道 Sector10<彗星>



櫻神峠の麓の駐車場…


小林:お疲れ様…。

○○:お疲れ様です…。

小林:あ~負けちゃったな~。

○○:…。

小林:私ね…夢があるんだ。

○○:夢?

小林:誰にも負けないチームを作る。
   そのドライバーになるのが夢。
   いやそうできる自信があった。

○○:誰にも負けないチーム…。

小林:でも君の走りを見たときにに思ったの…
   こいつには負けるかもってね。

○○:僕が?

小林;そう…。だからバトルを頼んだ。
   それを確かめたくてね。

○○:はぁ…。

小林:負けたよ…。君は速かった…。

○○:ありがとうございます…。

小林:私に勝ったんだから自信持ちなさい?

○○:は、はい!

小林:フフッ笑 あ~あ。なんか不思議。
   なんか負けたのにすっきりした気分。

2人が話していると菅井達や理佐達がやってきた。


菅井:神本君!!

○○:菅井さん…。

菅井:勝ったんだね!

○○:うん。

菅井:おめでとう!


森田:ほんとにすごいよ!あの由依さんに勝つなんて! 


田村:ほんまやで!これでこの峠最速や!

○○:そ、そんな大げさな…。

アハハ!!

――


理佐:ゆいぽん…。


天 :由依さん…。

小林:あ~あ負けちゃった…。

天 :嘘だよ…由依さんが負けるなんて…。

天は涙を流す。小林は天の頭をなでる。

小林:天?どうしたの?

天 :だって…由依さんが負けるはずないもん!!

理佐:天…。

小林:ありがと。でもね?今はすごいすっきりしてるの。

天 :え…?

小林:こないだまで誰に負けない…。
   負けちゃいけないってどっかで
   自分の事追い込んでた。
   でも、このバトルが終わって思ったの。

そう言って小林は少し離れたところにいる
○○達を見ながら…。


小林:ああやって楽しんで走るってことを
   忘れてたな~って。

理佐:フフッ笑

小林:理佐?何笑ってるの?笑

理佐:今のゆいぽんの顔…。いい顔してるな~って。

小林:そう?

理佐:うん!なんかこう優しい顔になった!

小林:ちょっと!こないだまで怖かったって言いたいの?

理佐:アハハ!

小林:アハハ!

――

田村:それにしても…これから大変やで?

○○:え?

森田:だって最速の由依さんに勝ったんだもん!
   これからバトルの申し込みが殺到だよ?

○○:え~…。

田村:まぁ頑張りや?

森田:よ~し。○○くん!もう一回バトルしよ!!

○○:えっ!?いまからですか!?

森田:うん!!

○○:ちょっ!今日はさすがに…。

森田:いいから!!やろ!!

菅井:なんか子供みたいですね笑

田村:なんや?彼氏とられて嫉妬しとるん?笑

菅井:か、彼氏///

田村:あはは笑 顔真っ赤笑

菅井:もう!やめてくださいよ///

田村:でもいつとられてもおかしくないで?

菅井:へ?

田村:うちの大学、走り屋人気あんねん。
   それに加えて櫻神峠最速ってなれば
   争奪戦は激しいで?

菅井:そ、そうなんですか!?

田村:だからゆっかーも頑張りや!

菅井:はい!

このバトルで○○は以前に小林が打ち立てた
コースレコードを塗り替えていた。
その噂は瞬く間に広がり、
○○は“櫻神峠の白い彗星”と呼ばれた。

――

ある日の大学…

小林:おっ、“櫻神峠の白い彗星”くんじゃん!

○○:その呼び方どうにかなりません?

理佐:今はその話でどこも持ち切りだからね笑

小林:これから授業?

○○:はい。
   と言っても午前中で今日は終わりですけど…。

小林:そしたらさ、その後空いてる?
   ちょっと話があるんだけど…。

○○:大丈夫ですよ。

小林:そしたら終わったら連絡してね。

――

森田:あっ!“彗星”くん!

○○:ひかるさんまで…。

菅井:神本くん!お疲れ!

○○:よかった。菅井さんは普通で。

菅井:?

森田:これからお昼?

○○:いや。ちょっと小林さんに呼ばれてまして…。

田村:由依さんに?

○○:はい。なんでちょっと行ってきます。

菅井:いってらっしゃ~い。

○○は去って行った。

菅井:はぁ~。


土生:ゆっかー?どうしたの?

田村:愛しの○○くんとご飯食べれなくて
   落ち込んでねやろ?

菅井:えっ、いや~。

田村:まぁたまには女子会もいいやろ。

――

食堂…

森田:そう言えば…ゆっかーって走り屋なの?

菅井:いえ…車は好きですけど…。

森田:走りたいって思わないの?

菅井:前までは少し怖いかなって思ってたけど
   こないだのバトルから私も走ってみたいなって
   思いました。
   でも私へたくそだし…。

土生:そうだ!

菅井:?

土生:○○くんに教えてもらったら?

菅井:ふぇ!?

田村:それええやん!

菅井:で、でも…。

森田:確かに…。

田村:あの“櫻神峠の白い彗星”に教えてもらえるんやで?
   しかもマンツーマンで!

菅井:マンツーマン…。

田村:年頃の男女が車で2人きり…。そのまま…キャー!///

森田:お~い保乃~。

菅井:もう///

土生;ゆっかー顔真っ赤笑

菅井:土生ちゃんまで///(でも、頼んでみようかな?)

――

小林エンジニアリング…


小林:悪いね、わざわざ来てもらって。

○○:いえ。それで話って何です?

小林:こないだのバトルの後、
   私の夢について話したよね?

○○:誰にも負けないチームを作るってやつですか?

小林:そう。それについて今ある計画を考えていてね。

○○:ある計画?

小林:その夢の一歩として…
   他の峠へ向けての遠征チームを作る。

○○:遠征チーム?

小林:そう。櫻神峠以外の峠に遠征して
   誰にも破れない伝説を作る。
   そっから本格的にモータースポーツに向けて
   羽ばたいていく。 
   そういう計画。

○○:そんな計画が…。でもなんで僕に?

小林:単刀直入に言うね?



君のセンスが欲しい。



○○:…!?

Next Sector…


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