駆け抜ける坂道 Sector5
駆け抜ける坂道 Sector5 <初陣>
櫻神峠 頂上駐車場
○○がそこにつくと既に森田と田村がいた。
森田:ありがと。バトルする気になってくれて。
○○:どっかの誰かに昔のこと掘り返されたんでね。
森田:それって後ろの彼女かな?
森田は○○の後ろにいた菅井を見ながら言った。
菅井:ふぇっ?私?私が神本君の彼女…///
○○:なんかいろいろ違う気がしますけど。
森田:まっ、いいか。それより早く走ろっ!
田村:勝負は下り一本。
峠を下りきった所にある駐車場の
赤い看板がゴール。
○○:はい。わかりました。
○○が車に乗り込もうとすると…
森田:楽しもうね、“土田”○○君…
○○:今の俺は“神本”○○です。
二人が車に乗り込むとスタートラインに車に並べた。
その様子を菅井と土生が見つめていた。
土生:どうなるかな!楽しみ!
菅井:神本君…頑張ってね…
森田:さて、楽しませてもらおうかな!!
○○:母さん、親父。俺…また走るよ。
二台がエンジン回転数を上げていく
ヴォン、ヴォン
田村:カウントいくで~5,4,3,2,1…ゴ~!
二台は絶妙なクラッチミートで
スタートダッシュを決める。
土生:二台とも速~い!
菅井:始まった…
1コーナー最初に飛び込んだのは森田だった。
森田:よしっ!頭とった!
○○:…くっ!
二台は菅井たちからは見えなくなっていった。
田村:ひーちゃん、負けるんやないで!
相手はブランクがあるとは言え、
あの“土田”○○や。一筋縄じゃ行かへんで。
1コーナーを立ち上がった後はしばらく
Rのゆるいコーナーが続く。
○○:さすがに3S相手だと直線のノビじゃ勝てねーか。
森田:先行できたとはいえ、
こないだの走りだと油断できないっ…!
二台の差は10メートルもない、
序盤の展開は森田が直線で離し、
コーナーで○○がすこし差を詰める。
○○:カートやってたってだけあって上手いな。
隙が少ない。
それに地元なだけあってコーナーの
突っ込みが違う。
森田:なかなか、離れないねぇ。
イヒヒ、やっぱりバトルは楽しい!
1/4を過ぎた頃、二台はヘアピンが多い区間に来た。
○○:こっからはヘアピンが多いよな…
森田:よしっこの区間に来たら、
私のオンステージだよっ!
二台は一つ目のヘアピンに差し掛かる。
森田:私についてこれるかなっ…!
○○:…何っ!
十分に減速する○○に対し、
少しオーバースピード気味に突っ込む森田。
森田:いっけぇ!!!
森田はドリフトしながらコーナーをクリアしていく。
○○:うまいっ…!
次のヘアピンからは5連続でヘアピンが
続く区間だ、離されたらマズいっ…!
森田:ほらほら、どしたどした?笑
○○も必死にクリアしていくが森田は
それ以上のスピードでクリアしていく。
5連続ヘアピンを抜ける頃、
2台の差は30メートルまで開いた。
森田:やっぱりブランクがあるみたいだねぇ…
“土田”○○君…!
○○:結構離されたな…
______
一方、頂上にいた菅井は土生を乗せ
ゴール地点に向かっていた。
土生:どっちが勝つかな~
菅井:神本君は速いよ。
昔の動画見たけど同世代の人とは次元が違った。
土生:○○くんって昔はすごいレーサーだったんだっけ?
菅井:そうだよ。
土生:じゃ~○○くんじゃない?
菅井:ただ、森田さんも速いらしい…
土生:そうなの?
菅井:うん…1年生の頃、
一緒にいた田村さんと2人で2年の走り屋と
バトルとかしてたらしいんだけど負けたことが
ないらしい。
土生:そんなに!?
菅井:しかも神本君にはブランクがある…
これは厳しいバトルだよ…
_____
2台は半分を過ぎていた。
差は30メートルから変わっていない。
○○:半分過ぎたかな…こっからは勾配がきつくなる…
森田:半分超えたわね…こっからは私も車も我慢だよ…!
○○:この先…ヘアピンが少ない後半区間で
唯一ヘアピンが3つ続くとこがある。
勝負をかけるならそこしかないっ…!
…こんな感覚になるのは久しぶりだな…
すげー…
楽しい!
森田:“土田”○○くん、あなたの実力…
そんなもんじゃないよね。
本気…見せて頂戴っ!!
テンションの上がった2台が猛スピードで
駆け抜けていく。
Next Sector…
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