年下幼馴染は妹扱いが嫌なようで
季節は4月、新学期。
俺はこの春で高校3年生となった。
〇〇:ふぁ〜あ…あと1年で卒業か〜
??:〇〇!おはよ!
〇〇:あぁ理佐。おはよ。
今来たのが渡邉理佐。同級生兼幼馴染。
理佐:もう3年生だね。
〇〇:そうだな。
理佐:今年から"あの子"も入学するからね。
〇〇:そういえばうちの高校に入ったんだっけ。
??:おーい!!
理佐:あ、きた。
??:お姉ちゃん!置いてかないで!
理佐:準備に時間かかってるからでしょ。
〇〇:おはよ。"天ちゃん"
天 :あ、〇〇!おはよう!
この子は天ちゃん。理佐の妹。
この姉妹とは家が近いことと
親同士が仲良いのもあって昔からよく遊んでいた。
俺にとっても妹のような存在だ。
理佐:こら。〇〇も一応先輩なんだからね!
天 :え〜いいじゃん!幼馴染なんだし!
〇〇:まぁまぁ、天ちゃんは俺にとって
も妹みたいなもんだし。
理佐:そうかも知んないけど…
〇〇:急に先輩扱いなんて難しいでしょ?
理佐:まぁ〇〇がいいならいいけど…
天 :妹か…ボソッ
〇〇:ん?天ちゃんどうかした?
天 :ううん!何でもない!行こ!
〇〇:うん。
ーー
放課後…
〇〇:さてと、帰るか…
ガラララ
天 :〇〇!帰ろ!!
〇〇:天ちゃん?
友人:なんだ〇〇、彼女でも出来たのか?
〇〇:ちげーよ、理佐の妹。
友人:あぁ、どうりで可愛いわけだ。
〇〇:そうだな…
確かにあの姉妹は美人だ。
天 :ほら!帰ろ!
〇〇:あれ?理佐は?
天 :部活で遅くなるって。
〇〇:オッケ。じゃ帰ろっか。
ーー
〇〇:どう?高校はやっていけそう?
天 :うん!
〇〇:部活は入るの?
天 :今のところは考えてないかな〜
〇〇:そっか。
天 :ねぇ、お姉ちゃんって学校だとどうなの?
〇〇:理佐?
天 :中学の時みたいに告白されまくってる?
〇〇:あぁ、全部断ってるみたいだけど
天 :へぇ〜
〇〇:なんか付き合うとかめんどくさいらしい。
天 :〇〇は?〇〇も中学の時告白されてたじゃん。
〇〇:高校に入ってからは無いかな。
天 :好きな人とかいないの?
〇〇:う〜ん、いないかな。
天 :それこそお姉ちゃんは?
〇〇:ずっと一緒にいるから
なんか兄弟みたいな感じかな。
天 :そっか…シュン
〇〇:ん?どうした?
天 :ううん!何でもない!
ーー
夜…
理佐:ただいま〜
天 :あ、おかえり〜
理佐:どう学校は?
天 :まぁなんとか楽しくやれそう。
理佐:〇〇とも会えるしね?笑
天 :え?
理佐:ずっと〇〇のこと好きでしょ?
天 :う、うん…
そう、私は昔から〇〇の事が好き。
お姉ちゃんと3人で遊ぶとき、
いつも気を遣ってくれた。
荷物を持ってくれたりとか
髪型変えたらすぐに気づいてくれることとか。
勉強でわからない所があった時は教えてくれる。
そんな優しい〇〇が好き。
でも、向こうは妹としか見てない…
理佐:〇〇って結構人気なんだよ?
天 :そうなの!?
でも告白されてないって言ってたよ?
理佐:あーそれ私のせいかも。
天 :え!?
理佐:一時期告白が鬱陶しい時期があってね。
そん時に〇〇に彼氏役をお願いしたの。
天 :モテ女…
理佐:多分それがずっと続いて
告白されなかったんだろうね。
天 :そういうことが…
理佐:でもあんまりうかうかしてらんないよ?
多分、〇〇は天のこと妹としか思ってないよ?
天 :そうなんだよね…どうしよう…
理佐:あの鈍感はどうしよっかね…。
天 :女の子として意識させないと…
ーー
天 :はぁ〜緊張する…
週末の今日、私は〇〇と2人で出掛けることになった。
天 :服とか髪型…おかしくないよね?
少し早く来てしまい、ソワソワしながら待っていると…
〇〇:天ちゃん!お待たせ!
天 :あぁ!全然大丈夫だよ!
〇〇:それじゃ行こっか。
天 :うん!
ーー
着いたのはショッピングモール。
〇〇:えっと…買いに来たのは理佐にあげるものだっけ?
天 :うん。今年が最後の大会だから何かお守りみたいなものをあげよっかなって。
〇〇:う〜ん…そしたらとりあえず雑貨屋行ってみる?
天 :そうだね。…それにしても週末だから人多いね。
〇〇:うん。
天 :そ、そしたらさ///
ギュッ
〇〇:え!?
天 :は、はぐれないようにこうしてて手繋いでていい?///
〇〇:う、うん…
ーー
私達は雑貨屋に入った。
天 :う〜ん何がいいんだろ?
〇〇:キーホルダーとかは?カバンとかに付けれるし。
天 :そうだね。どこにあるかな…
〇〇:あそこじゃない?
天 :よし、行こう!
ーー
〇〇:いっぱいあるな…
天 :あ!これかわいい!でもお姉ちゃんが付ける感じじゃないかな…
〇〇:これはどっちかっていうと天ちゃんじゃない?…これとかは?
天 :それいいかも!それにしよ!買ってくるね!
ーー
プレゼントを買った私達はお店を出た。
〇〇:お腹空いたね。
天 :もうお昼時だもんね。
〇〇:お店探そっか。その前にトイレ行ってきていい?
天 :うん。大丈夫だよ。
〇〇:それじゃここで待ってて!
〇〇はトイレに向かった。
天 :はぁ…ここまではいつもと変わらないな…
どうすれば〇〇に私のこと意識してもらえるんだろう…
そんな事を考えてると〇〇が戻ってきた。
〇〇:ごめん!おまたせ!
天 :ううん。大丈夫だよ?…てかその袋はなに?
〇〇:これあげる。
天 :…!?これって…
袋の中にはさっきのお店にあった可愛いキーホルダーが入っていた。
〇〇:さっき欲しそうにしてたから買ってきた。
天 :でも…
〇〇:俺からの入学祝いってことで受け取って!
天 :…ありがとう!大切にするね!
〇〇:どういたしまして!それじゃ行こっか。
ギュッ
天 :うん///
さりげなく私の手を握ってくれる〇〇。
でも〇〇からしたら妹の世話をしてる気分なんだろうな…
ーー
その後はご飯を食べて少し歩いていた。
天 :今日はありがと!楽しかった!
〇〇:こちらこそありがとう。
天 :プレゼントまでもらっちゃったし…
〇〇:いいのいいの。"お兄ちゃん"からの好意は素直に受け取りなさい?
天 :…。
ギュッ
〇〇:?
天 :お兄ちゃんじゃ…嫌だ…
〇〇:え…。
天 :私は〇〇の妹じゃなくて、彼女になりたいの!
〇〇:えぇ!?
天 :昔から優しくてかっこいい…そんな〇〇の彼女になりたいの!
〇〇:天ちゃん…。
天 :でも〇〇は妹ととしか見てくれない…。
〇〇:…。
天 :これからもずっと〇〇のそばにいたい…。
その優しい笑顔をもっと見ていたい…。
だって〇〇は私の初恋の人だもん!
〇〇:…。
ギュッ
天 :えっ?
気づいたら私は〇〇に抱きしめられていた。
〇〇:ありがとう天ちゃん。嬉しいよ。
天 :えっと…。
〇〇:確かに天ちゃんは俺にとって妹みたいな子だった。
でも今日一日手を繋いで一緒にいてわかったんだ。
俺も天ちゃんが好きなんだって。
天 :え!?
〇〇:天ちゃんと一緒に居たい。俺でよければ付き合ってくれませんか?
天 :…うん!よろしくね!
〇〇:よろしく!
天 :ねぇ、さっきの雑貨屋行っていい?
〇〇:雑貨屋?
天 :さっき買ってくれたキーホルダー、お揃いにしよう!
〇〇:うん。いいかも!
天 :ほら!早く行こ!
〇〇:ちょっ!引っ張らないで!
天 :あはは!笑
ーー
〇〇:ふぁ〜あ…
天 :〇〇!おはよ!
〇〇:あ、おはよ。"天"
天 :えへへ笑
ギュッ
理佐:ちょっと置いてかないで!
〇〇:あ、理佐もおはよう。
天 :お姉ちゃんが遅いんでしょ!
理佐:朝から〇〇の腕に抱きついちゃって…
天 :だって彼女だもーん!
理佐:〇〇?こんな子だけどよろしくね?
〇〇:大丈夫だよ笑
天 :ほら!行こう!
〇〇:いでで!腕引っ張んないで!
学校へ急ぐ私達のカバンにはお揃いのキーホルダーが揺れていた。
Fin
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