駆け抜ける坂道 Sector3
駆け抜ける坂道 Sector3 〈追憶〉
櫻神峠を走っていた○○
コースの1/4走ったところで…
○○:(一台張り付いてくるな…)
バックミラーに一台のヘッドライトが映る。
○○:(追い抜く気配はない。なんか嫌な気配だな)
○○はペースを上げる
??1:走りが変わったなぁ。
??2:イヒヒ…ちょっと面白くなってきた!
??2もペースを上げる
??1:ちょっと気ぃ付けてな!
ウチ横に乗ってんねんから!
??2:大丈夫!大丈夫!!
○○と??2の車の距離が近づく。
○○:あの車は…〇ルテッツァか。
排気量は一緒。なら勝負できる!
○○は今できる限界に近い走りを始める。
??1:本気になったみたいやな
??2:それでなくっちゃ走りがいがないよ!
二台はすさまじい轟音を立てながら峠を下る。
○○先行のまま、3/4を走った。
○○:なかなかやるな。しっかり付いてくる。
??1:よし、そろそろええかな。
今日のところは終わり!はい!ペース落として。
??2:え~もうちょっとなのに~
??1:今日は様子見!
??2:は~い…
??2はアクセルを緩めた。
○○:ん?急についてこなくなった?
○○はそのままのペースで下りきり、家に帰った。
○○:さっきの〇ルテッツァ…何だったんだろう?
―――
??1:噂通りなかなかやりそうやなぁ
??2:??1が乗ってなければもうちょっと
いい勝負できそうだったのにね笑
??1:ちょっと!ウチが重りっていいたいんか!
??2:嘘嘘笑 とりあえず明日声かけてみようか?
??1:そうやな!
翌日
○○は菅井と学食に向かっていた。
菅井:最近どう?峠には行ってるの?
○○:うん。ほぼ毎日行ってる。
菅井:やっぱり楽しい?
○○:そうだね。こっちに来てからは走るって言っても
ドライブみたいなものだったから攻めるって
久々だよ。
菅井:でも事故は気を付けてね。
二人がそんな話をしていると…
??1:あなたが神本○○君ね。
○○は自分の名前が呼ばれた方向を向いた。
??2:やっと会えた!
○○:あの~…あなた方は…
??1:自動車専攻2年の田村保乃ですッ!
??2:同じく森田ひかるですッ!
○○:その先輩方が僕のなんの用でしょうか?
田村:そんな大した用やないで。
ちょっと遊びたいな~って。
森田:そうそう!
○○:なんで名前知ってるんですか?
森田:高校一緒だった後輩に教えてもらったの!
あのイケメンは誰って!
○○:ストーカーのナンパなら受けたくないんで
結構です。
森田:えぇ~いいじゃん~。
“昨日の〇ルテッツァの子”みたいにさ~
○○:えっ…
それを聞いて○○の顔が引きつる。
○○:それじゃあ、昨日の〇ルテッツァって…
森田:そう!私だよ~
○○:じゃあ遊ぶってのは…
森田:私とバトルして!!
○○:バトル…
森田:この学校の“走り屋”って言ってる人たちは
チームみたいの作って競ってるんだよ。
田村:君まだどこにも入ってないみたいやし…
私たちと走らない?
○○は少しうつむきながら
○○:せっかくのお誘いですが、
一人で走るのが好きなので…
○○はそう言って立ち去ろうする
森田:そっか…残念だなぁ~
あの“土田○○”と勝負できると思ったのになぁ~
○○:…は?
田村:私たちカートやってたからね。
その名前を知らないわけないよね。
〇〇: …
森田:これ私の連絡先。気が変わったら連絡して。
それじゃ!
二人は不敵な笑みを浮かべて去って行った。
○○:なんで…わかったんだよ…
菅井:大丈夫?
横で話を聞いていた菅井が顔を覗き込む。
○○:あぁ…大丈夫だよ…
菅井:ねぇ、“土田○○”って誰?
○○:その説明をすると長くなるけど聞く?
菅井:うん。この後は予定もないし、気になるし…
○○:おっけ。とりあえずご飯たべよ。腹減った…
菅井:じゃあそのあと教えてね?
○○:わかった。
二人は学食に入って行った。
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