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駆け抜ける坂道 Sector15

駆け抜ける坂道 Sector15<流星と彗星>



茜 :“櫻神峠の白い彗星”、
   神本○○…土田○○くんとバトルさせてほしい。


菅井:えぇっ!?

茜 :どうしても…彼とバトルがしたいの…。

菅井:どうして?

茜 :それはある目標の為に…ね。

菅井:目標?

茜 :うん。それは…

“最速”になること…。

――

数日後…。

菅井と茜は大学近くのカフェに○○を呼んでいた。

○○:俺とバトル?

茜 :うん…。

○○:なんでまたこんな改まって?

茜 :それは私の目標について話しておこうって
   思ってね。

○○:目標…。

茜 :私の目標は“最速”になること。
   そして、“兄”と同じ景色を見ること。

○○:もしかしてだけど…。
   守屋さんのお兄さんって…守屋碧(あおい)さん?

茜 :やっぱり知ってたんだね…。

菅井:なんで知ってるの?

○○:守屋碧さんは俺がカートやってた時、
   上の世代で最強の人だった。

菅井:昔聞いたことがあるけど…。

○○:15歳でカートの全日本のチャンピオン。
   その後はイギリスに渡って向こうでも
   タイトルを獲得してた。
   その時、地元は“日本からやってきた流星”と
   呼ばれてた。
   日本に帰ってからはSUPERGTの300クラスに
   出て、デビューから2年連続で
   チャンピオンになった…。

菅井:詳しいね。

○○:そりゃ俺の憧れの人だったからね。

茜 :お兄ちゃんが○○くんのこと言ってた。
   下の世代ですごいやつがいるって。

○○:知っててくれたんだ…。

茜 :うん。あいつにはいつか抜かれるかもって…。

○○:そうか…。

菅井:それで…碧さんは今どうしてるの?

○○:それは…。

茜 :死んじゃった…。

菅井:え…。

茜はうつむいた。

茜 :事故でね…。

○○:300クラスで2連覇した後500クラスで
   走ることになった。
   でも、入ったチームの状況が最悪でね。
   1年目はさんざんな結果だった。
   そして2年目の初戦…。

茜 :マシントラブルで制御不能になってクラッシュ…。
   そのまま…。

菅井:そんな…。

茜 :お兄ちゃんはあの日に言ってたの。
   “こっから俺は最速になってやる”ってね。

○○:俺もあのレース見てたけど…
   直前まではあの人の最高の走りだった…。

茜 ;お兄ちゃんは誰にも負けない“最速のドライバー”に
   なることが夢だった…。
   それの夢は私の夢でもあったの。

○○:誰にも負けない…“最速のドライバー”…。

茜 :でも…お兄ちゃんがいない今…
   その夢をかなえるのは私しかいない…。

○○:なるほど…。

菅井:でもそれと神本くんとのバトルがどうつながるの?

茜 :最初は別の峠で走ってたんだけど、
   ここの噂を聞いたんだよ。
   “櫻神峠の白い彗星”のね。
   その人と勝負をして、自分の中の自信を
   つけようと思ってね。

○○:…。

茜 :まぁ、友香と○○くんが友達だったのは
   偶然だったけどね。
   ○○くんに会った時、
   その名前に聞き覚えがあったからね。
   調べたら“土田”○○だった。
   これって“運命”かなって…。

菅井:運命…。

茜 :だから○○くん…私とバトルしてほしい。

○○:守屋さん…。

茜 ;そのバトルに今の私のすべてをかける。

菅井:神本くん…。

○○:うん。やろう。

茜 :え…?

○○:そのバトル、受けるよ。

茜 ;ほんと!?

○○:そこまで言われたら断る理由もないしね。

茜 :ありがとう…。

○○:それで?いつやる?

茜 :一週間後かな…。
   あの峠には慣れてきたけどまだ完璧じゃない。

○○:うん。わかった。

菅井:2人とも…頑張ってね!

茜 :うん!

○○:もちろん!

――

それから茜は決戦に向けて走りこんでいた。

茜 :お兄ちゃんの夢の為にも…。
   私の夢の為にも絶対に勝つ!

ブーーーーン…。

――

櫻神峠のふもとの湖…

○○はひとり考えごとをしていた。

○○:みんなすごいよな…。

ブーン…キキーッ。

菅井:神本くん。

○○:菅井さん…。

菅井:どうしたの?こんなところに1人で…。

○○:ちょっとね…。

菅井:また考えごと?

○○:うん…。
   守屋さんと話してて思ったことがあってね…。

菅井:あかねんと?

○○:俺の周りの人は強い思いを持ってる人たちが
   多いなって。

菅井:“夢”のこと?

○○:そう。守屋さんは碧さんの意志を受け継いで
   走ってる。
   小林さんも自分の夢に向かって
   いろいろ行動してる。

菅井:確かに…みんなすごいよね…。

○○:それなのに俺はただ漠然と走ってる…。
   そんな俺がそんな人たちと走ってて
   いいのかなって。

菅井:…。

○○:あれからずっと考えてるけど、
   結局見つからないんだよね…“俺の夢”…。

菅井:…大丈夫だよ。

○○:え…?

菅井:○○くん、最近すごいいい顔して走ってる。
   それって今は充実してるってことでしょ?
   今は見つからなかったとしても、
   案外意外なとこで見つかるかもしれないよ?

○○:菅井さん…。

菅井:だから…今はそんなに思い詰めなくても
   いいとおもうよ?

○○:…ありがと。なんだか気が楽になったよ。

菅井:ふふっ笑 どういたしまして!

○○:それに…今は守屋さんとのバトルに
   集中しなきゃね!

菅井:そうだよ!

○○:でもなんでだろうな…。

菅井:?

○○:いや?自分ひとりで長い間考えてても、
   答えが出ないのに
   菅井さんに相談すると気持ちがすごい楽になる…。

菅井:神本くん…。

○○:そう言えば、
   菅井さんは誰かを支えるってのが夢って
   言ってたよね?

菅井:うん。

○○:その夢…叶うとおもうよ?

菅井:え!?

○○:なんかそんな感じがする。
   実際、支えられてる人がここにいるしね。

菅井:そ、そんな…///

○○:とにかく練習かな。よし!ちょっと走ってくる!

ブーン…

○○は走りにいった。するとそこへ…

??:みーちゃった、みーちゃった!

??:ええ感じやったな~笑

菅井:ひかるさん!?保乃さん!?


田村:湖のほとりで2人きり…キャー!

森田:ドッキドキのシチュエーション…どうなった?笑

菅井:な、何にもないですよ///

森田:顔真っ赤笑

田村:やっぱおもしろい笑

菅井:むぅ…。

――

○○:守屋さんは全力でくる…。
   ならこっちも答えないと!!

○○もまた気合を入れなおして走りこんだ。

そして、決戦の日…


Next Sector…

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