プレゼント
私は増本綺良。大学2年生。
大学に入ってバイトをとりあえず始めたが、
元々物欲があんまり無く使い道が
ガチャガチャしか無い。
あ、あと一つあるとすれば
人にプレゼントをするのが好き。
こないだ大学の先輩の冬優花さんに…
冬優花:え!?そのトレーナーかわいい!
と言われたので…
綺良:冬優花さん!
これちょっと色違うけどあげます!
冬優花:え!?いいの!?
綺良:はい!こないだ可愛いって言ってくれたので!
冬優花:本当に!?ありがとう!
また上村さんには…
莉奈:綺良ちゃん、こないだ連絡返すの遅かったけど何かあったの?
綺良:いや?なにもないですよ?
莉奈:ならよかったけど…寂しかった!
とのことなので…
ピンポーン
莉奈:は〜い…って綺良ちゃん!?
綺良:お届け物でーす!
莉奈:そんな大きな荷物どうしたの?
綺良:開けてみて下さい!
ガサゴソ
莉奈:え!?何これ?
綺良:私の抱き枕です!
莉奈:なんでまた?
綺良:こないだ返信遅れて
寂しい思いさせてしまったので…
これがあれば寂しい思いしないかなって…
莉奈:ありがと笑 ちょっと嬉しい笑
はたまたこないだ先輩達が卒業した時は…
綺良:皆さん!ご卒業おめでとうございます!
梨加:綺良ちゃんありがと!
綺良:これ…どうぞ!
葵 :なあにこれ?
理佐:あ!これって!
綺良:はい!こないだ私が着てて皆さんが
褒めてくれたのが嬉しかったので
皆さんの分買ってきました!
友香:きら坊〜ありがとう!
と、まぁこんな感じで色んな人に
プレゼントしている。
たまにお金に心配をされるけど、
私のプレゼントで喜んでくれるならそれで大丈夫。
こんな私でも…プレゼントするのに迷う相手がいる。
それは…
〇〇:お、綺良お疲れ!
綺良:お、お疲れ!
この男、菅井〇〇。
去年大学卒業した友香さんの弟で幼馴染。
そして…片思いの相手である。
大学は隣だけどバイト先が一緒だ。
〇〇:あーあ、今日もバイトだるっ
綺良:でも実家お金持ちじゃなかった?
〇〇:社会勉強しろだと
綺良:いいとこはいいとこで大変だね。
〇〇:あ、姉ちゃんがまた会いたがってるぞ?
綺良:え、本当!?
〇〇:うん。綺良からもらったトレーナーを
部屋着にして毎日きてるぞ?
綺良:えー嬉しい!
あ、そうだ!
ーー
友香:〇〇にプレゼント?
綺良:はい!
友香:そういえば、もうすぐ誕生日だもんね。
綺良:そうなんです…
友香:で、そのプレゼントに悩んでると…
綺良:はい…
友香:まぁ確かに分かりづらいよね。
昔からあんまり物欲無かったし…
綺良:確かに…あんまり聞かないですよね。
友香:現時点で何か浮かんでる?
綺良:い、いや実は…
友香:?
綺良:その誕生日で告白しようと思ってて…
友香:ふふっ笑 やっとか!
綺良:ええ!?
友香:だってきら坊昔から〇〇の事
好きだったでしょ?
綺良:気づいてたんですか!?
友香:なんとなくね。
綺良:だからこういった類いのプレゼント
あげた事無いので、分からないんですよ…
友香:う〜ん…。
あ、そういえばさ〇〇ときら坊って2人で
出かけたことあったっけ?
綺良:そういえばないですね。
友香:まずそこからじゃない?
綺良:でも…どうやって誘えば…
友香:そこは任せなさい!
ーー
誕生日当日…
綺良:はぁ…緊張してきた…
友香さんのおかげで約束は取り付けることが
出来たけど〇〇と2人きりで出掛けるって
どうすればいいかわからない…
〇〇:お〜い綺良〜
綺良:お、お疲れ!
〇〇:あれ?姉ちゃんは?
綺良:あ、友香さんはなんか急用が出来たとかで…
前日…
プルル
綺良:友香さん?どうしました?
友香:明日のことだけど〇〇との予定、
取り付けたよ!
綺良:ほんとですか!?
友香:うん!
あ、それで〇〇には私も行くって言ってるけど
うまく話しあわせといてね!
ーー
という密談があり、友香さんは来ず2人きりだ。
綺良:そういえば誕生日おめでとう!
〇〇:ありがと。
綺良:てか誕生日は家で過ごすって言ってなかった?
〇〇:その予定だったんだけど、
姉ちゃんに無理やり…
綺良:そっか…
〇〇:それよりこれからどうする?
綺良:そこでなんだけど、
〇〇ってあんまり趣味ってないじゃん?
〇〇:まぁこれと言ったものは無いな。
綺良:だから新しい趣味を発掘しよう!
ーー
〇〇:…ってここどこ?
綺良:爬虫類カフェだけど?
〇〇:なんで?
綺良:私が爬虫類好きだから。
〇〇:へ〜。
綺良:家でも飼ってるよ?
〇〇:知らなかったわ。
綺良:モリヤちゃんとアカネちゃんっていう
トカゲモドキだけど。
〇〇:なんかどっかで聞いた事あるけどな…
ーー
私達2人はカフェの中に入った。
〇〇:お、カメレオンだ。
綺良:目がめっちゃ可愛い!!
店員:よかったらガラス開けましょうか?
綺良:いいんですか?
店員:はい!
木の枝が無いとわかると戻っていくので!
そう言って店員さんはカメレオンのガラスを開けた。
〇〇:すげーゴツゴツしてる。
綺良:可愛い〜!
カメレオンが私に近づいてきた。
綺良:ん?どうしたの?
〇〇:多分木だと思ってるんじゃない?
綺良:私は木じゃなくて綺良です。
〇〇:あはは笑
その後はヘビやカメを見て楽しんだ。
ーー
爬虫類カフェを出た後、歩きながら話していた。
綺良:どうだった?
〇〇:うん、面白かったよ!結構可愛いかったし。
綺良:よかった。結構苦手な人もいるから。
〇〇:うちの姉ちゃんは馬と猫だからな。
綺良:トムは元気?
〇〇:いっつも姉ちゃんと遊んでるよ。
綺良:そっか。
〇〇:さて、こっからどうするかね。
時刻は17時。
綺良:ちょっと早いけどご飯行かない?
〇〇:そうだね。どこ行く?
綺良:お互い20歳になったし
居酒屋でも行ってみる?
〇〇:オッケー!てか綺良って酒飲んだ事あるの?
綺良:私もこないだなったばっかだから無いかな。
〇〇:じゃ気をつけて飲むことにしよう。
ーー
そんなこんなで居酒屋に着いた。
入り口で年齢確認されたが、
2人でドヤ顔しながら身分証出した。
ちょっと気持ちいい。
綺良:さてと。とりあえず何飲む?
〇〇:こういう時って最初はビールなのかな?
綺良:じゃあそれにしよう。
私達はビールとおつまみを少し頼んだ。
〇〇:ごめん、ちょっとトイレ行ってくる。
綺良:行ってらっしゃ〜い。
〇〇が席を離れてトイレに入った瞬間、
私は店員さんを呼んだ。
綺良:すみません、これ…
ーー
〇〇がトイレから戻ってきたタイミングで
ビールが届いた。
〇〇:よし、それじゃ…
綺良:誕生日おめでとう!かんぱ〜い!
カーン
ゴクゴク
綺良:ぷは〜。にがっ。
〇〇:これがビールか…
綺良:よく飲めるね…
〇〇:俺はいけるな。
綺良:私はいいかな〜。
〇〇:じゃあ俺飲むよ。
綺良:えっ!?
〇〇:せっかく来たんだ。楽しく飲もうよ。
綺良:それはそうだけど…
このジョッキを渡したら私と間接キスなるけど…
〇〇は気にしないのかな…
ーー
そっからはお互い1,2杯飲んだ。
〇〇はビール、私はカシオレで。
綺良:どう?お酒飲んでなんか変わった?
〇〇:うーん、あんまり変わんないかな。
綺良:そっか…。
よし、今のうちに…
私は店員さんに合図を送った。
しばらくすると…
店員:失礼しまーす!
〇〇:はい?
店員:お誕生日おめでとうございます!
こちら当店のオリジナルデザートです!
〇〇:あ、ありがとうございます!
店員:では!ごゆっくり!
店員さんは笑顔で去っていった。
〇〇:これ綺良が頼んでくれたの?
綺良:うん!
〇〇:ありがと!
お酒のせいなのか、
いつもより大きいリアクションをする〇〇。
満面の笑みを浮かべる〇〇は可愛くみえる。
〇〇:ん!これ美味い!
綺良:よかったね。
〇〇:綺良も食べる?
綺良:え?私はいいよ!〇〇のデザートだから。
〇〇:いいから食べな!ほら!
そう言って〇〇はデザートの乗ったスプーンを
差し出して来る。
こ、これって…間接キスとあーんの同時!?
〇〇:ん?どしたの?
首を傾げながらこっちを見て来る…
なんだろう、今日の〇〇はなんか
いちいち可愛いく見える。
綺良:じ、じゃあお言葉に甘えて…
パクッ
〇〇:どう?
綺良:う、うん。美味しい///
甘酸っぱく感じたのは乗っかっていた
いちごのせいにしよう。
ーー
居酒屋を出た私達は少し高い丘に来ていた。
あ、ちなみにお会計は私が持ちました。ドヤッ
綺良:は〜風が気持ちいい〜
〇〇:酒飲んですこしほてったからな。
綺良:にしてもここは変わんないね。
この丘は昔から友香さんと〇〇、私の3人で
よく来た思い出の場所。
今日、ここで告白する。
綺良:あ、あのさ…
〇〇:ん?
綺良:〇〇ってさ今まで彼女いなかったけど、
好きな人とかっているの?
〇〇:どうしたの急に?
綺良:いやね?高校の頃とか結構モテてたのに
誰とも付き合わなかったからなんでかな〜って。
〇〇:そ、それは…まぁ色々な。
綺良:色々?
〇〇:き、綺良はどうなんだよ!
綺良:私!?
〇〇:お、お前も告白とかされてたろ!
なんで断ってた?
綺良:それは…好きな人がいたから…。
〇〇:え!?
綺良:ずっと好きな人がいたから断ってた…。
〇〇:そ、そうなのか…
綺良:というか〇〇は?好きな人いるの?
〇〇:お、俺は…まぁ…いるかな…
綺良:そ、そうなんだ…ちなみに誰?
〇〇:それは…
綺良:ああやっば待って!
〇〇:?
綺良:あなたが好きです!!
〇〇:え!?
綺良:昔から好きだったけど
中々言い出せなかったの…
でも!やっぱり〇〇が好き…いや!大好き!!
〇〇:そっか…一緒だったんだ…。
綺良:え…。
〇〇:確かに俺も告白とかされてた。
でも綺良のことが好きで断ってた。
綺良:うそ…。
〇〇:俺も伝えたかったけど、
この関係が崩れるかもしれないって思って
中々言えなかった。
だから今言うよ。
俺は増本綺良が大好きです!
綺良:嬉しい…
ギュッ
綺良:え?
気づいたら私は〇〇に抱きしめられていた。
〇〇:俺も嬉しいよ…
しばらく抱き合っていると…
ガサガサ
綺〇:?
近くの茂みから音がする。そっちを見ると…
??:おめでとー!
綺良:友香さん!?
〇〇:姉ちゃん!?
友香:いや〜やっと付き合ったね!
綺良:い、いつからそこに…
友香:うーん、爬虫類カフェ出たあたりから?
〇〇:ずっとつけてたの!?
友香:だってなんか不安で…
〇〇:どんだけ暇なんだよ…
友香:いや〜にしても急に抱きしめるなんて!
〇〇やるね〜。
〇〇:は、恥ずかしい…
友香:でも!
きら坊を泣かせたらお姉ちゃん許さないからね!
〇〇:お、おう!
友香:きら坊?こんな弟だけどよろしくね!
綺良:は、はい!
友香:よしっ!…ところでプレゼントは渡したの?
綺良:ああ、そうだ!これ!
私は細長い箱を渡した。
〇〇:これは…トカゲのネックレス?
綺良:そ、そう…
友香:しかも普通のネックレスじゃないんだよね!
〇〇:そうなの?
綺良:うん…私のとペアになってるんだ。
友香:きゃーー!
〇〇:姉ちゃんは黙ってて!
綺良:いや…だった?
〇〇:ううん!嬉しい!ありがと!
友香:とにかくおめでとー!
ーー
私と〇〇はそのまま付き合った。
あの時から5年が経った…
私達はあの丘にいた。
〇〇:誕生日おめでとう!
綺良:ありがとう!
〇〇:もう5年以上経ったんだね…
綺良:そうだね。
〇〇:あの時のネックレス、ずっと付けてるよ。
綺良:私も!
〇〇:でも俺からそういったプレゼントは
あけてないよね。
綺良:そういえば…そっか。
〇〇:だからさ…
〇〇が私の前にひざまづいた。
〇〇:これを肌身離さずつけてくれませんか?
綺良:これって…
〇〇が手に持っていたのは指輪だった。
〇〇:僕と結婚して下さい!
綺良:はい!お願いします!
〇〇:やったー!
お互いにあげあったプレゼントでお互いに幸せ。
やっぱり…プレゼントするっていいな!
ガサガサ
友香:結婚おめでとー!
〇〇:またいたのかよ!!
Fin
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