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雨の日に僕の心が晴れそうになった話。




ザァァァァァァァァァ…

〇〇:はぁ…最悪…

部活が休みの今日、早く帰りたかったが
突然雨が降ってきた。

〇〇:今日天気予報確認し忘れたな…

僕は近くの軒下で雨宿りをした。

??:はぁ…最悪…

程なくして、もう1人雨宿りに来た。

??:ふぅ…あれ?〇〇くん?

その人は森田ひかるさん。
同じクラスで明るい性格で
男女分け隔てなく接して優しく
マドンナ的存在。

彼女に恋してる人は数知れず。
ちなみに僕もその内の1人だ。

ひかる:今日は部活休み?

〇〇:そうなんだけど…
この雨だからね笑

ひかる:んで天気予報見忘れて
傘を忘れたんだ笑

〇〇:でも森田さんもでしょ?

ひかる:まぁそうだね笑

森田さんはケラケラ笑う
その姿も可愛い。

〇〇:にしてもいつ止むんだろう。

ひかる:スマホで見ると通り雨ぽいけどね。

〇〇:そしたら少し待つか…

ひかる:にしても同じクラスにいるけど
こうやって話すの初めてだね。

〇〇:そう…だね。

ひかる:〇〇くんっていっつも本読んでるけど
何読んでるの?

〇〇:ミステリーとかそんなのだよ?

ひかる:漫画とかは読まないの?

〇〇:ん〜あんまりかな。

ひかる:面白いのに…

〇〇:興味が無いってわけじゃないけど
何読んだらいいかわからなくてね。

ひかる:そしたらさ…

それから僕らはお互いの趣味の話をしていた。

--

〇〇:ん?止んだかな?

ひかる:そうみたいだね。

〇〇:それじゃ今のうちに帰るか…。

ひかる:うん!じゃまたね!

そう言って森田さんは足早に帰っていった。

〇〇:…はぁ。

憧れの人と話すって嬉しいけど緊張するな。

--

数日後…

ザァァァァァァ…

〇〇:やっぱり降ってきたか…

学校が終わり、帰ろうとすると雨が降っていた。

〇〇:傘持ってきといてよかったな。

僕は傘を差して帰った。

--

??:はぁ…最悪…

以前雨宿りしたところを通りかかると
そんな声が聞こえた。

??:あ!〇〇くん!

〇〇:ん?森田さん?

ひかる:またここで会ったね笑

〇〇:また傘忘れたの?

ひかる:あはは〜…

〇〇:今日はしばらく振り続けるみたいだよ?

ひかる:えぇどうしよう…

予備の折りたたみ傘があれば貸すけど、
あいにく持ってないしな…

ひかる:あ!そうだ!

〇〇:?

ひかる:傘…入れてくれない?

〇〇:え!?

ひかる:うちまでそんなに距離ないから!

〇〇:えぇっと…

ひかる:ダメ…?

〇〇:うっ…

身長差のせいか上目遣いでお願いしてくる森田さん。

そんなんされたら断れないって…

〇〇:わ、わかった…

ひかる:ありがとう!それじゃおじゃましまーす!

そう言って森田さんは空いている
僕の傘の下に入ってきた。

ひかる:それじゃ行こ?

〇〇:う、うん…

僕は森田さんを濡らさないように
森田さん側に傘を寄せて歩いた。

--

ひかる:そういえばこないだ教えた漫画読んだ?

〇〇:うん、読んだよ。

ひかる:どうだった?

〇〇:面白かったよ。
漫画も悪くないね。

ひかる:でしょ!他にももっとおすすめのあるから!
また教えるね!

〇〇:ありがとう。

ひかる:あ、私ここだから!

話をしていたら森田さんの家の前についた。

ひかる:ありがとう!じゃあまたね!

〇〇:うん、またね。

森田さんは家の中に入っていった。 

〇〇:やっぱ緊張するな…

よっぽど緊張していたのか
右肩が濡れていたことにこの時気づいた。

これが続くなら雨も悪くない。

--

また数日後…

ザァァァァァァ…

〇〇:またかよ…

??:あ!〇〇くん!

傘を差して学校を出ようとしたら、
また森田さんがやってきた。

ひかる:実はその〜…

〇〇:もしかしてまた傘忘れた?

ひかる:うん…

〇〇:森田さんって…おっちょこちょい?

ひかる:えへへ〜…

〇〇:もしかしてだけど…

ひかる:うん、また入れて?

またあの日のように上目遣いでお願いしてくる。

〇〇:うん…いいよ。

ひかる:やった🎵ありがと!

〇〇:///

満面の笑みでお礼を言ってくる。
雨をも跳ね返しそうな太陽のような笑顔だ。

--

ひかる:〇〇くんてさ、お休みの日も本読んでるの?

〇〇:まぁ基本的にそうかな。

ひかる:友達とかとはお出かけするの?

〇〇:たまにね。

ひかる:…彼女とかは?

〇〇:へっ!?

ひかる:〇〇くんてさ…
かっこいいし優しいから彼女とかいるのかなぁって…

〇〇:う、ううん、いないよ!
今までいた事ないし…

ひかる:そっか…

〇〇:うん…

ひかる:好きな人とか…いるの?

〇〇:え!?
えぇっと…


それはあなたです…とはいえず。

〇〇:う、うん…いるよ。

ひかる:!?そうなんだ…
どんな人?

〇〇:明るくて…優しくて…
でもちょっとおっちょこちょいな人…かな。

ひかる:ふ〜ん。

森田さんを思い浮かべながらそう答えた。

森田さんって好きな人いるのかな…

ひかる:叶うといいね!
てか〇〇くんなら叶うと思うよ?

〇〇:あ、ありがとう…。

この際だから…

〇〇:も、森田さんはいるの?

ひかる:ん?

〇〇:その…好きな人って…

ひかる:うん。いるよ?

〇〇:え…

まぁ…そりゃそうだよな。

〇〇:ち、ちなみに…誰?

ひかる:う〜ん、秘密!

〇〇:え?

すっごい気になる…。
この雨模様のように心は晴れていない。

森田さんが好きになる人だ。
きっと僕なんかが敵うような人じゃないだろう。

ひかる:あ、私ここでいいよ?

森田さんは前に雨宿りした軒下のあたりで
そう言った。

〇〇:え?でも家までまだあるよ?

ひかる:だいじょーぶ!

バサッ

〇〇:え?

森田さんはカバンから折りたたみ傘を出した。

ひかる:それじゃまたね!

〇〇:え、あ、うん…。

森田さんは傘を差して帰っていった。

ひかる:あ!

しかし、森田さんは立ち止まって
こっちを振り返った。

ひかる:ちなみにさっき言った私の好きな人だけど
ヒントあげるね?

〇〇:ヒント?

ひかる:うん、ヒントはね?


"おうちに帰って鏡をみたらわかるよ?"


〇〇:え?え?

ひかる:ふふっ笑
じゃあ…答えがわかったら教えてね?

そう言い残し森田さんは去っていった。

〇〇:…。

僕は家に帰り、鏡の前に立った。

そこに映る"答え"を受け入れるまで
気づけば1時間以上立ち尽くしていた。


Fin

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